8 自由の海

 自由の海


 私、海を見てみたいの。


 わたしは、あなたと一緒に二人で、その子供の鳥の両親の死体を森の木々や森の木の実を使って、その二羽の鳥の死体の上に覆い被せるようにして、埋葬した。


「ありがとうございました」

 

 私たちのしたことを見て、その子供の鳥は私とあなたにそうお礼を言った。


「別にいいよ。そんなに大したことをしたわけじゃない」とあなたは言った。


「そうよ。お礼なんて全然いいのよ」と私はにっこりと笑ってその子供の鳥にそういった。


 その日の夜。


 私とあなたと子供の鳥は、そのぼろぼろの鳥の巣の中で三人一緒に身を寄り添うようにして、眠りについた。


 そして、その日の夜。きっと私たちは『新しい家族』になった。(……のだと思う)


 次の日に目覚めると、あなたは私とその子供の鳥に向かって「こうして僕たちが広い空の中で巡り会えたもの、なにかの縁だと思うんだ。どうだい? 僕たちは本当の家族にならないかな?」と提案をした。


 その提案を私は「はい」と言って受け入れた。


 子供の鳥は、どうやら迷っているようだった。(両親を亡くしたばかりなのだから当然だろう)


 そんな子供の鳥に向かってあなたは「家族になるっていうのはまあ、少し置いておくとして、ここで一人では生きていくことはできない。どうだい? 僕たちと一緒に空を飛んで、この森を出て、この先もさ、『きちんと生きていく選択』をしてみないかい?」といった。


 その言葉を聞いてずっと迷っていた子供の鳥はあなたに向かって「……はい」と(小さな声だったけど、でも確かに)そう言った。


 子供の鳥の目はきらきらと輝いて見えた。


「君は空を一人でも飛べる?」あなたはいった。


「……あんまり上手じゃないけど、でも、一人でも空を飛べます」と子供の鳥はあなたにいった。


 その言葉を聞いて「大したものだ」とあなたはいい、私を見て、にっこりと本当に嬉しそうな顔で微笑んだ。

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