▼【返してあげる】
「ありがとうございました」
きちんと礼を言い、木像の隣にカンテラを置く。
この先は真っ暗でないことを願いつつ、襖を開けた。見たところ廊下は続いており、それでも随分様子は異なった。まず、両脇にある障子から中の座敷の灯りが漏れ、ほんのりとした光に満ちている。温かな空気が頬に触れた。ふと、懐かしさが胸に湧いた。
良かった、と安心してそちらへと足を踏み入れる。感じるのは確かに人の気配だった。
大丈夫だ。これで帰れる。きっとこの家の人が助けてくれる。もう大丈夫。
………後ろ手に締めた襖の向こう、笑い声が聞こえた気がした。
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