第44話 友達コントラスト
山奥村で起きた事件。通称『山奥村沼男事件』は俺達に深い傷跡を残して一旦幕を閉じた。未だに振村という学者は見つかる気配がない。
あの事件から数日。なんとか持ち直した俺達は以前のように部屋で二人、ゆったりと珈琲片手にゲームをしていた。これでもあの事件を終えて、また少しだけ先輩との距離が縮まった気がする。
「……なぁ氷兎」
「なんですか?」
「……欲求不満過ぎてやばい」
「いきなり何を言ってるんですか」
呆れながら言う俺とは違い、先輩の顔はいたって真面目だった。こんな所でそのシリアス顔を使う必要は無いと思うんですけど。こんな昼間っからド下ネタは勘弁して欲しい。
「いや、普通の生理現象だと思うんだ。人間、死と隣り合わせになると子孫を残す為の本能が働く訳だ。つまり今の俺はその状態にあると言える」
「はぁ……まぁ、確かに危険な仕事ですけど……」
「俺も、そろそろ鞘が欲しいんだ。俺の聖剣を納める鞘が……」
「アンタ剣で突き刺したら吐くでしょ」
「今はそういうのはいいの。俺はともかく、このどうしようもない性欲をどうにかしたいの! このままだと俺は暴走してアイスティーに睡眠薬を混ぜてお前に飲ませるかもしれん」
「先輩っ、ホモの紅茶はまずいですよ!!」
先輩の目は結構ギラついていた。この人本当にケツを狙ってくるかもしれない。流石に身の危険を感じたので、仕方なく先輩に付き合ってストレスやら何やらを発散させてあげようと思った。
「お前はいいよなぁ……どうせ陰で幼馴染と気持ちいいことしちゃってるんだろ? 爆ぜろ」
「してません。それに、先輩は加藤さんのこと好意的に思ってるんじゃないんですか? いっその事アタックしてきたらいいじゃないですか」
「あの人は俺の事を弟か何かとしか思っとらん」
ガックリと項垂れた先輩。本当にそうだろうか……。基本堅そうな雰囲気を身に纏っている加藤さんは、先輩の前では割りと柔らかそうな物腰になっている気がする。それを家族に見せる態度と思うのは流石に性急ではなかろうか。
「この組織、屋上あるんだけど……焼いてかない?」
「勘弁してください」
「はぁ……俺も、なんかこう可愛い女の子と良い出会いをしてみたいもんだけどなぁ……」
そう言って珈琲を飲みながら何かを考え始めた先輩。俺はとりあえず稼働を終えた乾燥機から洗濯物を取り出して、俺と先輩の服を分けて畳んでいく。
自分のくらい自分で畳んでほしいものだ。いくら俺が家事ができると言っても、流石に任せすぎではないだろうか。俺はまだ専業主婦になった覚えはないのに。
「……ハッ、閃いた!」
唐突に頭の上で電球マークがピコーンッと現れたようで、先輩は何かを閃いたらしい。どうせ碌でもないことだ。俺は洗濯物から目を離さずに仕方がなく先輩にその内容を尋ねた。
「ふふふ、聞いて驚くな……これから街に出てナンパに行くぞ」
「アンタこの前ナンパする奴が現実にいるわけねぇだろ的な事言ってましたよね」
「よし、決まったら善は急げだ。氷兎も準備しろ。拒否したらホモの紅茶飲む羽目になるからな」
「えぇ……」
俺の困惑した表情なんて知らないとでも言いたげな先輩は、そのまま服の入ったクローゼットからワンセットの服を取り出すと、それを先輩のベッドの上に並べた。振り返って俺を見る先輩の顔は、いつものアホ面だった。
「さて、今回のナンパには俺が考えたとびっきりの作戦がある」
「はぁ……で、なんです?」
「まず、俺と氷兎を比べた場合……どちらかと言うと俺の方が顔は良い」
「……否定はしませんが」
「これこそが重要だ。オタクとノーマルが並んで歩いていると、どうにもノーマルがイケメンに見えてしまう状況がある。あれ、なんかあの人キモイけど、隣の人案外そうでもなくない? っていうアレだ」
「………」
「そう、ズバリ今回の作戦名は……『ブスが隣に並べばその隣の奴のイケメン具合に補正が入っちゃう大作戦』だ」
「ぶん殴られたいのかアンタ」
流石にちょっとキレそう。確かに先輩と俺が並んでどっちがイケメンなのかと尋ねたら、10人中8人は先輩と答えるだろう。この腐れ天然パーマはあろう事か顔面の作りはいいのだ。神は先輩に顔面を与える代わりに天然パーマを与えたらしい。
……天然パーマを考えれば、別に顔面なんていらない。別に羨ましくない、うん。俺はそう結論づけた。
「そしてここで必要になってくるのがこのアイテム。このちょっとダサいTシャツとジーパン、そして眼鏡をかけてバンダナを巻き、リュックを背負えばあら不思議。君もオタクだ」
「一般人が想像するオタクの服装じゃないっすかこれ。なんでこんなもん持ってるんだ……。まさか先輩……」
「馬鹿言え。仮に俺がオタクだとしてもこんな服装着ねぇよ。これは去年買った福袋の中に一式詰め込まれてたものだ」
「在庫処分か何か?」
流石にこんな物を来て外に出るなんてゴメンだ。先輩も着る気が無いようだし、今度これ一式はフリーマーケットで売ってこよう。いやネットショッピングなら一式買い取ってくれる人もいるかも……。今度Amazonesに登録しておこう。
「はぁ……先輩のアホみたいなナンパに付き合ってあげるんでさっさと行きましょう」
「お前最近俺の扱い冷たくなってない? 反抗期?」
「慣れです」
「なら仕方ねぇな!」
この人が深く考えない阿呆でよかった。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
流石にまだまだ外は暑い。適当に黒系の服装で固めたせいで日光を吸収して余計に暑い。流石にもう少し着る服を選んだ方が良かったか……。地下に篭ってると、どうにも外との気温差とかを忘れてしまうな。隣を歩いている先輩もいつも通りのラフな格好だ。
「……で、なんでわざわざ渋谷に来たんですかね」
「昔からよく言うだろ? ザギンでシースー、渋谷のチャンネーって」
「それ多分死語です」
先輩の言っていた言葉はだいぶ前に流行って……流行っていたのだろうか。ともかく、言われていた言葉だ。しかし古すぎる。未だにそんな事を言う人が残っているんだろうか。
「それで、ナンパする覚悟はあるんですか?」
「……む、向こうから話しかけてくれるさ! ほら、俺顔はいいから!」
「顔は、ね」
その天パがなければ本当に誰もが振り返るイケメンだったのだが……。勿体ない人だ。矯正でもしてもらったらどうだろうか。してもらえば多少はその天パも鳴りを潜めるだろう。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「ありがとうございましたー」
店員のお礼を聞きながら、コンビニから出てくる。外はもう暗くなってきていた。夜になると多少は涼しい。コンビニの前にあるベンチに座って燃え尽きている先輩に買ってきた炭酸飲料を渡して、俺も座って自分のを飲み始める。
……うん。疲れてる時には炭酸が効くな。隣で真っ白な先輩には炭酸が効くのだろうか。多分精力剤でも飲ませれば元気になるかもしれない。もしくはデスソース。
「……一体何が、ダメだったんだろうね」
「日頃の行いでしょ」
「身も蓋もないことを……」
先輩の顔はそれはもう疲れきっていた。ブラック企業に務めてしまったサラリーマンか何かだろうか。まぁ、そうなってしまうのも仕方の無いことなのかもしれない。話しかけた女性は彼氏持ちばかり。もしくは人妻。さらには……
「なんで話しかけてくる連中はオカマかオネェなんだ……」
「間違えて新宿二丁目に来てましたかね俺達」
「そんな馬鹿なことがあるわけないだろう」
GPSで確認してみたが、ここはやはり渋谷だ。周りの女性達は高そうな鞄や服を着ていて、その隣には裕福そうなオジサンが腕を組んで笑っている。
「金か。やっぱ金なのか」
「そこらの一般人より金持ってると自負できるんですけど」
「見てくれがダサいんじゃね。今どきの男ってさ、やっぱ黒系よりもっと派手なの着るんだよきっと」
「いや多分もっと治すべき所があるんじゃないかな……」
チラチラと先輩の頭を見ながら呟いた。その天パを治しさえすれば、きっともっとモテるはずだ。
隣でずっと項垂れで唸っていた先輩は、吹っ切れたのか急に立ち上がって口を開いた。
「この辺にぃ、美味いラーメン屋の店があるらしいっすよ」
「あぁいいっすねぇ〜。じゃけん今から行きましょうねぇ」
完全に吹っ切れた様子。もうさっさとラーメンでも食って帰ろうぜという先輩の後に続いて、先程調べたらしいラーメン屋に向かって歩いていく。
「地図だとこの辺らしいんだけど……」
「なんか袋小路になってそうな道なんですけど。周りに人いないし」
「おっかしいなぁ……。隠れ名店ラーメン屋で検索したんだけど……」
「アンタはもう変なワードで調べるのをやめた方がいいです」
「だって有名所は人が混むだろ」
「もう銀座で寿司でも食った方が良かったんじゃないですかね……」
暗い道を二人で歩いていく。確かに周りにはチラホラと店があるが……見てくれ盛況していなさそうだ。あまり入ろうとは思えない。こんなところに本当にラーメン屋があるんだろうか。トボトボ歩いていると、ふと耳に何か高い音が聞こえてきた。
「ん……なにか聞こえませんか?」
「いや、何も。夜だから聴覚上がってて風の音でも拾ったんじゃね?」
「風の音にしては高いような……」
一旦歩みを止めて、耳を澄ませてみる。大通りの人達の声と時折聞こえるゴォッという風の音に紛れて、何かが聞こえてきた。
……やめてください、だろうか。高い声からして女性のようだ。
「おっやべぇ、110番だな」
「言うよりも現行犯した方が早いですよ。行きましょう」
先輩と共に聞こえてくる音を頼りに走っていく。曲がり角を何度か曲がった辺りで、先輩にも聞こえるくらい大きくなってきていた。走るスピードを早め、ようやく音の発生地点へと辿り着いた。
そこにいたのは女の子が三人。そしてそれを取り囲んでいる男が五人。いつだか見たような、髪の毛を染めて固め、ピアスまでつけているチャラ男軍団だった。
男達は嫌がる女の子の腕を掴み、無理やりどこかへ連れていこうとしている。隣にいる先輩にアイコンタクトを送ると、先輩もコクリと頷いた。先輩もやる気のようだ。
「おいゴルァ!! そこのパリピ共、遊ぶならスナックの前にいる髭の生えたチャンネーにしとけや!!」
「あぁ!? あんだテメェ、変な髪型しやがって!!」
「どっちもどっちだよ!!」
なんで挑発する言葉がよりによってそれなんですかね。そんなに昼間のアレが堪えたんだろうか。だからってそんな下手くそな挑発をしないでほしい。もっと格好いいセリフがゲームであったでしょうに。
挑発された男達は三人で女の子を抑え込み、下っ端らしき二人が前に出てきた。手をポキポキと鳴らして挑発している辺り、お相手もやる気らしい。以前の俺なら怖さの余り固まっていたかもしれんが……今となってはあのバケモノ共と比べて全く怖くない。徒手空拳でも余裕だ。
「先輩、先に手を出したら負けですよ」
「わかってるって。正当防衛成立させるから安心しろよ」
正当防衛に関して簡単に言ってしまえば、危害を現在進行形で加えられている場合に対し、仕方がなく行った防衛行為に関して正当性があるのならば罪に問われないというものだ。現状反撃以外の鎮圧は不可。向こうが殴りかかってくれば反撃として鎮圧しても問題ないと思われる……多分。
「チッ、舐めてっと痛い目見んぞオラァ!!」
……その心配は杞憂に終わった。相手が先に殴りかかってきたので、俺はその腕を掴んで引き寄せて足を刈り取り、そのまま後ろ向きに倒す。見てから反応余裕でした。男は後頭部を打ち、そのまま動かなくなった。
訓練で徒手格闘は習ったからいいものの、素人がこれやったら下手すると相手が死ぬな、うん。
「ぐっ、うぅぁ……」
先輩の方は裸絞めで首を絞めて気絶させたようだ。なんでも有名な蛇を真似たらできるようになったらしい。
一気に二人倒された男達は大慌て。今度は三人がかりで襲いかかってきた。流石にサシならともかく、集団戦だと危険の少ない気絶技は使いにくい。仕方がないのでこちらも殴りなり蹴りなりで対応する。
まぁ……結果なんてわかりきっている。方や夜間戦闘能力が向上する一般人。方や起源覚醒で身体能力の向上した逸般人。そんな二人に例え男が三人であろうと勝てるわけがなかった。
「馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前」
「二人に勝てるわけないだろ、ってね」
格好よさそうでまったく格好よくない決めゼリフを言い終わった俺達は、下で寝っ転がっている男達を見下ろしていた。何奴も此奴も気絶なうである。
まったく、馬鹿馬鹿しい。こんなことをして一体何になるというのか。性欲の発散? そんなことして人生無駄にしたくはない。こいつらは何を思って行動したのか。エロ本の読み過ぎかね。ヤれば好きになってくれるとでも思っていたんだろう。じゃなきゃ殺す気だったか。見た感じそんな度胸もなさそうだし、後のこと何も考えてなかったんだろうな。
「馬鹿みたいだ」
「一時の欲に任せて後のことを考えないとこうなる。少しは身に染みただろ」
「……あれ、ブーメラン?」
「俺は一時の欲に……任せてないこともないが、後のことちゃんと考えてるから。出来たらちゃんと愛してたから。しかも双方合意の上だし」
先輩が少し慌てたように言い訳をしていたが、まぁそんなことは知っている。先輩は女性に暴力を振るったりする人ではないだろう。先輩の人の良さは俺なりにわかっているはずだ。今も怖がってた女の子達の所に向かって話しかけてるしね。
「ほら、君達も大通りまで送って行ってあげるから真っ直ぐ家に帰りなさい。そろそろ外出時間過ぎて補導されちまうぞ」
「は、はい……」
「すいません、ありがとうございます」
「う、うぇ……良かったぁ……」
三者三様だった。泣いてる子もいれば、気の強そうな子もいる。不思議なメンバーだな。性格上かけ離れてると女の子って仲良くなれなさそうなイメージがあったが……少し情報修正しておこう。
しっかし、この泣いている女の子……嘘くさいな。仕草がどうにも手慣れている気がする。練習に練習を重ねてひとつの技として覚えているような、そんな感じ。それに化粧も綺麗にされていて、清楚系と見せかけたやり手の雰囲気を俺は感じた。もっとも……そこまで女性経験があるわけではないので、違う可能性もあるが。
「先輩、こいつらどうします?」
「……放っておこう。いい薬になるさ。何かあったら国家を盾にして反撃する」
「やりますねぇ」
という訳であの男達は放置。俺と先輩で女の子達の前に立って先導して人の多い大通りまで送り届けた。人の声が近づいてくるにつれ、後ろの女の子達の声に元気が戻っていった気がする。キャピキャピとしているし、女子高生くらいだろうか。幼い感じも残ってるし、大学生ではないだろう。
……もう会うことはないだろうに、何を観察しとるんだ俺は。阿呆みたいなことを考え始めた頭の中身をリセットするように、軽く頭を振った。
「よし、着いたぞ。君達気をつけなよ? 世の中悪い人とかいっぱいいるからな」
「そうですね。目の前にいる天パとかがいい例だ」
「うるせぇ。お前も天パにすんぞ」
「直毛なんで天パとかならないです」
俺達のお巫山戯に、彼女達も少しは安心出来たのか笑いながら、帰ろうなどと話していた。それがいい。夜になれば……奴らが出てくる可能性もあるのだから。
「あ、あの……すいません」
「ん、どうした?」
あの泣いていた子が近寄ってきて、俺と先輩の両方を見ながら、少しだけ恥ずかしそうな……演技をしてから口を開いた。
「れ、連絡先を交換してくれませんか……?」
「氷兎、貰っとけ」
「本末転倒じゃねぇか!」
「うるせぇ! 俺は年上の包容力のあるお姉さんが良いんだ!」
尻込みする先輩の尻を蹴り飛ばした。先輩の苦々しそうな顔から察するに……先輩も目の前の女の子が見た目通りではないということを見抜いている様子。となると、俺の感じていたことも間違っていなさそうだ。
「あっ……やっぱり、私みたいな子供じゃ嫌、ですよね……」
「………」
「………」
先輩と互いに目線が交差する。なんとなく受け取りたくないのだが、受け取らないと周りの視線が辛くなってくる。このままじゃ、俺達は女の子を泣かしたクソ野郎だ。
……まさかそこまで考えているのか? この周りの状況すら扱うというのか、この女の子は。
「……やっぱピチピチの女の子の方がいいよな、うん!」
「犯罪者みたいなこと言わないでください。とりあえず……俺も交換しときますか」
「ご、ごめんなさい……気を使わせてしまって……」
本当だよ。これでこの女の子が無自覚でこの仕草や周りの状況を扱ってるのだとしたら、俺達は最低な奴に成り下がってしまう。
仕方がないといった様子を見せないように、俺は携帯を取り出して連絡先を交換した。
「ほいっと。これで大丈夫か?」
「はいっ、ありがとうございます!」
一気に明るくなった女の子、藪雨さんは少し離れていた女の子二人の元へと走って戻っていく。そして、くるっと振り返ると満面の笑みを浮かべて口を開いた。
「仲良くしてくださいね、せんぱいっ!」
言い終えると彼女達は笑いながら帰っていった。二人の女の子が藪雨さんを茶化していたり、それに恥ずかしそうに笑って答えている藪雨さんがいたりと、仲の良さそうなグループだ。
「……やはりあの子もパリピだったか」
「さっきからパリピパリピと、意味わかってるんですか?」
「パーリーピーポーだろ? んで、俺達一般ピーポー」
「あぁわかってないんですね……」
わかってるって、と反論してくる先輩を置いて先に歩いていく。俺は早いとこラーメンが食べたいのだ。あんな小悪魔系後輩に構っていられる暇はない。
「先輩、行きますよ」
「わぁってるよ! ……にしても、あの子どうも苦手だな」
「わかります。多分本心隠して他人を欺き、お金だけ貰って逃げるタイプの人種ですよ」
「酷いと言いたいが、俺の方もそんな感じだからなんとも言えん」
まだよく知りもしない相手をここまで貶すことになろうとは思わなかった。そこまで藪雨さんは、俺達からして裏がありそうだと勘繰るには十分な怪しさだったのだ。こんな組織で殺し合いや騙し合いなんてしてなければ、きっと俺はあの笑顔にコロッとやられていたことだろう。
「……やっぱ辛えわ」
「そりゃ、辛えでしょ。ナンパのことはもう忘れましょう。ラーメンのトッピングひと品奢りますから」
「ショボイ……けどありがと」
この後探し当てた隠れた名店ラーメン屋は、とてつもなく美味かった。俺達がこの店のリピーターになることは、また別の話である。
To be continued……
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