第48話

けれどその二人の約束は果たされることはなく

「うそつき」




「目が覚めたか?アナスタシア」


ガバッと起き上がると澄ました顔をしたレオンがいた


「レオン。どうして殺さなかった?」



「生憎、毒でうなされてる奴の寝込みを襲うほど腐ってはいない」



「そう、変わってないのね」


「それより、俺はお前に聞きたいことがある」



「そう、私も貴方に聞きたいことがあるわ」


「お先にどうぞ、どうせまだ毒で動けないんだろ?」


「ふふっありがとう。じゃあ聞きたいのだけど、昨日今日起こっている、吸血鬼を使った暗殺、毒薬についてよ。」


「それが何か」

「軍の上層部にいる貴方なら何かご存知かと思ったのだけれど、やはり」



「この一連の事件、主犯は貴方………ではありませんね?」



「何故そう思う?」



「貴方自身が卑怯な手を使うとは考えられない。何より毒で弱っていた私を貴方は殺さずに起きるのを待っていたからでしょうか?」



「なるほどな。その質問に対してはイエスと答えておこう」


「そう。じゃあそっちの質問どうぞ」



「わかった。じゃあ聞くがお前、本当にアナスタシアか?」



「…それは…」





彼には真実を話すべきだろう…



でも…



「えぇ、間違いなくアナスタシアよ。明日また来てくれるかしら?」



「…わかった。明日ここへ来る時までに体調を戻しておくんだな」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る