君との約束
みたに ゆづき
1
「着いたー!」
真由子は、とあるアーティストに憧れて上京してきた。
地方出身の真由子にとって、ここは同じ日本かと疑問に思ってしまうほどの別世界だ。
少しずつ慣れてきた、とある夜のことだった。
真由子はギターをひっさげてウロウロしていた。
「落としましたよ。」後ろで声が聞こえたので振り向くと、その人の手にはギターのピックがあった。
「ありがとうございます。」とぺこりとお礼を言うと、その人は真由子の顔を見ながら言った。
「人違いならごめんなさい…もしかして、坂田真由子さん?」
その人はなぜか真由子のフルネームを知っていた。
「あ、覚えてないかな?私、同じ中学だった森 アキ。」
そこまで言われて真由子はやっと気づいた。確かに言われてみれば面影がある。
「アキ……?」
「思い出した?」ふふと笑いながらアキは続ける。
「真由子、今時間ある?」
「うん。」
「ちょっと話さない?久しぶりだし。」
真由子とアキは近くにあった居酒屋に入った。
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