60th / 祝い火
知人の結婚式の帰り道、式のあと受け取った祝福の花を、道すがら川に投げ入れた。
たぷとぷと浮き沈みしながら花は濁った水のなか去ってゆき、その浮き沈みを見ていると私の過ごす日々のように感じてしまったが最後、川の薄い緑色の水が流れゆくことも今日鋏で切られたであろう花がそして私から去ってゆくことも、すべて取り返しが付かない。橋の上から、川に石を落としてしまうようなことだ。帰ってこないのだ。帰ってこない。いや、花は私が手放したのだ。
たぶん、結婚というものはそういう事象ではない。今日は何故結婚式などに出席したのだろう。過去の夫を思い起こした。今日の花嫁の所為でもないのに、思い出したりしてみるのだった。
(Tw300字ss第六十回お題「祝」)
2020/01/27
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