第28話 精霊魔法の力

祠から戻ってきた俺たちは早速動画の検証を始めることにした。

大きな液晶ディスプレイのテレビを持ってきて4K画像で確認した。

祠の途中で出てくる古文書のような形の物があったので、それらは画面コピーをして保存しておく。精霊の映像は残念ながら何も写っていなかった。いかに4K画質といえども精霊までは写せない。古文書の解析をジェーンの伝手でアメリカのコロンビア大学とマサチューセッツ工科大学に依頼する事にした。


すると後から聞き出して来た柳沢さんが、東大と京大に送るので資料が欲しいと言ってきた。やはり一国家として遅れは取れないということなのだろうか。俺は素直に画面のコピーを渡した。


そんな時、ドラコは諭すように淡々と言葉を伝えた

「トオルよ、すでに魔法は使えるはずじゃ。心と向き合うが良い」

ドラコはそう言うと一人休める場所に向かっていった。

「心に向き合うねぇー。ジェーンは何かわかる? 」

「簡単よトオル神に祈ればいいのよ」

俺はもうジェーンに哲学を聞くのは、やめたほうが良いという事を理解した。


心と向き合うという事がよくわからない俺は座禅を組んだり水が出るように「ちょわー」と叫んだり、飛び跳ねたり訳の分からない事をしていた。これでどうだ「ウォーターカッター」と叫んでいた。

この時の映像ジェーンが撮っていたと知った時は顔から火が出るほど恥ずかしかった。なんとか拝み倒して消してもらった。


うまく出来ない事はしょうがないので、しばらく時間をかける事にした。まずは依頼していた従業員が増えたので彼らとの顔合わせと新グッズについて山田さんと打ち合わせしていた。はっきり言ってドラゴンのグッズはお人形さん一つである。フィギュアでも作ろうかと考えてはいるが受けるのだろうか。怪物に可愛い要素はないので難しいと思っている。

そんなくだらない事を日常会話と併せて山田さんとしていた時に喉が渇いたので水が欲しいと思ったら手から水が出てきた。


「「うぉっぉぉ」」


山田さんと手を取り合って大声で喜んでしまった。いい大人が興奮して踊り始めるのはちょっと恥ずかしいと後から自覚して反省した 。


そんなわけでその夜ジェーンとドラゴン呼び出し実演会をやってみた。 ちなみに掛け声は「ウォーター」にした。もちろん扇子をもって水を出すような演芸はしない。俺は無難な男なのだ。女神でも無ければ手品師でもない。


二人が見守る中、俺は手をかざし「ウォーター」と力一杯叫んでみると右の手から大量に水が発生した。正面にいたジェーンさんには申し訳ないが許してほしい。 なぜか T シャツの下は着てこなかったジェーンさん。そんな怒り心頭で「この度スケベ」と非難されてもどうしようもないが何故かニヤニヤしてしまった。すまん。コレもテンプレートという悪魔の仕業なんだ。

元博愛堂の山田さんと N○K の小島さん達が作ってくれたドラゴンサイトに公式映像として流してみた。ちなみに柳沢さんはうるさいので無視して流すことにした。


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ID:いわゆるニートさん |30分前・・・

ついに魔法が35歳のドーテーの俺は使えるのか?


ID:全てのなろうさん |25分前・・・

魔法職こそが世界最強。全属性の俺を見よ


ID:俺がカッコヨムです |20分前・・・

時空属性一択だな。取った奴が勝つ


ID:私はライトノベル |15分前・・・

MP:9999からの上限突破がないと認めないわ


ID:通りすがりのニュースキャスター |10分前・・・

水道水あるから別にいらないかな。あ、災害の時に便利かも


ID:有名になりたい外国人 |5分前・・・

素晴らしい。あの人がほしいいぃいいい


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その頃米軍の相談役であるジェームスは少し焦っていた。アメリカ側が特に大きな成果を得ていないからである。そこに来てこの動画である。

人間が一日に必要な水分は少なくとも2L(2kg)である。兵站でそれが無ければ輸送速度があがりロジスティックに革命を起こせる。


何が何でもこの技術が欲しいと米軍は諜報員を大量に種子島に送っていたことなど知る由もない俺だった。

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