第34話 恋人たちの帰り道
Side 香澄&司
「司〜! つーかーれーたーよ〜」
「はいはい。頑張ったねぇ〜」
と頭をよしよししてあげる。
仕事終わりの香澄と待ち合わせ、新橋の居酒屋にて軽く食事をしている。
締切に追われ残業続きだった香澄のストレス解消も兼ねて。
「本当うちの編集長って仕事振るの下手! 納期の管理とか最悪なんだよ。。」
「そうなんだ。今回きつそうだったもんね」
「本当だよ。割り振りをもう少し上手くしてくれてればここまで残業しなくて良かったのに」
「明日は休めるんだろ?
後でマッサージしてあげるから今日はゆっくり休みな」
「うぅ〜 どうせエッチなマッサージとかするんでしょ
私を酔わせてどうする気w」
「何もしないよ。今日は疲れてるだろうし休みなさい。
さ、そろそろ家に帰るよ」
ここのところあまり眠れてないみたいだしな〜
まぁ仕事も一区切りついたみたいだし、今日はベッドに横になったらすぐ寝ちゃいそうだよな
会計を済ませ、酔った香澄に肩を貸しながら香澄のマンションに向かう。
新橋と浜松町の真ん中あたりにあるマンション。
1LDKであまり広い部屋ではないが、山手線の内側という場所もあって家賃は結構お高め。
でも、職場から徒歩圏内だし交通の便もいいということで借りているらしい。
「ほら 着いたよ」
と合鍵でドアを開け中に入る。
「ほぇ いつの間に?」
「いやいや ちゃんと歩いてきたでしょw」
完全に酔っ払いモードだし、シャワーとか無理そうだな。。。
とりあえず、苦しいだろうから上着を脱がせシャツのボタンを少し緩めベッドに寝かせた。
静かなので寝たのかな?と部屋をでようとしたら
「マッサージしてくれるじゃらいの〜」
と寝言?と思うような雰囲気で声を掛けられた。覚えていたか・・・
「はいはい。じゃ肩と腰を揉んであげるからうつぶせに寝て」
「ふぁ〜い」
眠たげに返事をする香澄の肩や腰を少し強めな指圧でマッサージ
以前は軽く揉んでたけど強いくらいの方が気持ちいいらしいんだよね。
マッサージを続けていると10分くらいで寝息が聞こえてきた。
今度こそ寝たのかな?
そっと帰ろうとすると香澄が無言で俺の手を握ってきた。
帰して貰えそうにないなぁ〜
まぁ明日は香澄に合わせて俺も年休取ってあるし付き合いますかね。。。
「おやすみ香澄」
---------------------
Side かなめ&慎吾
僕の家とかなめ姉の家は、隣同士の建売住宅だ。
で、幼馴染物のお約束というか僕の部屋の窓を開けると、そこはかなめ姉の部屋。小さいころは、よくここを通ってお互いの部屋を行き来していた。
が、最近またこの"通路"が活躍している。
先月あらためて告白して、かなめ姉と付き合うようになって以来、窓を開けて会話したり、どちらかの部屋に訪れるなど大活躍である。
そして、今日も僕の部屋にかすみ姉が遊びに来ている。
会社終わりに待ち合わせして、カフェでお茶した後一緒に帰宅。
お互いの家で着替えた後、かなめ姉が窓から入って来た感じだ。
ちなみに最近はうちに遊びに来ると夕飯の手伝いをしたりもしてくれているんだよね。おかげでうちの親も[かなめちゃんはいつ家に嫁いでくるんだい]とやたら結婚させたがってくる。
小さいころから知ってるわけだし、家に居てもあまり違和感ないんだろな。
まぁ僕も将来的には考えている事だけど、今はもう少し恋人気分を味わいたい気持ちなんだよなぁ。
「あ そうだ かなめ姉 今度一緒に海行かない?」
「海? っていうと・・・・私に水着になれと・・・・」
「嫌かな? 」
「そ そんな事ないよ。
でもここ数年海とかプール行ってないし水着買わないと。。」
「じゃぁ一緒に買いに行こうよ かなめ姉スタイル良いし水着楽しみだw」
「そんなスタイル良くないし。。。
でも一緒に買いに行ってくれるんなら海行ってもいいよ」
「やった! じゃ明日仕事帰りに新宿で水着見てこ!」
かすみ姉と海行くとかほんと小学校の時の家族旅行以来かも。
水着って言っただけで顔赤くしてるし本当可愛いなぁ~
---------------------
Side 美樹&広木
新宿駅京王線改札前。
香織さんの店を出て仕事終わりの美樹を待ってるとこだ。
「ひーろーきさん」
後ろを振り向くと美樹が俺に抱き着いてきた。
「う~ 広木さんのにおい。。。」
「汗臭くない?」
「いえ、何だか癒されます」
俺の体臭に癒す効果は無いと思うんだが。。。
美樹も疲れてるんだろうか。。。
「食事はした? 軽く何か食べてく?」
「うん、夕方パン食べたから大丈夫かな」
「ちゃんと栄養取らなくちゃだめだよ。 じゃ明日もあるし帰りますか」
「うん!」
最近の俺と美樹の風景。
お互い仕事が忙しく会えない日も多いので、帰りだけでもと一緒に帰ったりしている。早く終わった場合は、相手の仕事が終わるまで待つ必要はあるけど、会えると思えば苦でもなかったりする。
今は、彼女の家の近くまで毎回送って行ってるけど、結婚したら同じ家に帰るんだよな。何だか不思議だ。
電車の揺れが心地いい。
美樹は俺の肩に寄りかかって寝ている。
疲れてるんだろなぁ~
優しく髪を撫でる。何だか幸せだ・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます