ありふれない恋の物語

indigo

第1話あれ?日常ってなんだっけ?

始めに皆誰もが一度は思った事はないだろうか。

自分はこの世界の主人公であり漫画やアニメなどに出てくる様な非日常な生活が突然来ると。

例えば学校の授業中にテロリストが現れる、車に轢かれそうな子どもを助けて神様転生、ドラマの様な恋愛など上げればきりがないが

そんなことを考えた事を。

勿論俺にもそんなことを考えていた時期がある。

しかし現実と云うのはどこまでも現実である。

学校にテロリストなど来ないし

神様転生などあるかどうかもわからない、ドラマの様なそんな恋愛などない。

そんな非日常

俺には漫画に出てくるいわゆるチートの様な能力もないどこにでもいる一般人Aにすぎない。

学力も普通、運動も普通、特に特技もなく才能もない。

中学を卒業し私立の高校に入学し早二年

どこにでもあるような日常をただただ送る毎日、それが現実である。

引かれたレールを歩み将来はサラリーマンかなにかになり結婚をして子どもを授かりそして天寿を全うする。

そんな普通の人生を送るのだろうと思っていた。

あんなことが起きる前は、



それは何時もの様に学校へと通う時だった。

ただ何時もと違うとすれば遅刻ギリギリなのである。

どこぞのテンプレの如くなぜかその日は目覚まし時計が壊れており

気がついた時には遅刻寸前でこんな時に限り両親は朝早くから仕事で家には誰もいなかった。

そんな社畜な両親に心の中で敬礼をしつつ、

バタバタ準備をして朝飯も食べずに学校に迎う。

いつもの通学路を走りながら目覚まし時計に呪詛を吐く。

そんな時後ろから声が聞こえた。


「あー!転校初日から遅刻、遅刻!!」


思わずはぁ?と思い後ろをチラリと見ると口にパンを咥えながら走るうちの高校の制服を来た女子がいた。

なんだあのひと昔前の様な少女漫画に出てきそうなやつは。

だがそんな事を考えるよりもこちらも遅刻になりそうなので学校へと迎う。

すると後ろから「きぁ!」という声が聞こえた。

今度はなんだと思ってみると

これまたテンプレの如くイケメンとその女子がぶつかっていた。

どうやら曲がり角でぶつかっ様だ。

「いったぁー」

「す、すまん大丈夫か?」

「どこ見て走ってるのよ!」

「いや、遅刻しそうで気がつかなかった」

「もうこっちも遅刻しそうなのに!」

「おい」

「なによ!」

「その、パンツ見えてるぞ」

「えっ、きゃあ!どこ見てるのよこの変態!」

「いやこれは不可抗力だろ!」

「そんな言い訳通じるか!」

「理不尽だろ!」



なんだこれ


俺は少し離れた所で遅刻の事など忘れ今の現状を見ていた。

本当にどこぞのギャルゲーみたいな展開に唖然とした。

確かにあり得ない展開ではないが

あまりにも出来すぎている。

まるで少女漫画の一部を見ている錯覚を覚えた。

俺がそんな事を考えていると向こうはどうやら一通りのやり取りをしてお互い別の道へと行き学校へと迎ったようだ。

もう一度言う

なんだこれ

こんな事、現実であるのかと

数分間、黄昏ていた。

それと同時に俺の遅刻が確定した


これはそんなありふれない恋の物語序章である。

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