ダメ人間の日常

たま

ダメ人間とは?

一言に『ダメ人間』と言っても思い浮かべられる人物像は人によって様々だ。


毎日働きもせずダラダラと暮らす者


周りに気を使ってばかりで失敗ばかりする者


貯蓄が大事な時代にも関わらずギャンブルや浪費ばかりする者


数多の異性と恋愛関係を持っては破綻してばかりの者


その他にも『あなたにとってダメ人間とは?』と質問すれば様々なタイプのダメ人間が出てくるだろう。

中には自分のことを『ダメ人間』と評する人も少なくないかもしれない。


そんな中から今回は一番最初に挙げた『毎日働かずにダラダラ暮らす者』の毎日の生活パターンとその心境を語る。

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ここにAというダメ人間がいる。

どんなダメ人間かというと、何度となく転職を繰り返すもどうにもうまくいかず、最終的に実家で毎日ゴロゴロ暮らしている。

いわばパラサイトシングルともいうタイプの男だ。


そんな彼の朝は遅い。というより目覚めるのは朝というか99.9%昼から夕方だ。


目が覚めた彼はかたわらのスマホを手に取り、時計を確認する。

会社務めの人ならばアラームの決まった時間が毎日画面に映し出されることだろう。


だが彼の場合は違う。

彼にはもはやアラームの概念などない。かといって日の出とともに起きる野生的な本能もない。

今生きているこの日この時は、時間が勝手に彼を押し出しているだけなのだ。

そんなわけで時計を見るとだいたい正午は過ぎている。ひどいときは15時を回ることもある。


そのまま彼はスマホをいじりだす。

SNSで友達の何気ないつぶやきをつらつらと読み進めていくのだ。面白い記事があれば、そんなにフォロワーもいないのに拡散することもある。

そして自らもつぶやきを始める。

しかし、やはり外で様々な出来事を経験している人々と違い、内容は虚無に等しい。寝て起きて食うだけの中で何をつぶやこうが、140文字を埋めることすらできないのだ。


そして彼は昼食をとらない。

特にカロリーを消費することもなく、夕食の時間が近いから昼食は端から諦めているのだ。

食事をしても彼は排泄物以外この世に何も生み出していないのである。


食事以外の時間、彼は何をして過ごすと思うだろうか?

答えは彼が一番それを探している。

スマホで面白そうな動画を見つけて見始めては一日が終わり、何気なくテレビゲームをしてみて一日が終わり、ずっと寝たまま一日が終わる。

活動的な人の中には、いわば死刑よりも恐ろしく感じさせるような無気力の暴力である。

『何もしてない』をしている某くまさんには、なんとか溢れんばかりの可愛さがあるため存在を認められるが、ただの成人男性にはこうもいかない。


ではここまでざっくりとまとめた彼の生活から、彼自身何を思って毎日を過ごしているのかおわかりだろうか?


彼は感情が大きく動くということが無くなってしまっている。笑ったり泣いたりするが、それは所詮架空の物語を見ているときだけである。


そんな彼にずっと毎日ある感情は『憧れ』なのだ。


普通の人と違うのはその『憧れ』を追い求める力が尽き果ててしまっているということ。


あんなこといいな、できたらいいなとは思うがドラ○もんの力を借りずになんとかできるほどの気力が残っていないのだ。


スポーツ選手などに多く使われる『努力の天才』という言葉があるが、彼にとっては『努力』そのものをできる人はすでに天才なのだ。


彼はそんな天才を羨ましく思いつつ、かと言って妬むこともなく、毎日ゆっくりと寝ているだけなのだ。


未来を考えることができるのは、未来があるという強い思い、未来への憧れ、そしてそれを少しでも良くしようとする気力がなければできないことなのだ。


簡単なことだけど、できなくなると彼のようなタイプの『ダメ人間』になるかもしれない。


でも本当に大事なのはダメになったあとなのかもしれない。


彼は自殺を考えたことはあれどそれを実行する気力すら無かった。本当の意味での無気力人間だ。

でも彼は自殺しようとしている人がいれば間違いなく止めるだろう。

「生きていればいいことあるよ」と自分を否定しないために。

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