第26話
帰国して数日が経った
先生から謝罪の連絡はあったが、
私は気持ちの整理がつかずにいた
憤りという感情はなかったのに
何故か悴んでしまった心
1人でいるのが嫌でずっと慧の部屋にいた
「凛...これから、どうするんだ?」
「仕事を辞めるつもりはないの
でも...」
「そうかぁ。これ...
今回の舞台のノベライズ本。
仮刷りの段階でストップをかけて、刷り直したらしい」
慧から渡された本に目を落とすと
表紙には【fairy lover】と書かれていた
「読んでみるといいよ」
彼は私の頭をポンポンとして微笑んだ
寝室のベッドに座って読み始めた
半分程度書き換えられた小説
それは間違いなく格段に素晴らしくなっていて、実力の差をまざまざと見せつけられた
原作となるものより、はるかに色づいていて心に残る
凄い
そして、本の裏表紙には
愛される人 作者Rinへ
あなたに心から敬意を表します
最後の頁を閉じた途端に溢れてきた涙
愛する人に抱きしめてほしくなった
リビングにいた彼の元へ
「慧!」
「ん?うわぁ」
胸に飛び込むとふっと笑って抱きしめ返してくれる
「ありがとう。
ほんとにありがとう
私ね、自分がどうするべきかわかった気がする」
「そっか」
低く穏やかな声で彼は私の髪を撫でながら話し始めた
「なぁ、凛、
俺も初めは宮崎奏にめちゃくちゃムカついた。汚いことしやがってって。
でも、俺には凛がいるし、凛には俺がいる。怖いもんなんかねぇよな?
人を許すことは憎むことより何倍も強さと優しさがいると思うんだ
凛にはそれが出来るって俺は思う」
「うん!」
次の日
私は久しぶりに出社した
そして、Instagramの自分のアカウントに素直な気持ちを綴ることにした
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