僕の噺

月夜見丸

第1話“僕”の部屋

『貴方』は目を覚ますと見知らぬ空間にいた。辺りは真っ暗で、一寸先は闇と言うことわざがあるが、その言葉通りである。

『貴方』は恐怖でいっぱいになるだろう。だが、その足は意志と反してある方向へと進んでいる。

前へ、前へ、ただ進んでいく。


どれほど歩いたのだろうか。

『貴方』の奥の空間にポゥッとした明かりを見つける。『貴方』はほんのひと時の安心を求めてその明かりを頼りに歩き出すだろう。

その明かりが近付くにつれて、『貴方』は小さな人影を見つける。

それは子供の影だった。白い半袖の服を着た短髪の少年。肩には柿渋色のマントの様なものが見える。少年は『貴方』を見つけて、ニコリと言う。


お客さんだ‼︎

初めてのお客さんだ

何もなくってさみしい部屋だけど、ゆっくりしていってね

そう言い少年はどこから持ってきたのか座布団を1つ持って、『貴方』を座らせる。しかし、そう暫くせずに少年は戻ってきた。

目の前が真っ暗なんだ

そう言い少年は俯いた。すると『貴方』の手にあった物が何かに奪い取られた。

その手にあった物は少年の手に渡ったらしく、少年は笑顔で

これ、使うね

と和蝋燭に火を付けた。そして少年は『貴方』を置いてどこかへと行ってしまった。


大丈夫、すぐにこの部屋もお客さんでいっぱいになるから…

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