4 そして私は、あなたに出会った。
そして私は、あなたに出会った。
彼の言った通り、世界は夜になると、やがて嵐になった。
私は本当の嵐というものを知らなかった。まだ私はもう少し頑張れる。もう少しだけ高い空を飛べると思っていた。嵐が来ても、すぐに高度を下げて地上にある森の中に避難すれば、それでなんとかなると思っていた。
その考えのすべてが甘かった。
私は強い風と、強い嵐の中で、空を飛ぶことができなくなった。
体は吹き飛ばされ、強い音と光を放つ雷に怯えながら、どちらが北で、どちらが南なのかもわからないまま、懸命に二枚の翼を動かしていた。
でも、嵐の中で、私の小さな二枚の白い羽は本当に頼りなくて、無力だった。(……そう。思い出した。私はずっと、こんなにも無力な存在だったのだ)
……もういいかな?
嵐の中で私は空を飛ぶことを諦めようと思った。
ここまで飛んでこれただけでも十分だ。心の弱い私がここまで一人で(本当にたった一人で)空を飛んできたのだ。それで十分じゃないかな? と思った。
そして私は空を飛ぶことをやめた。
できれば海の上に落ちたいと思った。
でもきっと、地上は森だ。別に森が嫌いなわけじゃないのだけど、私は海を見たことがなかったから、海に落ちたいと思ったのだ。
……さようなら。
私は言った。
「君、大丈夫?」
あなたがそんな声を私にかけてくれたのは、私の、そんな(本当にぎりぎりの)ときだった。
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