6
そこは果てしない白が広がる世界だった。上下左右どこを見ても終わりが見えない純白。
ここが天国なのだろうか? それとも地獄なのだろうか?
時間の感覚もなく、体がふわふわと浮いているような感覚。永遠にこれが続くならここは地獄だとしか思えない。でも僕はここで考えた。
ニーチェ病……神が命を摘みとる病が本当に神様の行いなら僕が“選ばれた”ことには何か意味があるんじゃないかって。
どれぐらいの時が過ぎたのだろう。気が付くと目の前に神楽坂美姫の姿をした何かが無表情で立っていた。
神々しくあるわけではない。なのに存在感が圧倒的だった。見るものすべてが悟ることができる。これが神様だと。
神が口を開いたように感じた。
「ここはどこだと思うかい?」
音ではないのに頭の中に声が響いた。
「わかりません」
正直に答えることしか許されないと本能が告げていた。
「君は死んだ。傲慢で周りを顧みることなく自分勝手に生きて、最後は何かを悟ったふりをして自分にすら嘘をついて死んだんだ。
なにを偉そうに経験しているだけだと思っているのかわからないが、いつまでその自己満足を続けるのかは興味があったよ」
あぁ。本当に神様なんだ。僕の自分についていた嘘すら知っている。
「君にはひとつだけ権利をあげよう。曲がりなりにもあたしが蒔いた種だ。
だからひとつだけあたしに質問をすることを許そう。
本来なら人間のような自分勝手で傲慢な生き物の質問に答えることなどない。しかし認めよう。そしてその質問には君とは違って必ず嘘偽りなく答えることを約束しよう
ぜひ熟慮してくれ」
しばしの逡巡のあと僕は口を開いた。
「なぜ僕なのですか? そこら辺の塵芥ではなく、なぜ僕が“選ばれた”のですか?」
神楽坂美姫の姿をした神様は残念そうにため息をついた。
「なぜ、なぜって。君は本当に自分の頭で考えることができないようだね。しかし約束通り答えよう。理由などありはしない。くじ引きで君が外れを引いた。ただそれだけだ。
もっと言えば君は口癖のように自分は“選ばれた”人間だと言っていたね。だから君を選んでみた。これで満足かな?」
「あたしからも質問しよう。君はなんで生まれたんだい?」
僕はわからなくてただ口を閉じることしかできなかった。
君はどうして生まれたんだ?
その答えを僕に教えてくれ。
そこは果てしない白が広がる世界だった。上下左右どこを見ても終わりが見えない純白。
ここが天国なのだろうか? それとも地獄なのだろうか?
時間の感覚もなく、体がふわふわと浮いているような感覚。永遠にこれが続くならここは地獄だとしか思えない。でも僕はここで考えた。
ニーチェ病……神が命を摘みとる病が本当に神様の行いなら僕が“選ばれた”ことには何か意味があるんじゃないかって。
どれぐらいの時が過ぎたのだろう。気が付くと目の前に神楽坂美姫の姿をした何かが無表情で立っていた。
神々しくあるわけではない。なのに存在感が圧倒的だった。見るものすべてが悟ることができる。これが神様だと。
神が口を開いたように感じた。
「ここはどこだと思うかい?」
音ではないのに頭の中に声が響いた。
「わかりません」
正直に答えることしか許されないと本能が告げていた。
「君は死んだ。傲慢で周りを顧みることなく自分勝手に生きて、最後は何かを悟ったふりをして自分にすら嘘をついて死んだんだ。
なにを偉そうに経験しているだけだと思っているのかわからないが、いつまでその自己満足を続けるのかは興味があったよ」
あぁ。本当に神様なんだ。僕の自分についていた嘘すら知っている。
「君にはひとつだけ権利をあげよう。曲がりなりにもあたしが蒔いた種だ。
だからひとつだけあたしに質問をすることを許そう。
本来なら人間のような自分勝手で傲慢な生き物の質問に答えることなどない。しかし認めよう。そしてその質問には君とは違って必ず嘘偽りなく答えることを約束しよう
ぜひ熟慮してくれ」
しばしの逡巡のあと僕は口を開いた。
「なぜ僕なのですか? そこら辺の塵芥ではなく、なぜ僕が“選ばれた”のですか?」
神楽坂美姫の姿をした神様は残念そうにため息をついた。
「なぜ、なぜって。君は本当に自分の頭で考えることができないようだね。しかし約束通り答えよう。理由などありはしない。くじ引きで君が外れを引いた。ただそれだけだ。
もっと言えば君は口癖のように自分は“選ばれた”人間だと言っていたね。だから君を選んでみた。これで満足かな?」
「あたしからも質問しよう。君はなんで生まれたんだい?」
僕はわからなくてただ口を閉じることしかできなかった。
君はどうして生まれたんだ?
その答えを僕に教えてくれ。
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