第74話

既に疲労しているようにも見える


額や腕から血が流れていたおそらく体は限界に近い


「もうやめろ!!それ以上は!!」


月が雲を覆い静かに彼女は瞳を閉じ勢いよく唇を噛んだ


「おいっ!何やって…」


「…来ないでって言ったじゃない…ユノ…」



ガクッと膝から崩れ落ち泉に沈みこんだ


「…アナ!!」

完全に泉に沈む前にユノが引き上げた


「ごほっごほっ」


「大丈夫か?」



「あはは…心配かけちゃったね。ヴァンパイアもたくさん殺しちゃったし…たくさん」


アナは虚勢を張って笑いかけるが体は震えていた

「もういい、もういいんだ。お前を怖がらせるものなんかもういない」


ぎゅっと抱きしめるとちょっと困ったような顔をして涙がこぼれた

「ユノ…それはちょっとう…ぐっずるいなぁ」


泣き止むのを待ってくれていたイアンが声をかけた



「…帰りますよ。ユノ王子アナ様」



婚約式まで残り1日

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る