2 血

 私は、私の父の家を潰すことについて随分思い悩んだ。母方の人間となった私は、確かに父の血を引いていたが、あくまでも母の家系の人間に他ならなかった。それは私にはどうしようもない、あまりにも理不尽な、強制的な加害者への変質だった。

 一人で私は幾度か、父の先祖の墓に頭を下げに行ったことがある。父方の連綿の血を、私が断ち切ることを心の中で謝りながら、その結果に産まれる自己満足を思った。それは確かに、どうしようもない理不尽に晒された私自身への、憐みに他ならなかった。

 私は、心のどこかで父と母を恨み続けていた。幼い私に理不尽な重荷を、その細く病的に白い両肩へと叩きつけた、彼らの離別を。

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