第22話 台風のあった日
授賞式から戻った俺達は種子島の地元の住人たちに非常に感謝された。特に俺のオーダースーツを作ってくれた服屋さんと、鞘をこしらえてくれた木材店さんが大喜びだった。やはり皇族御用達というのは職人として栄誉なことなのだろう。ドラゴンが迷惑をかけるかもしれないので、これからも地元住民には配慮して良い関係を築いていきたいと思っている。
そろそろ動画投稿から1ヵ月経ったので、動画投稿サイトの収入とグッズの収入が入ってきた。グッズについてはもっと沢山の種類を作らないと、いけないのだが忙しくて全然できていない状況だ。なので、収入についてはそれほど期待していない。さらに広告やスポンサーに至っては、ほとんど手をつけていない状態だ。 全部広告代理店にお任せするというのでも良いのだが、スポンサーによっては変な言いがかりをつけられるかもしれないので慎重に選びたいと思っている。
参考までにこれまでの収入を記載しておく。
10億x10本 CNN出演料他
1000万x3 公務員収入
1億x5 N○K出演料
ネット投稿 1億PVx10本 2000万 ワンクリック0.02円
グッズ収入 50000個 100円x50000=5000万
ドラゴンの鱗を除いた収入は51億3千万円だったが、今はトータルで106億だ。CNNは世界に配信されるのでやはり大きい金額になる。グッズは一種類しか作っていないので収入に関してはこんなものなのかもしれない。しかし税金が高い死ぬほど高い。働いている意味さえないほど高い。ちょっと国税局に怨嗟(えんさ)の念が届きそうだ。
しかし、ネット動画の収入が非常に安い。やめたほうがいいと思えるほどの酷さだった。そして公式配信された投稿動画やCNNの動画などを違法録画したコピーが蔓延っていて、本家本元のドラゴンチャンネルはクリック数を稼げないでいた。 この件については後ほど考えることにした。手が回らないので従業員を募集する事も検討しないとならない。
予定を若干早めて受勲式を行ったのは日本に近づいている大型台風の影響だった。養生テープを持って基地のガラスに貼り付けて言ったのがドラゴンの雨よけ用の天井窓が大変だ。その作業を俺がしているとドラコが話しかけて来た
「何をしとるんじゃ」
不思議そうに首を傾げるドラコはそう尋ねてきた
「台風の準備だよ。これからすごい強風が吹くから今日は飛べないぞ」
「ふん。たかが風ごときが我を邪魔するとはできると思うなよ」
「台風なんだぞ、どうするんだよ?」
「ワシに考えがあるからトオルは出発の準備をした方が良いぞ」
「待って、台風をぶっ壊せるっていうことか?」
「あーそうじゃ」
俺は一応念のために衛星電話で柳沢さんに電話した。
「どうもドラゴンが台風消せるかもしれないって、身振り手振りでいってるんですけど消しちゃっても水量の確保とか降水量とか大丈夫ですかね?」
そう不安そうに俺は柳沢さんに尋ねた。
「国土交通省に確認してみるが、降水量は平年よりも多く問題ないとは思うので、1時間でいいから確認のための時間もらえるかな」
柳沢さんはそう言って直ぐ様電話を切った。
1時間待つ間ドラゴンに乗るための準備をしていたら、衛星の電話が鳴った
「柳沢です。先ほどの件ですが国土交通省より OK のサインが出ました。疑わしいとか出来る筈がないと言ってましたので、やっちゃって下さい」
撮影用のカメラを積んでヘルメットをかぶった俺はドラゴンと一緒に台風の真上の上空へと飛び立っていった。
上空から見る台風は白く大きな渦を巻いており中心には、はっきり台風の目が見えていた。
「ドラコ、これ本当に大丈夫なのか」
「ブレスで一発じゃ何と言っても#$&&$じゃからな」
「わかったじゃあやってくれ」
すると、こくりと頷いたドラゴンは台風の中心めがけてブレスを放った。ものすごい勢いで台風の目に向かい衝突したブレスは白く光るわけでもなく動画の中では何が起きたのかは目視できなかった。 だがしばらくするとだんだんと白く渦巻いていた雲がなくなってきていた。
「おおおおぉすげー。コレどういう原理なんだ」
「原理なんざ忘れたさ。これで終わりじゃ帰ろう」
ドラコにそう促されて台風が消えるまで待ちたかったが雲でよく分からないので帰ることにした。
帰るとすぐに衛星電話が鳴った。きっと柳沢さんだろう
「はい川上です」
「川上さん一体何したんですか?国土交通省が大騒ぎしてます。台風の気圧がなくなったと。こんなことは初めてだと」
「いやブレスをドカンとねドラコがやっちゃったわけよ」
「やっちゃったってそんな・・・」
国土交通省には頑張って説明してもらうしかないと俺は思った。ブレス自体がよくわからない仕組みなので、俺もよく分からないのだ。
この一連の台風が消えるまでの映像をニュースで流せるように CNN やN○K などに映像送った
広告代理店博愛堂の山田さん曰く考えられないような人気でグッズの生産が追いつかないそうだ。広告代理店の調査結果では過去最高のドラゴン人気となったと山田さんは鼻息を荒く話していた。そんな山田さんに俺は新しくできるドラゴンパークの話と新グッズの開発をお願いするのだった…
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