第69回『選ぶ』:選択の人生<オリジナル>

 あなたは歪みのない綺麗な笑顔を周りに見せる。


「後悔はするけど、選んだのなら仕方がないって思えるでしょ」


 笑顔がまぶしくて、いつも私は目を伏せた。


「嫌なら逃げたっていい」


 出会いは偶然と呼べるもので。


「選んで作ってきた人生なら、開き直れる」


 私に近づいて来たのも、長袖の下を目にして呟いたのも、あなた自身の選択だ。


「逃げれば良かったのに」


 *


 あなたはすぐに呑みすぎてしまう。選択肢もなく私が送る。

 あなたに判断力はほぼなくて。それは選択と言えるだろうか。


 背中を少し押してみようか。行動は私の選択。

 悲鳴は周囲から聞こえ、私は私の初めての選択にただ、驚くのだ。


 *


 私の人生はあなたという消えない傷と共に、今、始まった。

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