140字小説作品集【シーズン1】
椎名稿樹
第1話 夢中
禿げ頭の男が道に座りながら何やら小言を言っている。
知ってか知らずか,その前を幾人もの人が通り過ぎる。皆の手には小さな箱。それを眺めている。いつしか男は消え,その跡には花が手向けてあった。花は枯れ行く一方。誰もそれには気に留めない。
手の中の小さな箱は踊っていた。
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