逢いたい人
一子
逢いたい人
生きている限りもう二度と逢えない誰かを思い出して頬を濡らす夜は、もう二度と逢えないはずの誰かに出会えるでしょうか。
少し前に、私の一番大好きだった祖母が亡くなりました。なんとなく実感がわかず、だけどなんとなく祖母に買ってもらったぬいぐるみを抱きしめて毎晩眠りにつきました。
そんな感じで本当に毎日をなんとなく過ごしていると、亡くなって初めて昨夜祖母が夢の中に出てきました。祖母はもう転生したらしく、しかしなぜか何年か前に見た少し若い元気そうな祖母の姿で帰ってきました。私や母が、いなくなるのが早いよと、でも帰ってくるのも早いよと言うと、祖母は死んじゃって『ごめんね』と呟きました。私も母も泣いていました。ずっと逢いたかったので泣きました。失うとやっぱりその存在の大きさに気付かされます。でもかえってきたときの喜びも、ものすごくて、涙が飛び出して止まりません。
しかし目を覚ますと祖母はいませんでした。あの喜びは確かに本物だったのに。
私は夢ではなく、現実を疑いました。訳が分からなくて、とにかく座って考えました。すると涙が零れました。止まらなくなりました。
自分が死んだら会えると思います。でも、死ぬまで会えないんだと思うとあまりにもその時間が長すぎて。
そんなことを考えながらまた涙が頬をつたう今夜は、再び祖母にあえるんでしょうか。
逢いたい人 一子 @aaaaaaaaaaaaaaaaaa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます