第4話:動き出すステージ

 令和になる前、平成の時代――リズムゲームは生まれたのである。西暦二〇〇〇年より若干前の事だろうか?

その当時はマニア向けという色が濃く、それこそ格闘ゲームやシューティングと言ったジャンルよりも人口は少なかったのである。

状況が変化したのは、ゲームメーカーのある一社が独占しているような市場が破られた辺りからだろう。

 それから様々なリズムゲームがリリースされ、アーケードや家庭用だけでなくフリーソフトやアプリゲームとしてもリリースされていく。

こうしてリズムゲームの広がりを見せていく中、ひとつのゲームが注目を浴びる事になった。

そのタイトルは『スターゲート』である。アーケード機種としては若干マニアックと言ってもいいだろう。

プレイ人口は一万人強という具合か。設置されているゲーセンの数を踏まえると、それでも多いかもしれない。

 その理由と言うのが、実は二年前ほどにこのゲームはサービスを終了したような状態だったからだ。

それを復活させたのが草加市にあるゲームメーカーと言われているが、真相は不明と言ってもいい。

一部には観光客を呼び込もうと聖地巡礼化するようなプロジェクトに――。



 ノートパソコンの前で少し頭を抱えているのは、ビスマルクである。SNS上では、既に一部勢力が炎上させようとネット記事が拡散されている現状――。

聖地巡礼や草加市が動いている件は事実なので、この記事が一〇〇%嘘を書いている訳ではないのがビスマルクの頭を抱える原因だった。

完全ねつ造であればガーディアンと呼ばれる勢力が動き、まとめサイトを駆逐するだろう。そう言った事が過去にも事件として報道されていたから。

 しかし、これに関しては真実も混ざっているので軽々しく捏造と叩けば、自分が逆に炎上してしまうのだ。

いわゆる『にわかファン』やバズりたいという欲望を持つネットユーザーによる仕業ではないのが、逆に頭を抱える状態だったのかもしれない。

(コレを、どういう理由で拡散しようと考えたのか――あのプレイヤーは)

 彼女には拡散した人物の検討は付いているが、確実な証拠がない。プレイヤーネームが同じでも、違う人物だったのは西雲にしぐもハヤトで実証されているから。

それでも何かその人物が該当する『プレイヤーネーム』を使ったのには、何か理由があると考える。悪意を持って評判を落とす、意図的に評判を上げて別コンテンツの炎上に悪用――色々とあるだろうか。

「途中から読んでも大丈夫か」

 先ほどまで見ていたページとは違うページに飛び、その文章をチェックしていく。

その内容は草加市の聖地巡礼計画の一つにも言及されていた。ARゲームで聖地巡礼を行おうとしていた、壮大な計画を――。

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