12話:新たな眷属【吸血蝙蝠の魔獣キキ】

「っ、いてっ…」


首筋にプツと入る様な軽く刺す痛みと共に目覚める。


「お前、だから勝手に俺の血を吸うんじゃねえよ」

「キキッ」

「いや、待ちきれないからって…まあいいか、もう遅いし」

「キキ♪」

「たくっ」


俺の許可、と言うより勝手に血を吸うこいつは俺の2体目の眷属。つまり魔獣だ。

容姿はコウモリだ。

大きさは俺の掌くらいの大きさに三つの小さな目を持っている。ふくよかさのある体に鋭さのある牙。今,俺の首筋に刺さってチュチュ吸ってるものだ。

俺の血を吸っているから分かると思うが吸血種である。


最初は俺も驚いた。

俺がこの理不尽世界に来てファンに色んな意味で襲われた次の日。

色んな疲れからぐっすり眠っていたら先程と同じ様に首筋に痛みが走ったのだ。すぐさま意識を覚醒させて「なんだ!?」と起きると今の光景と同じ状態だった。

勿論慌てたさ。

いきなりの敵襲と油断したと。

そして敵ならば、俺に害するものであれば殺す!

俺の首筋に牙を突き刺し血を啜るコイツを始末しようと思った。

だが、どう言う訳か自分の首筋からいまだにチュウチュウと血を啜るこの魔物に敵意が湧いてこない。

『どうなってんだ?』と『もしかして?』と思いポケットからスマホを取り出し電源を入れる。

そしてステータスを表示すると思った通りだった。


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超陀こえたケモノ

契約している魔獣:①ファン ②蝙蝠型魔物

============


となっていた。

どうやらコイツは俺の血の香りに釣られて此処に来て、今まさに血を吸われている。そして恐らくは俺の血を吸った時点で俺の”魔獣契約”の効果が無意識化で発動し俺の眷属に登録されたのだようだ。


仕方ないともう十分だろ!とコイツを離させる。パタパタと羽搏いた後、蝙蝠魔獣は俺の肩に、何処か艶かしさのある目を俺の先程吸った首筋にチラチラ向けてくる。

いや、これ以上血を吸われると失血死しそうだから勘弁してもらいたい。

そのあと虎型魔獣に戻したファンが大きな欠伸と共に起きた。

深い眠りもありファンも気付かなかったようだ。

まあ昨日は激しかったからな。


『おはよ~マスタ~あれっ、なんでファン、人じゃないの!?あと誰?この子?』とファンも気付き、丁度良いので先程の出来事を説明した。


『そっか~仲間が増えた~あとマスター、人にして~』


仲間が増えて喜ぶファン。無論しばらくは”人化”のSkillは使わない。

俺の身が危なさ過ぎだ。

色々失い過ぎだ。まったく。


その後、俺はコイツに名前を付けた。

安直ではあるがコイツの鳴き声から【キキ】と付けた。



それからはファンとキキとの生活となった。

意外にもキキは便利だった。

キキには魔法の能力がある様で、遠くの景色を口の中に映す事が出来るようだった。

それに空間に作用する能力も有しており物凄く優秀な子だった。


まず俺はキキの能力でこの辺周囲の水源となる場所を探した。

やはり水を抑えないと身体機能に支障が来る。

キキの能力を頼りに綺麗な水のある場所を見つけた。洞窟から近い場所にあり幸運と思った。

見つけるまでにいくらかの雑魚と思える魔物がいたがファンがその爪で引き裂き始末する。

褒めてと『ひとになりたいよ~』とすり寄って来るが今日は許可できん。不満そうだが諦めてもらおう。

そして泉の水を試しにと口に含むも特に問題らしい感じはしなかった。

俺達は満足するまで喉を癒した。

それと少しだが体力が回復した気がした。

良い場所を見つけられた。


その後は体力も少しだが回復したので今日の食料を探した。

俺のステータスは魔獣を食する事で上がる事から魔獣を探す。


鹿に似た魔獣を見つけた。特に大した能力もないからと捕食用に始末した。



戦利品である鹿モドキの魔獣を担ぎつつ洞窟まで持ち帰る。

洞窟の奥まで特に警戒する事なく進み戻る。

もし洞窟に侵入者がいた場合、即キキが察知し俺に教えてくれるようになっているからだ。

本当に便利だ。

これでただの吸血蝙蝠だったら焼いて喰う所だ。

なんて考えたら俺の肩に止まっていたキキがブルルと怯える様に震えていた。

本能的に俺の考えを察知したようだ。


その日の戦利品の鹿モドキの魔獣を喰い始めた。

やはりなのだが美味い。鹿肉なんて食べた事はないが、恐らくうまいと感じる。

ただ、初めて口にしたトラモドキ程の昂揚感はなかった。

やはり強い魔獣の方が質が良いみたい。

あと魔獣を食している事で少しだけステータスも上がった。

喰いながらスマホのステータス画面に注目する。

勿論バクバクと咀嚼しつつである。喰いながらじゃないとファンに多くを持って行かれるからな。


=============

『ステータス』

Name:超陀こえたケモノ

Atk:100

Dfs:90

Spd:100

Mp:90

【Ability】

魔獣の王ビーストマスター・Level:EX

【Skill】

♢魔獣契約・Level:Ⅰ(自身に触れし【魔獣】に該当する魔物を3体まで自分の眷属化させることが出来る。…現在2体と契約中。)

♢魔獣調教・Level:Ⅰ(契約した眷属の魔獣の能力を一時的に上昇させることが出来る。Levelが上昇するほど効果が上がる。)

♢魔獣の血・Level:EX(魔獣限定で、魔獣の血肉を食らう事で体力回復、傷の治癒、身体機能向上を得ることが出来る。)

♢強酸・Level:Ⅰ(胃が丈夫になる。【魔獣】限定で、魔物の肉を食しても異変を起こさない。)

♢観察眼・Level:Ⅱ(相手の動きを観察し相手の動きを読み取ることが容易になる。)

♢魔獣風爪・Level:Ⅰ(爪に”風”を付加させることで爪の部分に風の刃を形成できる。)

♢擬人化・Level:EX(どんな効果は試して見てね♪)

♢音波・レベル:Ⅰ(空気振動を起こす事が出来る。)

=============


キキを眷属化した事でSkillに”音波”が増えていた。


モグモグ…ゴクン…


このSkillが意外にも便利だ。

空気の振動を起こす力。この力を付加させる事で”魔獣風爪”の威力が増した。”魔獣風爪”だけでも中々の鋭い攻撃を繰り出せる。しかし”音波”を組み合わせる事で攻撃時に攻撃カ所の周囲に振動を加える追加効果を行う事が出来るようになった。

これで、たとえ風爪を紙一重で躱しても振動の余波を相手に与える事が出来る。


ムシャムシャ…ゴクン…♪


防御面でも便利だ。

”音波”を周囲に発生しておくことで、音が周囲に反射し、反射した音波が俺に教え、周囲に対する感知力が上がり、たとえ姿を隠す敵でもその位置を感知する事が出来る様になる。

ただこのSkillは攻防一体とはいかない。攻撃か防御。どちらかにしか一度に発動できないみたいだ。


チューチュー…ゴクン…♪


まあこれも訓練すればいいだろう。

自分のを確認した後、ファンとキキのステータスも確認する。

眷属魔獣の状態は主である俺はいつでも確認できる。


===========

『眷属Ⅰ』

名前:ファン

種族:魔物【魔獣】…虎型魔獣。

性別:♀

状態:眷属【主:超陀こえたケモノ】

Atk:150

Dfs:80

Spd:180

Mp:50

【Skill】

♢風牙・Level:Ⅰ(己の爪や牙に”風”の属性を加えて強化できる。Levelが上がる程鋭さが上がる。)

♢主への忠誠・Level:EX(契約した主に対する忠誠と言う名の愛を現したもの。契約主を守る時には通常の数倍のステータスアップができる。)

♢人化・Level:EX(ケモノのSkill”擬人化”によって人の姿に変態できる。基本主の許可が必要)

♢知能獲得・Level:EX(人化したことで人並みの知能を得た。)

♢身体強化・Level:Ⅰ

念話テレパシスト・Level:Ⅰ(主、眷属間で人語として相手に伝える事が出来る。)


『眷属Ⅱ』

名前:キキ

種族:魔物【魔獣】…蝙蝠型魔獣。

性別:♀

状態:眷属【主:超陀こえたケモノ】

Atk:50

Dfs:70

Spd:130

Mp:190

【Skill】

♢吸血・Level:Ⅰ(相手の血を取り込み活力や魔力に変換する。)

♢主への忠誠・Level:EX(契約した主に対する忠誠を現したもの。契約主を守る時には通常の数倍のステータスアップができる。)

♢空間灯影・Level:Ⅱ(魔獣形態にて口の中を鏡のような膜を作り出し遠くの景色を映す事が出来る。)

♢音波・レベル:Ⅲ(空気振動を起こす事が出来る。空間に侵入した異物に対する警戒を知る事が出来る。)


===========


こんな感じかと考えながらバクバクとあっと言う間に鹿魔獣を喰い終えた。

鹿魔獣は小柄で肉部分もそれ程付いていなかったので俺とファンで食い尽くした。

因みに俺が喰いながらスマホのステータスを眺めている際に、キキは俺の肩に留まり、俺の首筋からチューチューと美味しそうと言わんばかりに頬?を朱に染め吸っていた。

キキは血を摂取さえしていれば基本生命活動に支障ないらしい。

主食は俺の血だ。

魔獣を喰らえば体力等を回復出来る。血も魔獣を喰らう事で血を補給出来るので問題ない。

まあ血を吸われると少しふらっと軽い貧血状態になるけど。


食後、今後について考えていた。

水源は確保できた。

もし何かしらの要因にて今日見つけた水に害が起きそうになれば即キキが伝えてくれるようになっている。

何となく監視カメラと警報装置みたいだと考えが浮かんだ。言い得て当たっているとも思う。

戦闘面ではファンが風の爪で前衛、俺がそのサポートだな。そしてキキが後衛として音波を利用した魔法を駆使し援護。

こうして見ると風の属性が多いなと思う。


次は今拠点にしているこの洞窟だな。

洞窟の奥である此処はヒカリゴケに似た鉱石が光源の代わりをしてくれているので明るさは確保できている。

この洞窟は一本道なので背後を浸かれる事はない。背後を浸かれないイコール今の俺達より強い敵が来た場合に逃げ道がないと言う事だな。

一応キキが侵入者が近付いたら知らせてくれるが、実力の違いがはっきりした奴が着たら、逃げ――。

……なんで逃げる思考に行き着いてんだ俺は?

敵は殺すと決めたはずだ。

なのに弱腰になるんて有り得ない。

俺の害を齎す存在は容赦なく潰す!

俺の行く道は誰にも邪魔はさせない!


拠点の充実化と迎撃時の整備を目標の一つだな。

あとは今着ている服だな。

今俺が着ているのは元いた日本の夏服の学生服一着だけだ。

今の季節的に温かいから良いが冷えてきたら流石に薄着は困るだろう。

あと、この考えが浮かんだとき物凄く不愉快さが湧いてくる。

脳裏に浮かんだのこの国の連中だ。特に街の門番の奴とかだな。

邪魔をする奴らは潰すのは絶対だが、俺からは手を出しに行く気は正直ない。

関わりになるのも面倒なくらいしかない。

しかし衣服やこの世界に関する情報を手に入れるには何処かの街に入り情報を集めたりしないといけない。

それに金もない。この世界の通貨を手に入れないと何も買う事は出来ないだろう。

それとこいつ等の服も手に入れておかないと。

今のファンとキキは魔獣形態故に服を着る必要はない。

しかしながら、俺のSkillの”擬人化”は魔獣を人の姿に変態させる事が出来るが、なにも着ていない者が人になれば当然全裸だ。

流石に全裸の人間が平然と目の前にいて良い気分にはならない。

これから契約するかもしれない魔獣が男だったら尚のこと最悪である。


金がない。街に入れない。

ならどうするか考えて一つの案が浮かぶ。

取り敢えずはこの方面で攻めて行こうと考えに至った。


金がないならある奴から奪えばいい。

服がないならある奴から奪えばいい。


そう奪えばいい。

ただし今の俺は以前と違い良心なんて正直持ち合わせてないが、罪のない人間を襲うのもどこか嫌悪感を伴って来る。

何だかこの国の連中と同じ様な気がして腹立たしい気がする。

勿論必要ならどんな人間だろうが奪い潰せる。

情け容赦などなくである。


しかしそれならどうするのか。

決まってる。悪感情を抱かず相手を蹂躙し奪える存在。

そう。こんなファンタジーな世界だ。盗賊団とかくらいあるだろう。

盗賊なんて奴らなら遠慮なく潰せる。


そう決めるとキキに声を掛ける。


「おい、キキ?満腹で悪いが”遠鏡”でこの周囲を確認してほしいのだが頼めるか?」

『キキッ!』

「問題なしか…(ファンとは”念話”で会話がはっきり解るがキキとは何となく読み取れるだけだからな…)」


俺の頼みにキキは頷くとあ~と口を大きく広げる。そしてキキの口が鏡の様な膜で覆われる。


『キキ?』


何処を探るのかと聞いてくる。

取り敢えずこの周辺でガラの悪そうな人間が複数居そうな場所を探らせる。


『………キキ…』


探っていたキキだが困惑顔を浮かべる。

どうやらあまりキキは人間と出会った事がないらしい。

ガラの悪い人間がよく分からないらしい。


「…そうか。それは仕方ないか…」

『キキィ…』


何だか申し訳なさそうだ。

どうするか。

手はある。

手はあるのだが……前科があるので試すのが躊躇する。

俺が躊躇している方法は”擬人化”のSkillだ。

キキを人間化させる事で人間となった際に得られる知能獲得と、人としての戦闘力アップを恐らく獲得させる事が出来るだろう。

ただ……。

こいつを人間化させて俺の身が侵される可能性が浮かぶ。

ファンには人間化させたら襲われたしな。

まあファンは俺に好意を隠さない純粋な子供だったが、キキはどことなく知的なイメージがある。

俺に対してもファン程の好意を感じないし大丈夫か…。


「まあとにかく試すか。キキ、これからお前に人間化させるSkillを掛けるぞ」

『キキ!?』


とにかくその場を絶対動くなと困惑しているキキに告げると俺はSkill”擬人化”をキキを対象に発動する。『いいなぁ~』と羨まし気な声が聞こえてくるが今は無視だ。

俺の”擬人化”の効果がキキに掛かり、キキの身体が光に包まれる。

俺の掌サイズのキキがだんだんと光と共に大きく人の姿に形成されて行く。


そして俺とファンの目の前に人の姿に変態したキキが立っている。

キキは目を瞑っている。

俺は一通りキキを眺める。

髪は少し脱色気味の銀の髪。長さは首の下くらいのショート。

身長は正直俺より高い。170はあるだろうか。一般的な女性の身長より高いだろうか。

スタイルはスレンダーなモデル体型だろうかと思った。手足も長く無駄な肉がない様に見える。ただ胸はファンより小さい。ファンが巨乳なら――いやこれは考えないようにしようか。

ただ総合的に見ても目を奪われる美人であると言う事だろうか。

ファンも『綺麗だなぁ~いいなぁ~』とキキを見てそう感想を言った。

ざっと見て俺はクールな秘書ぽい、軍服着たら似合うとか感想を抱いた。

ん?ファンの時に比べて狼狽してない?

……慣れたのだろうか?

取り敢えずこのままもアレだし声を掛けよう。


「おぉい、キキ。もう終わってるから目を開けて見ろ」

「……はい」


キキの声を聴いて綺麗だと思った。

そしてゆっくりとその瞳を上げて行く。

切れ目と言うのだろうか。宝石の様な紫の瞳。長い睫毛。

思った通りクールさのある美女だ。


「……主、でしょうか。なんだか不思議です。こうして目線を近くで見るのは」

「それはそれは。取り敢えずだが何か違和感とかないか?なんでも良い。問題があれば教えてくれ」

「違和感です…か…!?」


俺が人化の調子はどうか確認するとキキは目線を己の裸体に向けて言葉が途切れた。

何だかクールさのある白い肌が朱色に染まっていく。

顔なんか茹っているかの様に真っ赤だ。

そして、


「なあぁああぁ!?な、なぜ私は裸のですかぁ主殿!?」

「いや。お前最初から服なんて来てないんだ、裸なのはあた―」

「きゃあぁ!?見ないでください、主殿!恥ずかしくて死にそうですぅ!」

「……」


なんだか思い描いていたクールさがない。

年頃の普通の女性の反応だ。

どうやら魔獣でも違いはあるらしい。

ファンは裸の状態でも特に羞恥心がなかったようだったが、キキは違うようだ。

恥ずかしそうに顔を真っ赤にし身体を隠そうと必死になっている。

あと腕で胸を隠そうとしているらしいがその際に『小さい…』と言う呟きが聞こえた。気にするタイプのようだ。ファンの人化を見たらどうなるかちょっと試したくなったが今はやめておこう。うん期待の籠った目を俺に向けるなファン。


取り敢えずこのままだとキキが羞恥で憤死しそうな感じなので元の魔獣形態に戻した。

何だかキキもホッと一息ついたようだ。


『はぁ、驚きました。…主殿、申し訳ないですが、私を人にして頂く際は服の方を用意出来てからにしてください。恥ずかしさで一杯です』

「ははっ、一先ずだが解ったよ。それとどうやら人化して”知能獲得”と”念話テレパシスト”を獲得出来た様だな。キキの声も普通に言葉で聞こえるし。ファンはどうだ?キキの言葉が人語で理解できるか?」

『できるよ~キキってすごく綺麗だったよ~』

『そ、それはどうもです、ファン殿。此方も今後とも宜しくです』


通常ではキキは少し硬いイメージの喋り方だ。

まあ先程みたいに慌てた際はそのイメージは崩れるようだが。

なんだか面白い。


取り敢えず”知能獲得”によって理解力が向上したキキにもう一度周辺で盗賊ぽい輩の居そうな場所を探索させてみた。

”知能獲得”によって感知力も向上。ガラの悪いイコール悪意がある人間と理解したのか、そう輩を感知探索し始めた。


『……主殿、見つけました。悪意に満ちた感覚が漂う人間の集団を』

「ほぉ、何処だ映して見てくれ」

『了解です主殿』


キキの口の鏡にその様子が映し出される。

映されたのは此処とは違い人の手が加えられた洞窟に蔓延っているあからさまに人に迷惑を掛けるのが、略奪と暴力性を含んだ男共の姿が映っていた。


「ビンゴだ。キキ、此処がどこか分かるか?」

『びんご?と言うのはよく分かりませんが、此方の場所は把握出来て居ます』


キキから教えて貰った場所。

其処は俺達が今いる此処から数十キロ先にあるようだ。


「キキ、こいつらの声を聴いたりとか出来ないのか?」

『少しお待ちを……出来ました。これから流します…』


キキの口鏡から盗賊共の声が聞こえてくる。

声を盗聴できるとか本当に便利だ。

盗聴して判ったのは次の日に俺を追い返したあの街へ向かうらしい街道を通る商人の馬車を襲う計画の様だ。


クククッ。思わず笑みがこぼれる。

明日の予定が決まった。

明日は盗賊退治と行こう。そしてその場のある物を俺の物として奪おう。

何、キキ?主殿あくどい顔をしている?

ふふっ、気にしない。

さあそうと決めたら計画を練ろう。


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