すぐる、ハロワへ


「すぐるさんお弁当、忘れているわよ」

母親は言った

すぐるさんって誰よ?

ああおれか

一瞬、自分がすぐるだということを忘れていた

これはやばいぞ

そう思った

お弁当どころの騒ぎではない

まさにおれ自身の実存に関わる問題だからだ

自分の免許証を取り出して見てみた

そこにはでかでかとこう記されていた

『すぐる』

これならおれがすぐる以外の何者でもないという証明になるな

おれの名前はすぐるだ

もう一回、言ってくれ?

あのなあ

人生は一度っきり

やり直しなんて出来やしないんだぞ?

だがスペシャルサービスで亀頭の裏までぺろぺろ丹念にもげるまで舐めてやろう

「おれの名前はすぐる、日本の未来を背負って立つエリート企業戦士サラリーマンだっ」


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