1-74.総論『闘士ゴーディアン』を再見して

 『闘士ゴーディアン』は奇妙な作品である。未来の西部劇世界にロボットがいる所から始まり、最後には超宇宙へ至る。こんな話は今のところゴーディアンだけである。

 ダイゴの安原義人の演技も、序盤の暴れん坊から街や仲間を守る闘士にシフトし、やがて人類の未来を救う存在であることを自覚していくに連れて変わっていく。やはり真骨頂は、60話の竜馬の遺骸を前にしての涙の訴えだろう。そして、この後の安原義人は少年役よりも青年役、主役級よりは2.5枚目のサブキャラにメインが移っていく。ダイゴの演技は少年役としての安原義人の頂点だったと言えるだろう。

 ゴーディアンの魅力を上げればきりがないが、集団ドラマを支えたレギュラー声優陣による演技。主題歌とBGM。四人の脚本家の個性を生かしたストーリー。メカ設定の河森正治によるバラエティ豊かなメカとアノー号。そしてゴーディアンの「分身合体」というシステム。

 もちろんアニメの作画や演出、撮影について、ストーリーやシーンの粗など、突っ込みたいシーンも枚挙にいとまがないが、それもひっくるめて私はゴーディアンが好きだ。

 ニコニコ動画内「タツノコ劇場」での再放送で、大勢の視聴者と「ゴーディアン」の感想をリアルタイムで共有することが出来たのは素晴らしい出来事だった。ツイッターでの感想やニコ動のコメントでは批判も多数あったが、ゴーディアンの作品としての魅力に気づいた人が増えてくれたことが嬉しい。

 私はダイゴ役の安原義人のファンで、LDが発売された際に初めて全話視聴したが、正直内容をきちんと覚えてはいなかった。AT-Xでの再放送時にサイト内でこのコーナーを立ち上げた訳だが、途中で脱落。今回見事完走できたのは、視聴者の感想と共に、入手したまま眠っていた脚本やアフレコ台本等、当時の資料が宝の山だったことに遅まきながら気づき、話を進めながらアニメでは描くことが出来なかった事実を一つ一つ明らかにしていく過程にのめり込んだからである。

 ゴーディアンには、まだまだ描くことが出来なかった事実が眠っているに違いない。いつの日か完全版の資料集が発売され、当時のスタッフの証言が聞けることを期待したい。

 そして、安原さんがお元気なうちにぜひともスパロボに出てもらいたい。

 では、最後はダイゴの次回予告に則り閉めよう。

 「また会おうな」


 こうして本編解説は終了したが、ゴーディアンにまつわる物語はまだ続く。次章からは本放送後の展開、他国での放送状況を中心に語っていきたい。

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