第24話 魔法という存在

「どうじゃ。だいぶ驚いたじゃろう」

ドラコは首をブンブン振り回し喜んでいた。


呆然としている俺達にドラコの話はしばらく暗闇の中で続いた。


「通常でも精霊はその辺にも居るが存在が小さく人間には見えんじゃろ」

「大きい精霊であればトオルであれば見ることができるかもしれない」

「その精霊は今も生きていれば神殿か祠にいるだろう」

「精霊を従えることができれば魔法が使える」


ドラコはジェーンの方を振る帰り見つめた後で話を続けた。


「従えた精霊をジェーンに譲り渡す儀式をすることでジェーンも使えるようになるかもしれない」

「仮にトオルが暴走しても諌める人物が必要ということ、そしてその人物には諌めるだけの力も必要なのじゃ」


今度は俺の方を見ながら会話を続ける


「逆にジェーンが暴走したらトオルが諫めるのじゃ」

「いずれにしても精霊を携え魔法を使う事は危険なのじゃ。よく考えて結論を出すと良い」


しかしこんな短期間で日本語習得とか、一体全体ドラコの脳みそというのはどういう仕組みになっているのやら。ドラコは最近アニメ三国志の影響で出てくる単語が三国志ネタが多い。 精霊ネタが多いのもきっとアニメの影響で実際のものとは異なるかもしれない。 今後は見せる番組はある程度こちらで決めないと知識が偏ってしまう


現代で魔法は必要ないし、なくてもいい。つまりは平和的には使われない可能性が高いということである。もしも俺の大事な人たち、島人や家族に何かあった時迷わずに使ってしまうかもしれない。 力はあっても損はないだろう。だが強すぎる力は一人の人間が持つには危険だ


仮に俺が魔法を使えるということが世界に知れ渡った時に、その科学で検証できない力を恐れ、その人物を亡き者にすれば安全と考えるかもしれない


俺はちらっとジェーンの方を確かめるように見た

もし精霊を得るることができたならお互いがお互いを監視し、そして大事なものを守り、そして時には諌めるようにジェーンと話し合うことができれば、精霊を得ることは可能なのかもしれない。


しかし、ドラコのしゃべった三国志時代の王佐の才は決して褒められた内容ではない。王佐の才とはを王を説得し諫める必要があり、その力を持つ補佐役である。残念ながら王佐の才や軍師の代表的な荀彧は曹操に自害に追い込まれ、司馬懿仲達は魏を乗っ取り、諸葛亮孔明は蜀の実権を握っていた。うまく関係を築いた人物もいたのだろうがそれほど期待は出来ない


「ジェーンはどうしたいんだい」

「私は魔法を得てみたいわ。だって世界で私達だけが選ばれた可能性があるのよ」

この辺のジェーンは考え方がシンプルで素直だと思う。二心といったような考えは微塵も見られなかった。


今はドラコと人間の関係はうまくいってると言ってもいいだろう。だが、ドラコが持つそのすごい能力と力に恐れを抱いてる人はものすごい数になる。それらがいつ排除するように向かうか俺には推し量ることはできない。当初の作戦では俺が失敗したら攻撃に移ることは決定されていたのだ。


「そうだな魔法というのを得てみないと、どんなものかは分からないから一度試してみるのもいいのかもしれない」

ドラコの目を真っすぐに見据え、そう俺は答えていた。


「ふん、まあいいだろう。取りに行く場所は4箇所あるが一箇所はこの間海の底に沈んでいるの見かけたからそこからじゃあな」


「ところでドラコちゃんそこには守ってる人はいないの?ガーディアンとか」

ジェーンはありきたりの質問ではあるが、普通に聞いていた


「どうだったかなもう昔のことなんで忘れてしまった。まあ儂がいれば大丈夫だろう。そこは水の精霊だ。もし二人で分け合うのなら配分は決めておくが良い」


魔法への恐れなのか俺は先行きが不安になるような。未来が全て閉ざされてしまったようなそんな気がするのは気のせいなのだろうか。

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