缶詰め


缶詰めの中には

小鳥が

詰まっていた

かつては

ぴよぴよと鳴いていたが

今では

その面影は無く

羽を毟られて

ただ食べられやすいように加工されていた

きみはよく噛んで

きみはよく噛んで

それを栄養素にしてしまえ

わたしたちは

小鳥を愛でることが出来た

そして同時にそれを咀嚼して食べることも出来た

小鳥は殺された

既に殺されてどうにもならない状態だった

わたしたちがそれを食べようが

食べまいが

選択しようが

しまいが

既に死んで取り返しのつかない小鳥だった

罪悪感は水素よりも軽かった


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る