最終話
「慧、相手役はほんとのバレリーナの人になったんだって」
「そうだよ。めちゃくちゃ綺麗な人」
「ふーん」
「あっ、妬いてんの?」
「別にー。
でも、あのお話を演じたら好きになっちゃうよ」
「まぁなぁ、凛の本は演じれば演じるほど、
入り込んでしまうからな」
「えー、やっぱり、無理!
観に行けないー」
「はぁ?そんな情けないこと言うなよ。
作者の先生には是非観てもらわないと...
っていうか、俺との約束忘れてないだろ?」
「うん、もちろん」
『いつかセンターに立った時
観に来てほしい』
そう約束した春の日、
あれからいくつもの季節が過ぎた
私たちは出会った頃、まだ未熟で
相手の思いを包み込む余裕なんてなかった
今、立派になったか?って言われると
そうではないかもしれない
けど、あの時とは違う
隣を歩く愛する人の存在を感じながら進める
時には背中を追いかけたり
時には振り返ったり
いつも肩を並べることはなくても
決して、焦ることもない
少しぐらい距離が出来ても
いつも、思いは繋がってる
「慧…あのねー」
「何だよー、嬉しそうに」
「うーんとねー......やっぱり、今度言う」
「言えよ。気になんじゃん」
「いいから、ほら、時間!」
「うわっ、やべぇ、帰って来たら聞くからな。
いってきます」
「いってらっしゃい」
私ね、慧
私達のことを書こうと思うんだ
出会った頃から、今までのことを。
『ほんとの自分』を見出してくれ
私を愛してくれる人は
世界中でたった1人
あなただけ
最後の頁に
そう綴って...
fin
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