第3話人の嫉妬は怖い

 

「……アルカ……お昼食べよ……」


 セツナが転移してきた。


「もう昼なのか、食べるのは構わないが何処で食べるんだ?」

「……もちろん食堂……清掃員でも入れる……学院の料理は美味しいから……」

「行くか」

「……任された……その前に……アルカの事を皆に紹介する……」

「は?」






 ***




 イリアーナ魔法学院・講堂




 セツナは五大賢者の中で最も人気だ。

 セツナの魔法を自分の目でみたい、セツナに近づきたいなど現在学院に通うも者はセツナ目当てが多い。

 俺はセツナ魔法学院でいいと思し、縁談持ちかけた奴は消えたほうがいいと思う。





 教師陣・生徒視点



 学院長が緊急集会を開き、全生徒を集めた。




 教師陣━━


「学院長が緊急集会を開くとは余程の事が……」


 白髪にオールバック、執事服を着せたらセバス何て呼びたくなりそうな老紳士が呟いた。


「ええ、ベルセート先生の言うとおりですね。学院長が集会を開くなんて初めてですよ」


 ボサボサな黒髪を掻きながら、白衣を着た折れそうな程身体の細い男。


「ベルセート先生もアルフォンス先生も静かにしてください。学院長の集会ですよ。喋るなら学院から消えてください」


 水色の髪を肩まで切り揃え、冷たい雰囲気を纏った目付きの鋭いメガネをかけたイケメンが言った。


「相変わらず学院長にお熱ですね。アイザック先生は」


 水色眼鏡、アイザックは答えた。


「当たり前です。学院長程可愛らしい女性はこの世に存在しません。ああ、今日も学院長は素晴らしいんです。まず━━(省略)━━。わかりましたか二人とも?」


「「取り敢えず、お前が一番静かにしてくれ」」

「皆さん~仲良くしてくださいね~」


 独特な話し方をする桃色の髪をボブカットにした、タレ目の女性━━ティアが言った。




 生徒━━



「学院長が俺達を集めるなんて何が起きるんだ?」

「分からない。まさか、事件か!?」

「それなら俺達を呼ぶか?」

「まさかっ!?」

「「「まさか?」」」

「……結婚?」

「「「……」」」


 ボキッ!バギィッ!ゴスッ!


「俺達の」

「学院長が」

「結婚なんて」

「……う"ぁりえなうぃでずねぇ(ありえないですね)」




『学院長が到着致しました。これより魔法学院臨時集会を行います』


 セツナが講堂の舞台に立った。


「……みんな集まってくれてありがと……今日はみんなに紹介したい人がいる……」




 生徒と教師は緊急事態で無いことに安堵したが……同時に






「「「(紹介したい人だとッ!?)」」」






 ***




「(あ、俺の清掃員生活終わったわ。これ全生徒の前で弟子コン披露するつもりだな)」



 そして━━セツナが言った。






「……今日紹介するのは……私の大切な人……」



 講堂が静まり返っている。



「(そうなるだろうな。自分達の憧れの学院長が大切な人を紹介するって急に言ったら固まるよな)」




「……ごめん、間違った……」






 ━━セツナが言い直した






「……私の旦那様……」





 ━━終わった





「(笑えない。非戦闘員の清掃員として仕事に就いた俺がこの先学校で生き延びる事は不可能だ)」






 ***




 教師陣━━




「(私個人としては非常に喜ばしい事……しかし……アイザック殿が……)」



「(おや、僕は結婚式に呼ばれ無いのでしょうか?出来れば出席させて頂きたい。学院長にはお世話になりました。それより……アイザック先生は……)」


「コロスコロスコロス……(省略)……」


「(男性の嫉妬って気持ち悪いですねぇ~。人を呪えば穴三つでしたっけぇ~?)」




 生徒━━


 生徒同士の魔法具通信


「(我らの掟を覚えているかッ!)」


「「「(はいッ!)」」」


「(では言ってみろッ!)」


「「「(『我々のメンバーが学院長と結ばれた場合は祝福する』)」」」


「(ではこれが第三者によって果たせなくなった場合はどうなるッ!)」


「「「(我々で粛正!)」」」


「(宜しいッ!さぁ、我らが同士よッ!行くぞッ!精霊召喚だッ!)」


「「「(うぉぉぉぉぉぉぉー!)」」」



 イリアーナ魔法学院には約千名が通っている。


 そしてこの魔法具所持率は学院の98%である。





 ***



 アルカ視点



 ━━「凄いわね。教師と生徒が精霊の召喚を始めたわよ」


「(……)」


 ━━「精霊王の契約者もいるわ」


「(……オウチカエリタイ)」


 ━━「大丈夫よ。私が貴方を守るわ」


「(し、シアッ!)」


 これ程まで、彼女が頼りになった事があっただろうか?

 いつも嫉妬しては、ベタベタを繰り返すダメ精霊神のシアがッ!


 俺は嬉しいッ!



「……ん……今呼ぶ……アルカ来て……」



「よし、行くぞシア!」

 ━━「わかったわ」


 俺はセツナの横に立った。


「清掃員になったアルカだ。1つ訂正するが俺は学院長の旦那じゃない」

「……でも一緒に住んでる……」

「おいッ!違うぞッ!住んでないッ!」

「……一緒に寝てる……」

「はは、学院長ッ!冗談きついですよー」

「……えッ……どうして……セツナッて……呼んでくれないの……私の事……嫌い……?」


 泣きそうな顔のセツナ。


「セツナ違うぞッ!大好きだッ!」


 焦った俺は咄嗟にセツナの肩を掴んで言った。


「……ん……良かった……」


 セツナが目をコシコシと擦る。


 ━━「告白かしら?こんな大勢の前で」




「あ"ッ……」




 時既に遅し。



 生徒と教師が魔法の詠唱を終えていた。




「同士よッ!放てェェェェェェ!」



 誰かの言葉を合図に夥しい数の魔法がこちらに向かって放たれた。



「(シアッ!逃げるぞッ!)」


 ━━「……」


「(おいッ!シアッ!)」


 ━━「気づいたのよ。これだけの魔法を防いだら貴方が実力があるとバレるって事に」


「(……本音は?)」


 ━━「よくも私の目の前で根暗に告白したわねッ!」



 やっぱり、こいつダメだわ。





 生徒と教師の魔法が炸裂



「「「死ねぇぇぇぇぇ!」」」




 俺は光に包まれながら言った。


「俺を無傷で転移させなきゃ、一生口利かないからな」


 ━━「えッ!?」


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