1-3

 翌日、この日は一部のゲーセンで行列が確認されたという。新機種が入荷したという話はSNS上でも存在しないので、どういう事なのか――と思う人が多い。

その状況でゲーセンに姿を見せた人物、それは西雲にしぐもハヤトだったのである。一体、彼の目的とは何だろうか?

行列自体は、店外まで並ぶような大行列ではない。SNS上の写真も、おそらくはないよが盛られている可能性が高いだろう。

まとめサイト上でも炎上まがいの記事が散見されたので、もしかすると今回の行列騒ぎを炎上商法に利用しようという勢力の仕業かもしれない。

(並んでいるのは、炎上勢力のモブではないようだな)

 西雲は待機列に並んでいるのが、炎上勢力に加担するようなモブキャラではないと確認はしている。

しかし、本当に全員が炎上勢力ではないかと言われると疑問は残るだろう。

行列のモブに関しては西雲が見ている事も気付かないように、スマホを見ていたり、普通に列に並んでいる等の行動をとっていた。

西雲に無関心と言う訳でなく、何人かが誰かが見ていると思って視線を向けた位かもしれない。

『このリズムゲームは、非王道と思う人が多い。元々、リズムゲームにストーリーモード自体が不要と考えるプレイヤーが多いためだ』

 行列に並んでいた人物の一人が、見ていた動画は――まさかのジークフリート。つまり、この行列はスターゲートに並んでいる列だったのだ。

西雲が気付いたのは、別のゲームをプレイしようとスターゲートの近くを通りかかった時だったのである。

(あの動画で、ここまでの行列が出来るのか?)

 実は他のゲーセンでもスターゲートの増台を決めた場所はあるのだが、こちらのゲーセンは既に四台で稼働していた。

そうした事情もあって、行列の方も一時間が経過した辺りで解消されていく。西雲が別のゲームをプレイしている頃には、行列はなくなっていたのである。



 西雲が筺体に並ぼうと考えていた時には、四台とも空席になっていた。これをチャンスと思ったのかは不明だが、備え付けの椅子に座り――筺体にあるコイン挿入口に百円玉を入れる。

筺体の形状を見て異色に思ったのは、ロボットゲーで使う様なレバーが中央、二個のボタンがレバーから少し離れた両脇に固定されたようなコントローラーだろう。

ボタンを叩いて演奏するようなタイプは西雲にも覚えがあるのだが、レバーを使う様な機種は――レアかもしれない。

 実際の事を言うと、リズムゲームはリアルの楽器をイメージしたような筺体が比較的に多い傾向だ。太鼓、ギター、ドラム、それ以外にも――色々とあった覚えがある。

今の時代は楽器演奏を体感できるような機種よりも、タブレット画面に触れるタイプのようなアプリゲームをプレイする事が多い。

それを踏まえると、リズムゲームも演奏より操作性やギミック面、それ以外の要素で売り出す作品が多いのだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る