それでいて、すき。

minamin.E

それでいて・・・現状と相反することをしようとしているさま

   類語・・・そのくせ、そのざまで、そうでありながら、、etc...


「なーみっ♪」


この子は小学生から幼馴染の、美宇。

すごく可愛くて、面白くて、スタイルもよくて自慢の友達。

顔立ちはキレイ目で、一見冷たそうに見えるが根は優しい。

それに、私とずっと友達でいてくれるから。


私は顔も普通だし、スタイルもよくない。

美宇に勝ってるところなんて1つもない。

あ、ひとつだけある。人数だ。

ヤッた人数だけは勝ってた。

初めてのセックスも私が早い。

セックスした人数も私が多い。


なに、この堂々とできない自慢。笑える。



「美宇~!!!今日、学校終わったら美宇ん家行っていい?」

「いいよいいよ~じゃあ終わるの待っててね。」

「え?放課後なんかあんの?」

「あ~ちょっと。呼ばれてて。」

「わかった~」


多分、告白だと思う。

モテるのに、連絡先を教えないからこうやってすぐ呼び出される。

でも、美宇はだめだ。大好きなお兄ちゃんがいる。

それに、そのお兄ちゃんの友達と、付き合ってるから。


美宇はもともと大人びてた。

母親がいなくて、父親と兄の三人暮らしで必死に料理もしてたし、

家事もほとんど美宇がしてた。

わたしは、それをいつも見てるだけだった。


私は、両親ともにいるけど家庭環境は悪い。

家にはいたくない。



「美宇ちゃんの、友達?」


美宇を教室で待ってる時、急に声かけられた。

そしてすたすたと歩いてきて隣の席に座った。


「うん、そうだけど。」

「俺、美宇ちゃんよりも、君のほうがいい」

「・・・・。」

「名前は??」

「波。」

「ナミちゃん♪よろしく。」

「よろしく。」


いつも、みんな美宇のことが好きだと思った。

みんな美宇を見てるし、美宇を狙ってる。

でも、この人は、美宇より私を見てくれた。

それが、嬉しくてたまらなかった。


優しそうな顔で、目がくしゃくしゃになるまで笑った顔をする人。


「なみ~ごめん、お待たせ!」


美宇が教室に入ってきた。

その時、もう彼はいなかった。


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