第73話




これは自業自得で誰にも望まれず、誰からも愛されず生きて生き延びてしまったことへの罰なのだと


「これがあの館なのか?」

館は半壊状態であちこちで火の手が上がり、地面に転がる死体から生存者はいないと思われる



「くっ!?これほどまでのものとは」



以前訪れたとは思えないような惨状に思わず息をのむ


「ヴァンパイアはあの場にいなかった者がここに集まってきている…と報告を受けたが」



「…くっ…」

まだ息のある吸血鬼がいた






青年くらいの男の子だろうが彼女に掛かれば赤子同然にひねられたのだろう息も苦しそうだ


「何があったか言え」


「鬼が…僕はただ…外で見張って…た。だけなのに」



「鬼といったな。その鬼はどこに行った?」



「森の…奥の泉の…方へ」



それだけ伝えるとその男は死んだ

確かにこの奥には人目につかない泉がある





「無意識に俺たちの気配を気取ったか?少し理性が残っている可能性がある」



「アナスタシア!!!返事をしろ!!」


血の匂いを洗い流すために泉に入っていたアナスタシアの姿が見えた


「…来るな。とこの娘は書き残したはずですユノ王子」

冷静なアナの姿にとても理性が飛んでいるようには見えない


しかしその口ぶりから表に出ているのはアナスタシアではない

「…お前…誰だ?」


「…この娘の鬼神レヴナントフェルとでも名乗りましょうか。」


「レヴナントフェル…!?あの災厄の鬼神を身におろしたというのか!?」


「ふふ、とても有名のようでうれしい限りですが。私はまだ力を出し切れていません。この娘が主導権を完全に渡さないのです。おかげで少々手間取りました」


彼女が指を鳴らすと上から雨のように死体が落ちてきてレオンがそれをしかめた



「この男たちには見覚えがあるでしょう?レオン?」



「…俺の部下だった男だ。裏切りで今は行方知れずだったがまさか…」


「今回の一連の事件の黒幕の男です。氷の国にいた大臣もこの男の手の上で踊らされてやったのでしょう。大臣は自覚がないようですがね」



「その体を返してくれ。それは俺の婚約者、アナスタシア=テンペスタのものだ」



「その気配…光の巫女…いやその子孫か。返してほしければ力ずくで奪って見せよ。その杖は飾りではないのだろう?」




「言われなくとも!アナは返してもらう!!魔を振り払う光となれサンシャイン!!」




詠唱が終わるとユノの持っている杖から光が放たれた



「なるほど、継承者の実力は認める…だがヘブンズブラスト!!」



毒々しい球体がいくつも出てきて一気にはじけた


「…っ!?リフレックス!!!目を覚ませ!!アナスタシア!!!」


光のバリアが味方全体に掛かりそれをはじいた




「中々…やりますねぇ…ハァ」


息を切らしながらこちらを睨みつける鬼神



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