2019年12月/8冊 積ん読常習犯の年末棚卸しは苦行
年の瀬を迎えると、必ずやることがある。《積ん読リスト》の作成だ。
積ん読の棚卸ともいうべき作業なのだが、これがまぁ、めんどくさい。
用意するのは今年の手帳と、新しく購った来年の手帳。
手帳の後ろのほうにある自由帳みたいな部分に未読本のタイトルを延々と書き写していくわけだが、なにしろ量がハンパないため、年々、シンドイ作業になっている。腕と指が痛くってかなわない。
本を購ったら、リストの一番下に追加。本を読んだら、タイトルに線を引いて抹消――これを日々くりかえしているため、年末に残ってるタイトルだけを、新しい手帳に書き込めばよいことになる。
だが【ツン地層】の最古年代にあたる書籍などは、かれこれ15年以上書き写しているわけで。
「……あんた、なにやってんの?」って思いますよね。私も思います。
毎年毎年おなじタイトルを、ひたすら書き写していく作業は、もはや写経。
でも精神統一にはほど遠く、ストレスばかりが溜まっていく苦行。
《写経》と《苦行》。もう読書関係ないじゃん。本を読む愉しみどこにもないじゃん――ってなわけで、ますます読む気が失せるという悪循環。
ここ数年は「来年も、きっと読まねぇな」と、完全投げやり態度で臨んでいるためそれまできちんと書いてたタイトルも、かなりの省略化が進んでる。
『そして誰もいなくなった』 → 『そして誰も~』
『シャーロック・ホームズの事件簿』 → 『SHの事件ボ』
これは、まだマシなほうで、ひどいのになると――
『私立探偵・麻生龍太郎』 → 『私立~』
『所轄刑事・麻生龍太郎』 → 『所かつ~』
誰かに尋ねられても正式なタイトルがわからない(答えられない)という有様だ。最終的に、ひらがなや漢字を使うことすら、めんどくさくなって――
『SDI』、『SHJ』、『STAR』、『SKAR』
と、なりかねない。手帳をひらいても「なんじゃ、こりゃ」ですよ。
読まれないうえ、タイトルすら雑に扱われている本様たち。アーメン。
来世では、購ったらすぐに読んでくれるご主人様の元に生まれておくれ。
黒の伯爵とワルツを/サブリナ・ジェフリーズ 2013年9月
マクダフ医師のまちがった葬式/ケイト・キングズバリー 2016年3月
首なし騎士と五月祭/ケイト・キングズバリー 2016年7月
支配人バクスターの憂鬱/ケイト・キングズバリー 2015年9月
リヴィエラを撃て 下/髙村薫 2017年11月
名曲のこよみ 折々のクラシック/近藤憲一 2008年11月
クラシック音楽素朴な大疑問/クラシックジャーナル編集部
今さらこんなこと他人には聞けない数学/日本の常識研究会
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~12月の「ちょっと一言云わせて本」~
『リヴィエラを撃て 上・下』
直木賞作家・髙村薫女史の作品を、ようやく体験するときがきた(ジーン)。
どういうわけか私は昔から、KGB、CIA、MI6、モサド……といった単語に強く魅かれてしまう傾向があり、本作を手に取ったのも《二重・三重スパイの暗躍》《国際諜報戦》《複雑怪奇な諜報機関の合従連衝》なる紹介文に俄然、興味をそそられたからなのだが、どういうわけか私は昔から、時間軸の入り組んだ壮大なスケールの、ミステリ、サスペンス、エスピオナージ……といった分野に適応する脳ミソをかけらも持たない体質であり、よって本作でも犯人は最後までさっぱりわからず、犯人を明かされてさえ「おおおお!」といった感慨もなし。
「まさか、コイツが!」といった驚愕もなし。
お粗末すぎる読者で、ホント申し訳ない。
だが、そんな人種をも夢中にさせる中毒性が、この小説にはあった。
「今日はここまで」と区切りをつけられないのだから。
これは夜読んだらイカン。翌日に仕事をひかえた日なんかは絶対にイカン。
そのうえ、登場人物がバンバン死んでいくので、たまったものではない。
え、この人も? あの人も?! と思い入れのある人物が次々と非業の死をとげていき、不意打ちの連打に心がついていけなくなって途中からもう「ぎゃー、もう無理無理無理無理無理、やめてぇぇぇ」と、のたうち回っていた。
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