1-56.56話「遥かなる旅路」

 今回はジェロニモとロゼが仲違いを通して互いの意見を認め合い成長する話だが、劇中のあるシーンが視聴者に語り継がれている回でもある。それでは見ていこう。


56話「遥かなる旅路」 1980年10月26日


 脚本     :曽田博久

 演出     :秋山勝仁

(『アニメージュ』『ジ・アニメ』1980年11月号では紀裕行、『アニメージュ』1981年1月号では秋山勝仁)

 作画監督  :杜福安

『アニメージュ』『ジ・アニメ』1980年11月号では松井栄)


あらすじ


 ビッグカタストロフの危機と竜馬の説得に心動かされた人々は、続々とサントーレへ集まりつつあった。しかしマドクターも避難民を襲撃していく。ダイゴたちはレスキュー隊を組織し、各地のマドクター兵を撃退していったが、対応できる数には限りがある。避難民たちは過酷な旅を続けていた。

 毒魔殿では、襲撃が滞っているとの4将軍の報告を受けたバラスが毒魔大帝統に意見を仰いでいた。毒魔大帝統は「人類に未来はない、白い地獄のみ」と言い、黙示録115ページに書かれた「白魔作戦」を指令する。

 キンバリー山系に向かうジェロニモたちは吹雪に悩まされていた。仲間のトッポが崖で滑落してもそのまま進むジェロニモ。仲間たちは納得しているが、ロゼはジェロニモの非情な態度に戸惑う。

 サントーレでは、花巻博士が予想よりビッグカタストロフの地球冷却進度が速いことに不審を抱いていた。

 ジェロニモたちがさらに進むと雪原でパンツ一枚でくるくる回る男を発見する。男は低体温症で矛盾脱衣をしていたのだ。男は「サントーレへようこそ」と言うとそのまま息絶える。ロゼは仲間が近くにいるかもしれないと飛び出す。予想は的中し、マドクターに襲われている避難民たちを発見する。

 絶体絶命のピンチのロゼを救ったのは、引き返してきたジェロニモだった。ジェロニモはマドクターを倒し、手持ちの物資を避難民に分け与えると再び出発しようとする。ロゼは避難民たちをサントーレへ送り届けるようジェロニモに頼むが、ジェロニモは「私たちには一刻を争う使命がある」と断る。避難民をサントーレに送り届けたいロゼにはジェロニモの態度が許せず、二人は袂を分かってしまう。

 バラスはスキーに乗って攻撃するスノー特殊部隊を繰り出し、避難民を皆殺しにするよう命ずる。再び襲われるロゼたちを助けに、ジェロニモたちがやってきた。ジェロニモはマドクター兵の母艦を捜すよう仲間たちに命ずる。

 異常気象の分析を続けていた花巻博士は、サントーレの周囲200キロにのみブリザードが吹き荒れていることに気づく。マドクターが原因だと察知したダイゴはゴーディアンで出撃するが、渦を巻くブリザードに突っ込んでしまう。ブリザードの中心に光るものを見たダイゴは、中心にマドクターメカがあると判断し、デュークスクリューを投げつけるが、跳ね返されてしまう。「1+1=3だ」とひらめいたダイゴは、ゴーディアンごとデュークスクリューを掴んで突入し、中心部で投げつける。今度は機械に命中し、ブリザードは止まった。

 ジェロニモたちも無事母艦を撃退し、再び旅立とうとしていた。だが、ジェロニモは助けられなかった避難民たちのことを悔やんでいた。ロゼは何事もなかったかのように荷物をまとめ、ジェロニモを促す。戸惑うジェロニモに、ロゼは話しかけた。

 「ホントはね、あたいもよく分かんないんだ。でも今はそんな気がするの」

 サントーレに集まる避難民、その人たちを乗せるアノー号、どちらが欠けてもプロジェクトXは成功しないのだ。


解 説


 吹雪の中でも毛皮のチョッキを着ただけのジェロニモ一行。鍛えられている。

 「矛盾脱衣」を一躍有名にした映画『八甲田山』は1977年公開。曽田博久もこれを見てヒントにしたのだろうか。男の声は福士秀樹だと思われる。

 今回のマドクターホバーは前面にマドクターのマークが付いている。

 スノー特殊部隊のストックは先端にビームが付き、ロケット弾として飛ばすことができる。スキーウェアやヘルメットも独自のもの。この装備の設定も河森正治だろうか。他にも避難民が乗っているホバーに引かれたそり付きキャビン等、珍しいメカが多い。

 ブリザード中心部突入時、「9回逆転サヨナラホームラン」と叫ぶダイゴだが、そこはアメラグで例えて欲しかった。ゴーディアンで野球に関するネタが出たのは初めて。


こぼれ話


 『ジ・アニメ』vol.12(1980年11月号)の放送予定欄では、視聴者の「ポールの役割について聞きたい、最近出ないのはどうしてか」という質問に山本優が回答している。

 まずポールの役割については、「いってみればボーイスカウトのリーダー的な役目」、そして出番については、「意識して登場させないということではなく、近いうちにまた登場してくることになると思います」と語っている。確かにこの後ポールの出番はあるが、この時点でどこまで先の展開を考えていたかは不明である。

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