第17話魔法学院と最強の清掃員
ここは何処だ……?頭がボーッとする……。
眩しくて目が開けられない。
意識を失ってそれで……手を何となく動かした。
すると━━
ムニュッ!
ムニュ?何だこれ。柔らかいな。指が沈む。暫くムニュムニュしていると
「あんた何揉んでんのよ!」
頭をぶん殴られ転がり落ちた。
「痛ってぇ!?」
あ、目開いたわ。
どうやら俺はベッドから落ちたらしい。
「あんた!女性の胸に触れるなんて何してくれてるの!?このケダモノ!」
若草色の長い髪を束ね三つ編みにした白衣の女性が怒鳴っていた。
「うむ、素晴らしかった」
白衣の女性がポケットから針が先端に付いていて液体が入った容器?を取り出してこちらに向けた。
バシュッ!
俺の顔の横を何か液体が通りすぎた。
ゆっくりと後ろを向くと……
ジュォォォォ!
煙を発しながら壁が溶けていた。
「これは特性注射器。注射器は中の液体をこの針を通して体内に打ち込む道具。本来ならね。特性注射器は引き金を引くと中の薬が一滴発射されるのよ。この説明じゃこの薬の恐ろしさを理解していないわね。この部屋はヘパイストスって神器を作る神に片手間に作って貰ったのよ。 片手間といっても神器を作れる神が作った部屋。下級の神のパンチでも罅一つ入らない。わかった?」
……オーバーキルじゃねぇか!
その特性注射器も薬もヤバイ!何が「わかった?」だ!当たったら即死だろッ!
「ほんとすみません。この通り」
土下座だ。この白衣はヤバい。
「ふんっ、まぁ事情は聞いているし許しましょう。おそらく魂が身体にまだ馴染んでなかったんだろうし」
「なぁ、一ついいか?」
「何?」
「そのヘパイストスさんが作った部屋なのに、溶かしちゃって大丈夫なのか?」
「……」
「……」
「あんたのせいよぉぉぉぉ!」
白衣の絶叫が響き渡った。
***
取り敢えず壁の問題を後回しにして、今の俺の状況について説明を受けた。
・シアが元の世界で何をしたか
・元いた世界が消滅した事とその原因
・シアの正体
「ったくあいつ無理しやがって……それでシアは何処にいるんだ?」
情報が多過ぎて理解が追い付かない。
「さぁ?でも転生システムに干渉すると上位の神でも力の大半を失うんだからかなり消耗してるはず。でもどーせすぐ回復するわよ」
「そのシアはルシファー?だっけ?そんな強いのか?」
「ここで歴史の勉強をする気が無いから一言で済ませるわ。勝てる奴はいないわ」
「まじか?」
「ホントよ。さ、貴方これからどうするの?」
「どうするとは?」
「私はルシ……シアに頼まれて貴方を治療してたのだけどこっからは自由よ」
「そうか選択肢はあるのか?」
「選択肢は二つ。一つ目はこの世界に残る。二つ目は他の世界で0から始める。一つ目はこの世界には神の学舎があって多くの神が様々な世界から集うから神と交流できるチャンスね。とは言っても貴方は部外者だから少し面倒だけど。
続いて二つ目。これは好きな世界を選んで貰って赤ん坊からスタートして貰う。魂は真っ白にされるから当然記憶も失うわ。新しい人生を楽しむのも悪くないんじゃない?貴方はシアと強い契約で結ばれているけど、解除する手段を彼女から渡されているわ。この紙を貴方が破けば契約が解除されるようになっているわ」
そう言って彼女は俺の目の前に一枚の紙を出した。
つまり俺がこの紙を破けばシアと二度と会えないのか……。
答えは決まってる。
「俺はこの世界に残るぞ」
あいつのいない人生は価値が無いな。
「そう、わかった。でも貴方は学舎に通えないわよ?」
なら俺は神と交流出来ないのか?でもさっき面倒って言ってたな。
「俺は強くなりたい。だから神と交流できるいい手段は無いのか?」
「……そうね。一つだけあるわ。学舎はとある組織を抱えていてこの組織は数多くの問題を処理するための組織。その組織のメンバーは『清掃員』と呼ばれてる。『清掃員』はほぼ神で構成されている精鋭だけど実力が認められればメンバーになれる。メンバーに加わることが出来れば神との交流が可能ね」
え!?清掃員カッコいいなッ!
「その『清掃員』になるには?」
「さっき言った学舎で試験を受けれるわ」
「案内してくれるか?」
「ええ、構わないわよ。でも即答だったわね。ホントにいいの?」
「ああ、構わない。あいつだけに背負わせてしまったのは俺が守られる側だったからだ」
「……どう思うかは自由だけど貴方は人よ。解釈出来る事と出来ない事もある」
「お前だって人だろ」
「はぁ!?違うわよ。私も神!」
「……まじかよ」
「ふんっ、自己紹介がまだだったわね」
白衣が胸を張って言った。
「私は医術の神アスクレピオス。親しい奴はアスクって呼ぶわ!」
自己紹介よりも揺れる胸が気になった。さっき触ったから分かるんだがデカイ。
「どこ見てんのよ!」
「痛っ!?」
ぶん殴られた。
「あんたまたさっきの撃つわよ」
「悪かったよ、アスク」
━━ガチャ
特性注射器を向けられた。
「私、貴方と馴れ合う気は無いの。次その名で呼んだら殺す。行くわよ」
じゃあ、さっきの説明要らないじゃん。この白衣怖い
***
俺達は外に出た。どうやら先程居た建物は学舎の医療施設だったようだ。
「うぉ、スッゲェ!」
俺は建築は詳しくないがとにかく凄い。
何の金属かは解らないが様々な装飾が施されている。
「そうね、私も凄いと思うわ。地球と言う星のサグラダ何とかって言う建物がベースらしいわ。オーディン学院長が気に入ったらしいわ」
「そうなのか。その学院長センスいいんじゃねぇか?」
「……たまたまよ。それ以外はただの変態。会ったらわかるわ。それより言い忘れてたわね」
白衣が立ち止まり俺の方を向いて腕を広げ言った。
「ここは
「ようこそデウス魔法学院へ。私達は貴方達を歓迎するわ」
「貴方達が何を成すのか……楽しみよ」
第一章魔法学院と最強の清掃員・終
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