第20話仮説はあくまでも仮説
失敗作?
理解ができない、漫画で失敗作っておかしくないか?
普通なら未完成などボツをくらったとかの
言い方ではないか
足立さんの中ではそういう解釈なのか?
「失敗作ってどういうことだよ」
俺はたまらず聞いてみた。
すると足立さんは意味が分からないみたいで
顎に手をおいて私考えてますのポーズをとっている。
そして何かに気付いたのかこちらを向き
「ごめん、少し説明不足だったよ」
「私が言いたかったのはこの世界、云わば
物語は完成したはいいけどなんらかの影響で
失敗作になってしまったって事だよ」
何故そんなの分かるんだ?
「なんで分かるんだって顔してるね」
ビクッとした、なんだこの子エスパーかよ
「○○君顔に出すぎだよ」
と言ってクスリと笑った。
そのしぐさにドキっとした。
「なんでそう思ったかっていうのはね
普通、物語が進むのに起承転結があるはずなんだよね」
「でもこの世界、起承転結は確かに起きていると思うんだ」
「朝のハプニング、転校生、危機からの助ける」
「ほら、これだけでも漫画みたいな事が起きているでしょ?」
「まぁまだ起承転結の起だけだけど」
「だから漫画としては完成してると思うんだよね」
「でも、もしこの物語が少女漫画ならあり得てはいけないことが起きてるんだよ」
あり得ない事?
「ほら、また顔に出た」
またクスリと笑う彼女に俺は相当恥ずかしくなった。
今の俺の顔はめちゃくちゃ赤くなっているのが分かる。
その赤くなっているのが恥ずかしいのかそれとも別の、
「話を戻すね」
その言葉にハッとなり足立さんの話に耳を傾ける。
「まず一つは展開が早すぎる事まだ
この現象が起きて、いや物語が始まって三日しか経っていないんだよ?」
「普通に漫画なら時系列など時間の流れは気にしない」
「だけどここは現実」
「まだ二日しかたってないにしては色々起きすぎじゃないかな」
「そして二つ目私と○○君だけがこの現象を云わば物語の登場人物ではなくまるで読者
または編集者、果ては作者の立ち位置にいること」
「まぁ作者は言い過ぎかもだけど私達がこの現象を認識できる事の辻褄は合うかな」
まぁ無理矢理だけどと彼女はそう締めくくった。
しかし彼女が立てた仮説は無下には出来ない物だった。
今の所だが二人だけが本来いない人間を認識していたりご都合主義とやらをやたら目撃したりと俺達は認識している。
確かに見方を変えれば本を見る人目線だ。
「なるほど、確かにそう考えるなら納得のいく部分もあるな」
「なら最初に考えたようにハッピーエンドに俺達がフォローしていく方針でいくか」
「そうだね、情報がない今はそうやって手探りでやっていくしかないね」
そして暗くなってきたので今日の所はここで
解散となった。
さらにこれからは細かな事でも情報を交換していくため夜にお互いの報告を電話でする
事になった。
女子と電話とかめっちゃドキドキするんですけど!
これって俺だけなの?
他の人はもっと普通なの?
ヘタレで悪かったな!!
閑話休題
彼女と別れて今日の事を考える彼女の立てた
仮説、その理由、そしてこれからの方針
少しは前に進んだのだろうか
これはあくまでも仮説なので間違っていて
もしかしたら悪い方に進んでいるのかも
しれない
いや、今は取り敢えずできる事をしていこう
ふと疑問に思ったがそれにしても彼女って
あんな性格だったけ?
まぁもとから仲がよかったわけではないが
なんか会う度にキャラが変わっている様な気がしないでもない。
もしかしたら素が出てきたのかな?
少しは俺に心を開いているなら嬉しく思う。
別に恋愛的なやつではなく同じ境遇としての仲間としてのやつだから
いや、マジで
その後家に帰り彼女から電話がきてテンパっている高校生がいた。
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