婚約破棄された私は御曹司と出会い、婚約を交わして結婚する

一ノ瀬 彩音

第1話 婚約破棄されちゃうのね、私はどうすればいいの

私の名前は栗原美樹クリハラミキ


年齢が25歳で職業がOLです。


婚約する予定のお名前が新戒海斗シンガイカイト


年齢が28歳でサラリーマンの方です。


今は喫茶店で海斗とお話をしています。


「海斗、婚約の事を覚えているの?」


「ああっ、覚えているさ」


「ならいいけど……」


「どうしたんだ?」


「婚約をやめるとか言わないでね」


「い、言うわけないだろ」


海斗は何かを言おうとしている。


私はそれを待っている。


「美樹さ、言いにくいんだけど、婚約やめさせてもらう」


「どうしてよっ!」

と言いながら、テーブルを両手で叩く。


「他のお客が見ているだろ」


「ご、ごめんなさい」


「すまないな、婚約破棄させてもらう」


「理由を聞かせてよ」


「他に好きな人ができた、それだけだ」


「そ、そうなのね、なら、仕方ないわね」


「だから、俺の事はもう忘れてくれ、いいな?」


「う、うん、わかったよ」


「ここの支払いは俺が持つから……」


「ありがとう」


私と海斗は席を立つと会計に向かう。


会計を済ませると私と海斗はお店の外へ出る。


「海斗、今までありがとう」


「こっちこそ、今までありがとうな」


私は海斗と別れることとなった。


今までお付き合いしてきたのに婚約までこぎつけたのに

別れるのは本当につらい。


私はスマホを取り出すと海斗の電話番号とメアドを削除した。


私の思い出が……目に涙を浮かべて泣いている。


その場で泣き崩れた。


「どうしてなのよ……私は幸せになれないの……幸せになりたいよ……」


私は泣きながら歩いている。


泣きながら歩いていると誰かにぶつかると私は倒れている。


すると男性の人が

「大丈夫ですか?」


「……」


私はまだ泣いていた。


男性の人が

「なんで泣いているのですか?」


「気にしないで下さい」


私は立ち上がると再び歩き出す。


男性の人はその場で立ち尽くしている。


今の私は何も考えられない。


このまま何処かで死のうかな。


死ねばきっと楽になれる。


私は死ねる場所を探している。


すると丁度、死ねる場所を見つけた。


この歩道橋から飛び降りれば死ねるのね。


私は歩道橋の階段を上っていく。


一番上まで上がると歩道橋から飛び降りようとする。


その時だった。


男性の声が聞こえる。


「何してるんだ、やめろっ!」


男性が走って私の元へ駆け寄ってくる。


早く死なないと男性が来ちゃう。


私は身体を乗り出して死のうとしている。


後もうちょっとで死ねる。


さようなら、私の人生。


すると男性が私を身体ごとつかんで引き止める。


「やめろっ、死んでも何にもないぞ」


「離して、離してよ、私は死ぬの、離してってば」


「死のうとしている人がいるのにほっとけるか」


「どうしてよ、貴方にとっては赤の他人でしょ、ほっといて」


「いい加減にしろっ! 死んだらそこで終わりなんだよっ!」


「五月蠅いっ、離しなさいよ」


「離すものか」


男性は私を助けてくれた。


「ねぇ、なんで助けたのよ」


「そんなの決まってるだろ、命を粗末にするなっ」


「どうじで助けるのよ……」


私はまた泣きだした。


今日は泣いてばかりだ。


「何があったんだ? お話してくれないか?」


「イ、嫌よ、また思い出すと泣くから」


「君の力になりたいんだ、ダメかな?」


「わかった、お話します」


「ありがとう」


「実は婚約を約束してた人から婚約破棄されて」


「なるほどな」


「とても大好きな人だったんです」


「そういう事か」


「はい」


「そういえば、君ってこうやって見ると綺麗というか美人だな」


「えっ? そんな事初めて言われました」


「容姿に関しては自信持っていいと思うよ」


「はい」


私は男性の姿をじっくりと見る。


じろじろと見るのは良くないけど、じっと見てしまうのだった。


「俺の顔に何かついているのか?」


「いえ、よく見たら素敵な方だなって」


「いやいや、そんな事はないさ」


「ううん、本当に素敵な方です」


「ありがとう」


私は泣き止んでいた。


「女性は笑顔が一番だ」


「はい」


この人とお付き合いしたらどうなるのだろう。


こういう人とお付き合いしたいな。


「そろそろ行かないといけない」


「あ、あの、お名前教えて下さい」


「浅野拓哉だ」


「あ、ありがとうございます」


「じゃあな、もう死のうなんて考えるなよ」


「はい」


浅野拓哉さんは走って何処かに行ってしまった。


それにしても浅野拓哉さんか、素敵な人だったなぁ。


私も自宅に帰ろうかな。


しばらくして自宅に着くと鍵を開けて家の中に入る。


玄関で靴を脱いで上がるとリビングにいく。


ソファーに座ると今日の事を考える。


婚約破棄されたのはしょうがないけど、素敵な人と出会えた。


浅野拓哉さんとまた出会えないかな。


そんな事ばかりを考えている。


「さてとお風呂にでも入ろうかな」


私は着替えを持って脱衣所にいく。


脱衣所で衣服を脱ぐと次にパンツとブラジャーを脱ぐ。


お風呂場に入るとまずはシャワーで身体を流す。


流したら湯船に入る。


「湯に浸かると気持ちいい、癒される」


私は浅野拓哉さんという人に出会えたことに感謝しないといけない。


そういえば、明日はお仕事お休みね。


気晴らしに何処かに出かけようかな。


私は湯船から出ると石鹸を使って身体を洗う。


次に髪の毛を洗うためにシャンプーやリンスを使う。


シャワーで身体と髪の毛を洗い流す。


「スッキリしたぁ」


私はお風呂場から出ると脱衣所にいく。


脱衣所でバスタオルで身体と髪の毛を拭いていく。


綺麗に拭いたらブラジャーをつけてパンツを履いていく。


パジャマを着てリビングに出る。


冷蔵庫の中身を見るとアルコール類をきらしているのに気づいた。


私は仕方がないのでミネラルウォーターで我慢することにした。


ミネラルウォーターをコップに注ぐとゴクンゴクンと飲み干していく。


「冷たい飲み物が美味しい」


ミネラルウォーターを冷蔵庫に戻すと私は寝室にいく。


寝室に着いたらベッドの上に乗ると横になってかけ布団をかけると

目を閉じて寝ることにした。


翌朝を迎える。


私は目が覚めると起き上がるとベッドから降りる。


パジャマを脱いで衣服に着替える。


着替え終わると玄関で靴を履いて外へ出る。


しっかりと家に鍵をかけていく。


「お買い物でもいこうかなぁ」


私は駅前に向かっている。


するとその時に誰かとぶつかる。


「ご、ごめんなさい」


「悪いな、ぶつかってごめん」


「あっ、浅野拓哉さん」


「あれ? 君は確か昨日の死のうとしてた人」


「それはやめて下さい」


「ごめん、ごめん」


「私がお名前知ってるのはおかしいですよね」


「そんなことはないが」


「私のお名前は栗原美樹(クリハラミキ)」


「栗原美樹って言うのか、良い名前だね」


「はい」


「立ち話もなんだし、喫茶店に入ろう」


「そうですね」


私と浅野拓哉さんは喫茶店に入る。


入ると従業員にご案内されて席につく。


「栗原さんは何を飲むの?」


「私はコーヒーで」


「浅野さんは何を飲むんですか?」


「俺は栗原さんと同じでコーヒーかな」


「はい」


浅野さんが従業員を呼ぶとコーヒーをふたつ注文した。


「それにしても栗原さんは異性との別れがあると死のうとするの?」


「ううん、そんなことはしません、ただ、今回は大好きだったので

それでつらくなってしまって」


「それはつらかったね、でも、死んだら何もできない」


「そうですよね」


すると注文していたコーヒーがくる。


私はコーヒーを一口飲む。


とても美味しい。


浅野さんもコーヒーを飲んでいる。


「それでお聞きしたいことが」


「何だい? 答えられることなら答えるよ」


「浅野さんは歳いくつなんですか?」


「いくつに見える?」


「えっとですね……28歳」


「惜しいな、30歳かな」


「30歳なんですか、30歳に見えません」


「ははっ、みんなからはまだ20代に見えるって言われるよ」


「私も20代に見えます」


「栗原さんは歳いくつなの?」


「私は25歳です」


「俺より5つも年下なのか」


「はい」


「浅野さんは普段何をしている人なんですか?」


「俺さ、家柄お金持ちで御曹司なんだ」


「お、御曹司なんですか、すごいですね」


「御曹司だからといっても他の人とぜんぜん変わらないよ」


「それってつまり庶民的な部分もあると言うことですか?」


「まぁ、そういうことになるね」


「なるほど」


「栗原さんは普段何をしているの?」


「私はOLです、平日はお仕事なんですよね」


「OLだと大変だよね、給料は高いの?」


「平均よりかは高いと思います」


「そうか、それなら生活には問題なさそうだね」


「はい」


私は浅野さんと長々とお話をしている。


お話をしていると時間の事を気にしないでいられる。


こうしてお話していると浅野さんは改めて素敵な人だと感じる。


しかも御曹司なんて本当にすごい事だよね。


こんな人とお付き合いできたら幸せになれそうな気がする。


「栗原さん」


「はい」


「俺とお付き合いしてみないか?」


「えっ? どういう意味ですか?」


「俺の恋人にならないか?」


「私でいいんですか?」


「栗原さんがいいんだ、ダメかい?」


「ううん、喜んで」


「良かった、断られたらどうしようかと」


「そんな浅野さんみたいな素敵な人のことを断るわけないです」


「そう言ってもらえると俺も嬉しいよ」


「それに気が合えば婚約も考えている」


「それはつまり結婚という事ですよね」


「ああっ、その通りだ」


「まずは恋人からで」


「はい」


私は驚いている。


まさか、浅野さんからお付き合いしませんかと言われるなんて。


私は嬉しく嬉しくて堪らない。


「栗原さんの事を美樹って呼んでいいかな?」


「はい」


「俺の事は拓哉と呼んでいいからさ」


「はい」


「おっと、もうこんなお時間か、美樹、俺帰らないと」


「はい」


「そうだ、このメモに俺のスマホの電話番号とメアドが書いてある」


「はい、わかりました」


拓哉からメモを渡されると私は受け取る。


「ここの会計は俺が持つから」


「ありがとうございます」


拓哉はお会計票を取ると会計に行った。


会計を済ませると拓哉はお店を出る。


私はまだコーヒーを飲んでいる。


コーヒーを全部飲むと私は席を立ち上がる。


お店の外へ出るともう拓哉は居ない。


御曹司って大変そうなイメージがある。


とりあえず、メモに書いてある拓哉のスマホの電話番号とメアドをスマホに登録した。


これでいつでも拓哉とご連絡ができる。


私は自宅に戻ることにした。


自宅に着くと家の鍵を開けて中に入る。


鍵をかけて玄関で靴を脱ぐと上がる。


私はリビングにいくとソファーに座って休む事にする。


スマホを取り出すと私はメール作成をする。


拓哉に今日のお礼を言うためにね。


件名を入れて本文を打つと送信した。


「お礼は大事だよね」


数分後、拓哉からメールが届く。


私は確認すると内容がこう書かれてあった。


美樹は律儀だな。


まぁ、そういうのは嫌いじゃない。


それと今度デートしような。


美樹が行きたい場所あるならそこに行こう。


連絡待ってる。


「きゃあっ、やっぱり、拓哉は優しい」


どうしよう、デートのお誘いきちゃった。


私が行きたい場所あるならって書いてある。


行きたい場所……。


じっくりと考えましょう。


拓哉とのデートは楽しみだな。


その前に何処に行きたいかを決めないとね。


後で検索して調べて何処に行きたいかを決めようかな。


それよりも今は眠たい。


私はソファーで横になると目を閉じて眠ることにした。

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