夜のひととき
ボクが寮の食堂のテーブルで買ったばかりの図鑑を読んでるとね、部活の試合へ行ったり実家へ戻ったりしてた寮生のみんなが帰ってきて覗き込んで行くんだ。
「おー、ボクトくん。きれいな図鑑だね」
「うん。今日買ってきたの」
「あら、ボクトくん、それって翡翠?」
「そうだよ。ミコちゃんの目が翡翠色だって分かったからこの図鑑にしたの」
しばらくみんなしてボクの図鑑を読んでてね。その内誰もいなくなった時にミチルちゃんが帰ってきたんだ。
「ミチルちゃん、お帰りなさい」
「・・・うん。ただいま」
「お父さんとお母さん、お料理食べてくれた?」
「・・・お母さんだけ。お父さんは美味しくないって」
「そう・・・いじめられたりしなかった?」
「お母さんが一緒だったからね」
「早く3人で暮らせるといいね」
「ボクトくん、あのね」
「うん」
「ボクトくんはお父さんもお母さんもいないけど、わたしは居てもいないのと同じ」
「ミチルちゃん・・・」
「わたしの家族は、居るけど居ないのと同じ・・・」
あ。
涙で濡れるとミチルちゃんの目もグリーンなんだね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます