第39話 事件終了通知書

 妻が謝罪に実家を訪れた後日、家庭裁判所から事件終了通知書が届いた。


 子の監護者の指定申立事件、子の引き渡し調停事件、夫婦関係調整調停事件

 頭書の事件については、平成二十四年八月十三日、申立ての取下げにより終了したので通知します。


 そう書かれていた。

 事件とは大げさな表現だが、裁判所というところは何でも大げさにして、うまく収まるものでもダメにしていくものなのだろうと思う。


 妻が帰った直後のこと。

「一回も目を合わせず喋ってたやろ。嘘をついてるよ」

 父は、妻の謝罪について、そう分析していたが、事実、父の言葉は正しかった。

 のちの裁判で明らかになることだが、娘のためでも家に戻りたいという訳でもまったくなく、ただ妻にとって不都合なことがあって、取り下げざるを得なかっただけだ。

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