第34話 読書の適正年齢

 ども。

 新巻へもんです。


 皆さんの今までで一番面白かったお話って何でしょうか? そういうお話に出会えると読書が楽しくなりますよね。私には何度も何度も繰り返して読んで覚えるほどになってしまった本があります。残念ながら、書く方はその高みには全く到達出来ていませんけど。


 先日、ある事情からアルベール・カミュの異邦人を引っ張り出して読みました。冒頭の「今日ママンが死んだ」しか覚えていなかったので新鮮でしたね。記憶が確かだとしたら、中学3年生か高校1年生の課題図書の1冊だったはずです。国語のN先生から週1回指定された本の中の1冊。


 当時は、最初薄くてラッキーと思いながら読み始め、すぐに苦痛になったのですが、今回はスルスルと読めました。いや、これ学生には早いだろ、N先生と思いましたね。まあ人それぞれでしょうけど、成人して自分で働くような年齢になってないと主人公と自分を重ね合わせるのは無理じゃないでしょうか。


 さらに現代日本に暮らす身としてみれば、現実が飛び越えてしまい過ぎていて、主人公の特異性があまり分からないんですよ。たぶん一杯こんな感じの人がいるんではないでしょうか。そういう意味では、時代や社会状況が異なる人には分かりにくいお話なのかもしれません。


 やっぱり、数十年という時が経っても普遍的な価値を持ち続けるというのは難しいのでしょう。そりゃ、社会状況も変わりますからね。人の心も変わらない方がおかしいんじゃないでしょうか。


 話が逸れてしまいましたが、お話には適正年齢があるんだなと改めて思いました。もちろん、幅広い年齢層に読まれる物語というのもあるのでしょうが、その場合でも自分が重ね合わせる相手は変わっているんじゃないでしょうか。例えば、「ドラえもん」において、のび太目線だったのが、年を取ることでパパやママ側からの考えも見えるようになりますよね。


 当然、子供だった頃の記憶が残っていれば、「のび太」を始めとする子供たちの気持ちも分かります。ただ、往々にして、そういう時代の気持ちは忘れちゃうんですよね。だから、いざ、自分が親になった時に子供とどう接していいか戸惑うことになるという。


 読書の効用には未知のものを体験するということもありますが、それを本当の意味で理解し味わうことができるようになるには、自分の加齢が必要なんだなあと改めて体感しました。ということは、昔面白くなかったあの本も今読めば見方が変わるのかも。引っ張り出して読んでみようかしら。


 ではでは。


 

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