2 血
私は、私の父の家を潰すことについて随分思い悩んだ。母方の人間となった私は、確かに父の血を引いていたが、あくまでも母の家系の人間に他ならなかった。それは私にはどうしようもない、あまりにも理不尽な、強制的な加害者への変質だった。
一人で私は幾度か、父の先祖の墓に頭を下げに行ったことがある。父方の連綿の血を、私が断ち切ることを心の中で謝りながら、その結果に産まれる自己満足を思った。それは確かに、どうしようもない理不尽に晒された私自身への、憐みに他ならなかった。
私は、心のどこかで父と母を恨み続けていた。幼い私に理不尽な重荷を、その細く病的に白い両肩へと叩きつけた、彼らの離別を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます