現代にドラゴン現る ~農家がドラゴン飼育して現代でお金儲け~
贅沢三昧
第一章 現代編序章
第1話 プロローグ 輸送機の中で
「ふぅ」
左手でこめかみを抑えながら深いため息とともに周りを見渡すと、米軍大型輸送用飛行機C-17の中は、厚い胸板の軍人が俺の周囲を囲んでいる
その中に一輪の美しい華が咲いているのが見える。CNNレポーターのジェーンさんだ。日本支局担当の日本語と英語が堪能なバイリンガルな金髪碧眼美女26歳(巨乳)で自分の名前を上げて売れっ子看板レポーターになるのが夢と語っていた。
「Hiya-トオル! 着くまでの短い間インタビュー良いかしら」
大きく揺れる胸を振り回しながら近寄ってくる彼女にNoと言える日本男児は少ないだろう。独り身は煩悩がきつい
現在この輸送機は高度を上げながらオーストラリア北部ノーザンテリトリー州の都市ダーウィンに向かっている
三沢基地から沖縄で米軍の輸送機に乗り換えてオーストラリアに飛んでいる
なぜ直接自衛隊が向かわないのかと言うと法律の問題だ。自衛隊が海外に派兵できないのは一応建前なので沖縄米軍基地で乗り換えさせられている所だ
「もちろん良いですよ。何でも聞いて下さい」
俺は笑顔を振りまきながら人の良さそうな振りをして答えた
「トオルは軍人じゃないのに、どうしてこの作戦に志願したの?」
カメラマンがニコン製のレンズをズームしながら俺を取っているようだ。おじさんなんでお肌あんまり高画像で取らないで欲しいなと思いながら質問に応じた
「お金が一番です。後は立案したのが俺だったし、志願というよりは責任ってやつだと思います」
俺の名前は川上徹(32歳)男やもめで現在は子供なし、嫁の実家で半農半酪の農家として生計を立てている。嫁は一年前に交通事故で先立った。元々俺はサラリーマンだったが嫁との結婚するための条件が婿入りだったので青森県の三八上北地方の農家をしている
嫁が俺を気に入ったのが動物に好かれやすい性格だった。酪農をしていると動物が 近寄ってきて戯れてしょうがない。動物の癒しっていいよね。
ちなみに、三八上北地方とは青森県の三戸郡の「三」、八戸市の「八」、上北郡の「上北」(八戸、十和田、三沢の3市町村)の地域の総称を指している。
こんな俺だが最近のワールドツイッタートレンド1位、別名:生贄農家さん、ドラゴンに挑む英雄? とも呼ばれている。アメリカメディアは好意的に報道してくれていて英雄扱いしてくれるので助かっているが、日本メディアでは売名行為だとか結構叩かれている
「立案ってパブリックコメントで意見を政府に言ったのよね。参加するのに良い条件があったの?」
彼女は好奇心旺盛な顔を隠しもせずにバンバン聞いて来る。やはり外国の方はその辺がはっきりしていると思う
「あぁ参加すると綬章が貰えるらしいから年金がもらえるんだ。自衛隊は法律上派遣できないし、民間人だと人道上難しいので立候補した俺にたまたまお鉢が回ってきたらしい」
内閣府対策本部 柳沢部長さんとは話が付いていて参加するだけで大勲位菊花大綬章を受勲予定となっている。年金受給額は年350万と少額だが馬鹿には出来ない金額だ。そして今現在の肩書はこうなっている
肩書---
・内閣府未確認生命体D対策本部 酪農関係ご意見番
・同対策本部 餌付け作戦実行委員責任者
・同対策本部 作戦成功時飼育関連責任者兼実行委員
民間人をそのまま派遣はできないらしく肩書と年収1000万が付いてきたが、命懸けなのでそれ程までに高給という訳でもない。餌付け作戦というのはその名前の通りで黒龍(ブラックドラゴン)と呼ばれる生き物を餌付けするのが目的だ
重要なのはあの生物の好みの味付けが醤油なのか味噌なのか? Betしているのが自分の命だけに真剣に考えながらジェーンの質問に答え、 輸送機の中で時間を過ごす俺だった
日本政府内閣府対策本部が命名した未確認生物Dは通称としてその威容から黒龍(ブラックドラゴン)と呼ばれる。奴が現れてからもう2週間が過ぎようとしていた…
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