第2話:プレイしなければ、メッセージは伝わらない
リズムゲームの筺体は、基本的に立ちプレイの為に椅子がない。しかし、スターゲートに関しては椅子に座る形式だ。
その為、
西雲が液晶パネルタイプのゲーム画面に目を向けると、何かをタッチする様な指示が出ていた。最初は何か別の物を買ってこなくてはいけないと考えていたのだが――。
【リズムゲームガジェットを所定のエリアにタッチしてください】
画面で指示されていたのは、リズムゲームガジェットを筺体で光っている場所にタッチする事だった。
指示されている画面を改めて見ても、この形状でガジェットと言うのは無理があるのでは――と言う印象を持つだろう。
実際、その形状はスマートフォンのような物ではない。ほぼ携帯ゲーム機と言っても差し支えのない形状だ。
機能としてはリズムゲームのデータ保存や設置エリア検索等と言った物から、アプリゲームのプレイと多芸の持ち主でもある。
しかし、その値段は数万円単位ではない。何と、三千円もあればお釣りが出るレベルだ。これで採算が取れるのか疑われるレベルだが――。
(そう言う事か)
画面を見て把握した西雲が、ガジェットを所定のエリアにタッチする。
当然だが、電源がオフでも自動的に入る仕組みなので問題はない。節電モードにしていても、こういうときだけ電源が入る仕組みらしい。
モード選択はチュートリアルモードを選択するのだが、プレイ前にある物を選択する必要があった。
それがアバターである。リズムゲームでは特にプレイヤーの分身とも言えるアバターは、汎用アバターからアクセサリーなどをカスタマイズする仕組みが多い。
しかし、スターゲートでは別ジャンルで例えるのであれば格闘ゲームなどのキャラクター選択に近い仕組みだった。
これには西雲も無言で驚くしかなかったのだが――選択の余地なく、自動的にチュートリアル専用のキャラが選ばれる。
(現状で選択は出来ない――と言う事か)
最初にチュートリアルを飛ばす等の特殊シチュエーションがあり得るのか? 西雲は疑問に思うが、固定されたキャラでチュートリアルを進める事になった。
選択されたのはスカイダイバーと言うSFヒーローっぽい名前のアバターである。しかし、SFヒーローにしては違和感もあった。
それは、神話的モチーフも鎧などに含まれていた事も理由の一つだが、それ以上に西雲は何かを感じている。
(あのデザインは、まさか?)
その考えは後に的中する事になる。一連の事件の始まりも、ここから始まるとは予想もできないだろう。
全てはチュートリアルから始めっていた。ストーリーモードも、後に草加市を巻き込むような事件も――。
チュートリアル画面に関しては、普通のゲーム画面と変わらない。唯一違うのは、画面下にメッセージスペースが存在し、そこに説明表示されている。
【まずは簡単な操作説明を行います】
メッセージは特に声優によるシステムボイスがある訳ではなく、普通にメッセージ表示だけだ。
タッチパネルの近くにあったボタンがスタートボタンで、これを押せば飛ばせるが――それではチュートリアルを選んだ意味がない。
【画面上にあるラインは、各種ボタンに対応しております。ラインにノーツが出現した際に――】
西雲は何かを察し、右手側にある筺体のボタンを押す。次の瞬間には右側のラインが光出した。
どうやら、ボタンを押せばラインが光る仕組みになっているらしい。リズムゲームではよくある演出だろう。
(後はレバーの説明があれば――)
西雲はレバーの解説までメッセージを飛ばそうとも考えたのだが、判定は何処で行うのか疑問を持つ。
(基本的なリズムゲームの場合は、判定ラインにノーツが来た時に押すタイプが多いが――)
しかし、ノーツが目の前に現れたりする事がない。ノーツの形状が出てきていないので、今のアクションは早すぎたのだろうか?
疑問に思う個所はあったのだが、それは次のメッセージで自己解決する事になる。
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