第68話

「だそうだ」



「ってどこまで予想してるんだ…アナは」


「…とりあえずクロード。アナスタシアの人形持ってんだろう?代わりに出しとけ。いなくなったと騒ぎ立てられずに済むぞ」



「えぇ」


そういってクロードは式神を取り出し血を与えるとアナの姿に変化した


「す、すげえ」


「ですがこれは、人間用です。鬼には通用しません。ザクは人形の姫様の護衛役をお願いします」

「承知した」

「だがアナの言う薬はこれの事だろう?ここにあるぞ?」


「いえ、ユノ様。その薬ではありません。彼女は体の至る所にものを隠すすべをお持ちです非常時において使うべき薬を姫様が持ち歩かないはずがない」


「あの剣を体から出したあれか」




「アナスタシアがノヴェル家の呪術や暗号を何で知ってるかは今はどうでもいいが、俺が送った式神は帰ってきていない代わりにアナスタシアの式神を預かっている」


「なるほどこれなら連絡はできそうですね…」





「…その指笛でそのことを伝えた方がいいんじゃないか?」





「これは俺達鬼族が聞こえる音だ、ヴァンパイアだろうが鬼だろうが敵に作戦が丸聞こえでそれこそ命が危ないと思うぞ。アナスタシアならそんな愚行は絶対しない」






「それで姫様と繋がりそうです?」



「…音声だけなら聞こえる。だがこちらの声に反応はない奴はまだ意識を失っている」


「アナ…!」

レオンは叫ぼうとするユノの口を手で覆った

「言ったはずだ。大きな声を出せば、こちらの声も入る。そうなれば式神を取り上げられて終わりだ」




『…っぅ』



アナの声だろうか?どこか苦しそうな…



『…貫け鬼の化身。鬼神』



「鬼神!?今そう言いましたね!?」


「あぁ、まずいぞあれは」

「アナの奴何やってんだ?」



「俺達貴族や王族のアナに鬼に普段は角はないだろう?力を蓄えて隠しているから」


「それを今使っているということは、敵に囲まれているということだ。それも理性を飛ばして」






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