お嬢様定期試験ですよ!ー勉強してない、ヤバい!ー
朝起きると既に朝食は出来てる、それは環が朝早くから作り、そして先に学校に行く。相馬はその後起きてから朝食を食べるが今日は環と同じ時間に起きた。
「おはよう相馬」
「ああ、おはよう環」
相馬は環が近くにいようと近くになろうと別に何ともない、女嫌いにさせた張本人である環だが同時に感謝する事もあったため憎む以前に感謝する事が大きかったため憎むなんてことはなく普通に接することはできる。
「相馬、手伝って」
環は朝食の支度をして相馬を呼ぶ。
「ん、分かった」
相馬は嫌とも言わず手伝う。特に話すこともない二人は黙って朝食の支度をする。
するとリビングに入ってくる奈々。
「おはようパパ、ママ…」
寝ぼけてるのか奈々はまだ眠そうな瞼を擦りながら相馬と環を両親と間違える。
それを見て聞いた相馬と環は一瞬固まったがすぐに鼻で笑う。
「?……ハッ!ち、違う!間違えた!」
一瞬何で笑ったのか分からなかった奈々、しかし段々と眠気が覚め始めると自分が何を口走ったのか思い出し顔が赤くなる。
「ふふっ、奈々ちゃん可愛い」
環が奈々をからかうように可愛がる。
「ごめんなさい!環先生」
頭を何度も下げ謝る奈々。
「そんな頭を下げないでいいのよ、それより大丈夫だった?」
「はい?何がですか?」
「相馬のベッドと部屋、汚いでしょ。もしアレだったら私か相馬に掃除させるよ」
「おいーーーー!勝手に他人に部屋を開け渡そうとするなー!」
「相馬、奈々ちゃんは大事な生徒だから」
「とは言ってもお嬢様だから次は失態しないためだろ…」
「バレた?」
「バレバレ、まあそこんとこは俺も正直気をつけなきゃいけないからな、ただ部屋については要そうだ…」
「汚いので纏めておきました」
「おいーーーーーー!!お前ーーーー!!」
笑顔で奈々は言う。慌てて自分の部屋に走っていく相馬。
「ま、嘘ですけど」
リビングから出ていく相馬を舌を出して見送る奈々。
「なかなか相馬の扱いが分かってるね」
「そうでもないですよ〜、相馬くんが馬鹿なだけですから〜」
本人がいない所で勝手に弄られ方を褒められる奈々、そして戻ってくる相馬。
「大丈夫だった…」
驚いた顔をする相馬に何事も無かったかのように環は朝食の支度が終わって学校に行く準備を始め奈々は朝食を食べ始める。
「じゃあ先に行くわ、相馬はしっかりと奈々ちゃんだけじゃなく摩耶ちゃんと一緒に来ることいいね?」
「無視かよ…。どうせ断っても無理だろうから分かったよ」
「よろしく〜」
リビングを出て行く環、ちょうど相馬が朝食を食べ始めると同時に玄関を開ける途中環は思い出したかのように相馬と奈々に言った。
「あ、そうだ。定期試験そろそろだから勉強ちゃんとしなさいね〜」
そう言って環は出て行った。
「テストなんてあるのね、まあでも私はよゆ〜…、あんた苦手なの?」
奈々は自信満々に話すが相馬はなんとも言えない顔をしていた。
「まあ苦手だ」
「ふっ、あんなクソ簡単な問題も分からないの?」
「摩耶もそうだけどお前もテストなんて楽勝なんだな」
「勉強してればどうってことないわよ、まあ私が教えてあげないこともないけど?」
相馬は悩む、まだ摩耶に教わるならまだしも今は教えてもらう以前に話してくれない、しかし赤点を取るわけにはいかない。だが奈々に教わるのは癪に障る。まさに切羽詰まった状態で唸る。
「うぇ…、あんたそんなに唸るほど悩むの?」
「最初は摩耶から教わったけど今の状態だとな、それにお前から教わるのが癪だ」
奈々は摩耶と聞いて眉が少し動く。
「あんた摩耶に教わってたの?」
「まあな、最初は抵抗あったけど教え方といい、要点がかなり絞られていてめちゃくちゃ分かりやすかった。けどギリ赤点回避」
摩耶の教え方は学校の教え方より圧倒的に分かりやすかった事をしみじみ思い出す。それを見ていた奈々は大きくため息を吐く。
「根本的に馬鹿ね、はぁ…いいわ。私が完璧に教えてあげる」
「はぁ?別にいいよ」
「遠慮するなって、私が教える」
「いいよ、なんとかして摩耶に教わるから、それと同時に…」
摩耶に教わるついでになんで相馬を避けるのか理由を聞く口実を考えていた相馬だが急に奈々が怒ったかのように言い出す。
「私が教える!」
「急になんだよ…そんなに怒って」
「怒ってない!!いい?私が教えるから摩耶には近づかないで!」
「近づかない?意味がわからない、摩耶に理由を聞けの次は近づくな?どいうことだ?」
突然訳の分からないことを言い出す奈々に困惑する相馬。
「うるさい!!いいから私が教える、いいね」
「分かった分かった、朝から大声はやめてくれ」
大声を上げる奈々に耳を塞ぐ相馬。
「わ、悪い。まあいいわ、私が教えるいいね?」
「はいはい、お前がそこまで言うなら」
何をそこまでムキになるのが分からなかったが教えてくれるのなら誰でもいいと思い相馬は仕方なく頷き承諾した。
そして当然、登校は相馬に奈々は一緒に摩耶は少し離れて登校した。
「相馬、どうする?」
少し前を歩く摩耶を見て小声で話す奈々。
「どうすると言われてもな…、とりあえずアレで行くか」
「アレ?」
相馬は摩耶の近くに行く。
「摩耶、おはよう」
「おはようございます、相馬さん…」
挨拶は返すがどこか暗い表情の摩耶。
「環から聞いたんだがそろそろテストらしいぞ、そこで悪いんだが…」
「ごめんなさい、今回は他のクラスメイトに教わってください」
摩耶が悪くないのだが摩耶は頭を下げ謝る。
「あ、ああそうか、なんか悪かったな。今回は奈々に教わるから」
「奈々…ちゃん?」
ふと顔を上げる摩耶に相馬はやはり奈々が何か関係してると思い相馬は少しでも聞き出せるように仕掛ける。
「そう奈々に、あれ?もしかして奈々は俺より馬鹿なの?だとするならば摩耶に教えてほしいな〜、なんて…」
女嫌いは摩耶は知っている、相馬のこの発言は明らかに女嫌いから言えるものではないが摩耶には騙せるだろうと思い切って仕掛けた。
しかし、摩耶は何も言わず歩き出した。
「お、おい摩耶?」
止めようとした相馬、だが摩耶の口から、
「奈々ちゃんに教わってください」
冷たい一言、それだけ言い歩いて行った。
「ちょっと何してんのよ」
奈々が急いで相馬に近づき背中を叩く。相馬は呆然と立ち尽くしていた。
「…相馬?お〜い」
何も反応がない相馬に顔の前で手を振る。
「…奈々、あの摩耶は見たことあるか?」
相馬は聞く。
「うん?あんなの初めてよ、いつもはみんなを惹き付けるほどの言葉と笑顔で話す摩耶、けど今の状況は私にとっても初めて。だから心配なの」
「そうか…」
相馬は摩耶の言葉が冷たく突き放すような言い方に深く疑問に残った。
その後は奈々に勉強を教わる相馬、しかし摩耶は普通にクラスメイトと楽しく会話をする中、ふと摩耶の視線を感じ振り向くと摩耶は見ていない。気の所為だと思い再び勉強するがやはり視線を感じる。
「どうしたの?相馬くん?」
奈々は時折摩耶の方を向く相馬を気にかけた。
「いや何でもない、それより相馬くんはやめろ気持ち悪い」
学校では猫を被る奈々に裏表に差がありすぎて気持ち悪さを覚える相馬。
「もう相馬くん何言ってるの〜」
「キモっ…」
相馬は口から零れる、すると奈々は手元にあったシャーペンを喉元に向ける。
「殺すぞ」
「おっかねぇ〜…」
謝る相馬、再び勉強に戻る。
お昼休み、相馬と奈々は交代で摩耶を見守る。イジメの件は奈々に既に話してあるため一応まだ警戒はしていた。
「じゃ、俺はトイレに行ってくる」
「分かった」
奈々に見守りを任せて相馬はトイレに向かう。
トイレに入ると誠人が追いかけてきたのか走って相馬とぶつかる。
「痛っ!なんだよ急に」
「相馬ー!なんで奈々ちゃんと仲が良いんだよ〜、ズルいよ〜」
誠人は相馬にしがみつく。
「キモイキモイ離れろ」
無理やり引き剥がす相馬。
「なんでお前だけ!ってみんな騒いでいたよ」
イジメの件以降は大分相馬と距離を置くようになったクラスメイト達、しかし誠人だけは変わりなく相馬と接していた。
「知らん、俺に聞くな」
「けどよ〜、相馬は摩耶ちゃんと会話する機会減ったか?」
中々鋭いところに突っ込んでくる誠人。
「そう見えるのか?」
「いや〜、見える所か全く摩耶ちゃんは相馬に近づかなくなったよな、むしろ奈々ちゃんが来たからか?となると摩耶ちゃんと奈々ちゃんには何か深い繋がりが?」
勝手に盛り上がり推測を始める誠人にこれ以上は探られないように口止めする。
「誠人、これ以上関わると危険だぞ」
最も危険視は奈々だと言いそうになるが踏みとどまる、相馬の期待通りに誠人は引くと思った。しかし、
「危険!すっげ、面白そ〜、なかなかスリルあるな〜、やはり可愛い子にはトゲがあるってことか?」
逆に興奮し始める誠人に頭を悩ませた相馬。誠人も危険かもしれないと思った瞬間だった。
教室に戻ると奈々はいつの間にか購買に行ったのかパンを食べ待っていた。
「ふぅ、誠人に絡まれた」
「まふぉとってあの?」
「パンを口に入れながら喋るな」
「ん…、誠人ってあの?」
奈々はちょうど教室に入ってきた誠人を指さす。
「そうだ、まあいいそれより勉強やらないと」
「分かった、あとそれから今日の放課後は摩耶の家に行ってくる」
「大丈夫なのか?」
「あんたがトイレに行ってる間に摩耶から来たの、そしたら家に来て欲しいって」
「なるほどね、じゃあ任せた」
「一応頑張る」
奈々は少し緊張していたが相馬と勉強を教えている間に緊張は解け放課後になった。
帰り道の途中で摩耶と奈々は分かれる。
「また明日な摩耶」
相馬を避ける摩耶だが挨拶は欠かさない。いつもなら笑顔で返す摩耶しかし頭だけ下げる。そんな摩耶が心配になっていく相馬だが今日は奈々が二人っきりで話せると思い何か進展はあるだろうと期待して分かれた。
家に帰った相馬はいつも通りに家の家事をしつつ夕食の支度をする。
「ただいま〜…も〜疲れた〜」
疲れた愚痴を言いながら帰ってきたのは環だった。
「おかえり」
「相馬〜、聞いてよ〜…」
環は帰ってきて早々疲れた愚痴を相馬に一方的に話す、相馬はそれを聞き流しながら夕食の支度をする。
「ただいま〜」
奈々が帰ってきた、しかし奈々はリビングに顔を覗かせて相馬を見つけると手招きした。
「環、あとは任せた」
「え〜…私疲れたんだけど〜」
環に任せてリビングから出ると奈々が待っていた。
「どうだった?」
「えっとその〜、かなり意外な理由だった」
「意外な理由?」
「私とあんたが一緒にいるのが嫌らしいよ」
「俺とお前が?なんで?」
相馬と奈々が一緒にいるのが嫌、その理由が全く分からない相馬は驚く。
「分からないの?」
しかし、奈々は分かっているようで逆に驚く。
「うん…お前何か分かるのか?」
理由を聞こうとする相馬、しかしそれを見た奈々は呆れた。
「はぁ…、あんたマジのヴァカね……正直今すぐにあんたをぶん殴りたい気分よ」
「なんで!?」
「本当に私は申し訳ないことをした、相馬。
勉強は自分でやりなさい。それと私と学校では今後一切喋らないで」
「はぁ!?いやいや急にどうした」
突然奈々が今後一切関わるなと言ってきたことに困惑する。
「自分で気づけこのバーーカ!!」
奈々は怒ったかのように相馬の部屋に向かう。何に対して怒ってるのか全く分からず理解出来ずに呆然とする相馬。
「相馬〜、ちょっと来て〜」
台所から相馬を呼ぶ環、相馬は理解出来ないままとりあえず急いで台所に向かった。
結局、夕食後奈々に聞こうとしたが全て「自分で考えろこの馬鹿」と突き放された。
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