第28話
「陛下…アナスタシア女王がお見えになられました」
「ふむ…人払いを頼む」
「…承知いたしました」
「昨日の件について報告に参りました」
「アナスタシア…顔をあげよ」
「…はい」
「堅苦しいのはなしだ。結論から申せ」
「昨日の襲撃についてわかっていることは主犯は鬼の一族の誰か、実行役はヴァンパイアのザクだということだ。そのザクについては表向きは女王が処刑したことにし、実際は私の配下に加えることになった。異論はないな?」
「あぁ、吸血鬼になったのだ。もう人間の国では暮らせまい。それから太陽の問題は解決したのか?」
「えぇ、太陽を浴びて消失することはまずないでしょう。ですが、他の鬼たちには気配で女王の犬ということはすぐわかること。早急に戦闘態勢を整えるために鍛えなおすことを条件で配下に加えた」
「なるほどな…その彼は今どこに?」
「呼べばすぐ来る距離にいます。さすがに陛下の御前に連れてくるわけにはいきませんでしたので」
「なら我が親衛隊と訓練を行わせよ」
「よろしいのですか?」
「鬼とはいえ、元々人間だったものだ。そこまで実力差はないだろう。心鬼の習得に関してはどうだ?」
人であることを諦めたのだ、大事なものを失った時に習得する心鬼を顕現していてもおかしくはない
「心鬼の習得については調査中ではあるが…おそらく…」
「…そうか。何かあれば手助けする」
「…ザク。そういうことだから今から訓練に混ざってきなさい」
「…はっ」
「彼もまた忠実な犬になったということか?」
「さぁどうでしょうかね」
「その後体調はどうだ?」
「本調子には程遠いですね。弓矢はともかく弾丸を避けるまではまだできそうにない。その上同胞から仕掛けられたらまず無理でしょう」
「警備に関してはイアンを通じて強化しておく。実力が知りたければ訓練所に午後にでも案内させる。どうだ?」
「そうですね。実力を見るのも元武人の務めですわね」
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