君はゴーディアンを知るか

２－６．世界でのゴーディアン－ヨーロッパ&アメリカ編

　『闘士ゴーディアン』のアニメは世界各地で吹替版が放送された。どの国で一番愛されたのか。独断で言わせてもらうとイタリアだ。

　イタリアでは１９７０・８０年代に日本アニメの吹替版が子供向けの枠で多数放送された。『闘士ゴーディアン』は１９８１年にイタリアで『Gordian』のタイトルで放送されると超合金と共に人気になり、現在もロボットアニメの古典の一つと位置づけられている。

　人気に貢献したのが主題歌『Gordian』。

　作詞 Lucio Macchiarella, 作曲 Franco Micalizzi, 歌 Superobots.

　１５万枚という売り上げ記録がネットにはある。プロテッサー・デリンガー・ガービンのコールが冒頭にあり、ダイゴがロボットに嵌入して戦うという内容が歌詞に織り込まれている。

　日本アニメはイタリア語でのオリジナル主題歌が作られることが多く、Wikipediaによれば、レコードは同じグループの歌った『UFO Diapolon』『(UFOロボ　ダイアポロン』イタリア語版主題歌)とのカップリングで発売された。

　イタリア版はダイゴ等、主要人物の名前は日本版と同じだが、一部はイタリア風に訳されている。ピーチィがペギー、ピーチィの母マルテがマルツィア、サクシダーがサクシダラス、花巻博士がドクター・キビ(チビヒゲ博士のテロップからだろう)、ゲバリスタがマッシリミアーノ、等である。

　また、イクストロンは「X-Tron」、アノー号は「Anoha」という表記がされている。

　ダイゴ役のMassimo Corizzaは『ドラゴンボール』の孫悟空や『タイムボカン』の丹平、『怪物くん』の怪物太郎や『キテレツ大百科』のコロ助等、様々なアニメの吹替でイタリアでは有名。

　『マジンガーZ』や『鋼鉄ジーグ』が大人気な国らしく、ゴーディアンのコミカライズが桜多吾作であること、コンピューターの中の父親等、『鋼鉄ジーグ』との類似点について語られることもある。

　詳細な作品紹介があるサイトも複数あり、作画ミスに突っ込みを入れるコーナーまである。

　ソフト化も複数回されており、VHSとDVDが確認できる。VHS箱絵の一部は日本版LDのジャケットが流用されている。現在でも配信等で視聴ができるようだ。イタリア版デアゴスティーニの日本アニメを取り上げたシリーズの一冊にも選ばれ、ビデオが付いていた。

　スペイン語版はこのイタリア語版を翻訳した形で放送され、主題歌 『Gordian』もスペイン語訳されて歌われた。スペイン語圏のラテンアメリカでも放送されたようで、エルサルバドルで放送されたという証言がネットにある。『El Peleador Gordian』『Gordian el Guerrero』等のタイトルで検索できる。

　ダイゴ役のAlfonso OBREGÓN は、『NARUTO』はたけカカシの吹替等で有名。

　フランス語版は数々の日本アニメが放送された「クラブ・ドロテー」枠で１９９０年１０月から放送されたが、枠の末期でもあり、８話まで放送したところで打ち切られた。

　吹替自体は２６話までされたとネットでは記録されているが、後に放送やソフト化がされたのかは不明。OPは日本版をそのまま流していた。

　放送とは別に８０年代にVHSソフトが発売されている。これには１～３話まで収録されていたようだ。『Gordian et la panthere d'acier』等で検索できる。

　フランス語版は一部の名前を変更しているので分かる範囲で紹介する。

　ヴィクトールタウンはEl Pecco。サオリはIris。ダルフはSancho。ピーチィはGabrielle。チョコマはJeannot。ゲンはGuillaume 。毒魔大帝統はChef des méchants。サクシダーは恐らくKaregas。マドクターは恐らくles Vigils。

　Romain Linton(ロマン・リントン)ことダイゴ役のVincent ROPIONは、『シティハンター』のNicky Larson(冴羽リョウ)役で有名。

　アメリカでは超合金は発売されたものの、２０２０年現在アニメは完全翻訳されていない。２０１４年、Anime Solsという会社がクラウドファンディングでのアニメ字幕翻訳配信を試み、『闘士ゴーディアン』の１～３話までを字幕翻訳で配信した。しかし計画は頓挫し、Anime Solsもその後廃業した。

　次項ではアジア圏の放送を取り上げたい。