Magnificent Force/光の四勇士
きうい
第1話 急襲
魔法学と貿易が盛んな国「ハンデル」もまたそうであった。
そんな平和な国に住む騎士の青年「エメリー」は、久々の休暇を満喫するため国の中心街へと来ていた。この街は近辺に王宮があるということもあり、非常に栄えている。ひとたび街へ
エメリーは数ある店の中から、とある武具屋に入っていった。
武具屋には、ショーケースに入れられた剣や防具、壁にかけられた盾などがずらりと並べてある。とりわけこの武具屋は評判がよく、綺麗に整列させられた武具たちは、見た目からして良質そうなものばかりである。
「おう、エメリー! 今日は騎士の務めはお休みかい?」
店の主人は、彼を一目見ると、カウンターから野太く雄々しい声で彼に言った。
「ええ、ハンさん。たまの休みは取らないと。死んじゃいますよ」
エメリーは冗談ぽく笑い、主人に近づいた。
「まぁ、騎士の連中は大変だって聞くからなぁ」
ハンはうんうんと唸っていると、突然パッと顔を上げた。
「あ、そうだそうだ。前に頼んでくれたお前さんの『剣の
「もう出来たんですか? 仕事早いですねハンさん」
「まぁこの程度、俺にかかれば朝飯前さぁ! ちょっと待ってな」
ハンは店の奥の方へと消えると、ある剣を持って出てきた。
「ほら、ご覧あれ」
その剣は藍色に染められた、上質な皮の鞘に納められていた。グリップは黒く、ガードは銀で作られており、金のラインが二本入っている。
「……すごい」
さらにエメリーが抜刀してみると、その白刃には三つの魔法陣の烙印が描かれていた。
「どうだ。中級魔法だが、戦闘にはちょうどいいだろう。上から『硬質化Ⅲ』、『切れ味Ⅲ』、『軽量化Ⅲ』の効果を付けといた!」
「こんなに……ありがとうございます!」
「いいってことよ! お国を守ってくださる騎士の一人だし、
ハンはエメリーの肩をばしばし叩きながら、満面の笑みで言った。
「ありがとうございます……」
エメリーは頬をひきつらせながら苦し紛れに言った。
エメリーはその打撃が止むまで笑顔を絶やさず、じっと耐えた。
「そ、そういえば。今日もまたお願いがあってきたんです。この鉄剣に「
エメリーが叩かれた右腕をさすりながら、今回の依頼を言おうとしたときだった。
大きな爆発音が辺りに響いた瞬間、地面が大きく揺れて二人ともバランスを崩し、その場に転倒してしまった。
幸い、武具屋の武器や装備は固定されていて落下はしなかった。ただ、それよりも気になるのは――
二人はすぐさま立ち上がり、店の外へと飛び出した。
二人はまず、上空に目を奪われた。なぜなら、そこには青空には似合わない、巨大な禍々しい穴が空いていたからだ。次に、二人はその下の光景に目を奪われた。そこには、破壊され粉々になった噴水と女神像、倒れている人達。
そして何より、紫の波動を全身から燻らせている三体の――
「――魔物だ」
エメリーは緑の目を見開いて言った。
Magnificent Force/光の四勇士 きうい @kiwinese
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