番外編 さようならのラブレター

拝啓

 親愛なる、ちょっぴり残念な私たちのリーダーへ


 ごめんなさい。

 もう会えなくなること、知った上で切り出すことが出来ませんでした。

 こうして手紙につづってしまっている私は、卑怯な女ですね。


 些細なきっかけで知り合った貴方。

 少しお節介で、意地悪で、色々と悪態をつく人。

 でも、本当は困っている人は見逃せない。そんな優しい人。


 ──私にとって、貴方はいつしか大切な存在になっていました。


 揺れる馬車の上、貴方が隣に居るだけで心が満たされるようでした。

 ちょっとした口論もありましたね。今思えば、それも楽しい思い出です。


 貴方が手を引いてくれたから、私は外の世界へと歩み出せました。

 貴方の隣で見る、色付く世界。そんな世界が、どれほど私の心を色鮮やかに染め上げたか、貴方は知りませんよね?


 ──今も、これからも、貴方のことを想い続けること、許してください。


 長くなってしまい、申し訳ありません。

 でも貴方のことを想うと、文字や言葉はいくらあっても足りないのです。仕方ないですよね?


 厚かましいと思いますが、最後に二つだけお願いがあるのです。


 ──私のことを忘れないで下さい。


 貴方と会えない時間は、永遠とわにも感じることでしょう。

 それでも、貴方が覚えていてくれる。そう思うだけで、前を向いて歩くことが出来ると思うのです。

 

 そしてもう一つ。

 ──こんなズルい私を、嫌わないで下さい。


 好きでいてなんて言いません。ただ、貴方に嫌われる事だけは嫌だ!

 それは、どんな痛みよりも私の心を苦しめ、どんな絶望よりも私から希望を奪うのです。


 やっぱり、私はズルいですよね。

 こんなことを言ってしまえば、貴方は私を嫌うことが出来なくなってしまう。

 そのことを知った上で、お願いしてしまうのですから。


 

 さようならは言いません。いつまでもお元気で。


 私の──私だけの、優しくてカッコいい勇者様。



 貴方のことを愛しています。



 ズルくて無力で、他の人より少しだけ、小さなエルフより

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