SCP-2012-JP『ざんその教会』って、結局何なの?
誰かを赦す者は、時として、赦されざる罪を持つ。
どうも、中嶌です。お久しぶりです。最近寒くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。私は今(2020/12/8現在)半ズボンと長袖でこれ書いてます。寒いです。でも暖房嫌いなのでつけたくないです。もう書くこと無いので本題に入ります。(ごめん、年明けちゃった☆)
今回解説するのはSCP-2012-JP「ざんその教会」です。「ざんそ」の意味はまだ調べないでください。後述しますので。
☆OC《オブジェクトクラス》と特別収容プロトコル
OCは、収容出来ても何が起こるか分からないEuclidです。特別収容プロトコルは、財団性のwebクローラでインターネットを回り、SCP-2012-JP-msdと呼ばれるもの(msdが何なのかは分かんないです。ミスドですかね?)に関する情報を削除することです。現在SCP-2012-JP-msdの拡散元は不明であるので、とりあえずサーチ&デストロイをします。
SCP-2012-JP-msdはセキュリティクリアランスが2以上の職員の許可を取って行うものでしたが、現在PoI-D-2012-JP(ぽいは|Person of Interesting《要注意人物》の略です)の実験は中止されています。一体何故でしょう?
☆説明
SCP-2012-JPは、SCP-2012-JP-msdという儀式的なものを行う事で見られる、対象に精神的な影響を及ぼす夢です。SCP-2012-JP-msdはこちらです。
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1. 花瓶、ホオズキ(Physalis alkekengi) 、ランプなどの光源となりうるものを用意する
2. 水を張った花瓶に対象の涙を一滴以上垂らし、ホオズキを活ける。
3. 入浴などで体を清め、清潔な状態を維持する。
4. およそ10㎡以上の広さの部屋に寝具を用意し、扉・窓などを完全に施錠する。
5. 枕元にホオズキを活けた花瓶を置き、ホオズキを照らすように光源を設置する。
6. ホオズキを照らす光源以外の全ての明かりを消す。
7. 花瓶に向かって目を閉じ、「許されますように」若しくは「救われますように」という意味の文章を念じる。
8. 入眠する。このとき入眠時刻は午前0時以降午前1時以前でなければならず、また睡眠時刻に午前2時から1時間程度を含まなければならない。
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結構多いですね。細かいルールもあって面倒くさいですし、財団が確認できたのも4名のみらしいです。
で、この手順を踏めば一貫性のある夢(SCP-2012-JP)を見ることが出来ます(これからちょっと長いです)。
夢は常に礼拝堂の中から始まります。この施設、及び前述のSCP-2012-JP-humは被験者の証言及び脳情報デコーディング実験から得られた情報により固有の夢界実体であると考えられています。内装は十字架などが置いてあり、施設がキリスト教寄りであることが確認されますが、その一方で他のどの施設にも当てはまらない特徴があります。教会内の扉や窓は施錠されていて、脱出は成功していません。窓の外部は完全な白一色に見え、外部の確認は不可能です。
施設の内部には、頭がタンバホオズキの挿された花瓶で構成された神父服の人型実体(SCP-2012-JP-hum)(怪奇! 花瓶マン)が存在します。SCP-2012-JP-humは、被験者に対し友好的な態度で接し、被験者に懺悔室での告解を行うことを促します。どこから声を出しているかは不明です。この提案を受け入れれば、被験者は教会右側奥に存在する懺悔室へ案内されます。懺悔室の信者側の扉から入室すると扉が自動的に施錠され、この時点から被験者は以下に示す一連の精神影響の影響下に置かれます。
影響下に置かれた被験者は「自分の隠している罪や悪行を告白したい」という強い欲求が発生します(罪とされる内容は幅広く、イライラして自転車蹴っ飛ばしたみたいな奴から、イライラして人ぶっ殺したみたいな奴まであります)。そして、懺悔室に設置された椅子に被験者が着席して被験者が自身の隠している罪に関する懺悔を行います。すると被験者は罪悪感が急激に増加し、多くの場合泣き崩れる、錯乱するなどと言った行動を取ります。この後、被験者がある程度まで鎮静化すると、神父は被験者に呼び掛け「私は貴方を許します」と言った旨の発言をします。この発言を聞いた被験者は罪悪感の解消と共に、主観的に「救われる、許される」いった感情を獲得します。この時点で神父側の声は無反応となり、扉は解錠されます。被験者が室内から退室した時点で夢は終了となります。上記の精神影響に抵抗する試みは現在までの所成功しておりません。
起床した被験者は懺悔した罪の内容が刑法に違反する物であった場合、公的な処罰を望むようになり、多くの場合自首を行います。これは軽犯罪であったり時効を迎えていた物であっても同様です。内容が刑法に違反しない物であっても、被害者が存在する場合は丁重な謝罪と可能な限りの補填を行います。この際、被験者に発生する贖罪意識は懺悔した罪の内容に限られ、過去に行った同様若しくはより悪質と見なされる行為には適用されず、精神影響前と同様の態度を取ります。
目覚めた被験者は、夢の中で懺悔した罪の内容が刑法に違反する物であった場合、公的な処罰を望むようになり、(一般人が)自首を行う、または(Dクラスが)行おうとしました。これは軽犯罪であったり時効を迎えていた物であっても同様です。内容が刑法に違反しない物であっても、被害者が存在する場合は謝罪と可能な限りの補填を行います。この際、被験者に発生する贖罪意識は懺悔した罪の内容に限られ、過去に行った同様若しくはより悪質と見なされる行為には適用されず、精神影響前と同様の態度を取ります。いちいち懺悔していたらキリがありませんからね。
☆発見経緯
SCP-2012-JPは、20██年█月█日に██市内の交番へ自首をしに来た男性の証言をきっかけに発見されました。
男性(本名は██ ██氏、会社員で当時34歳、関連人物として2012-01に指定済み、後にDクラス職員として雇用)は「7年前に、当時近所に住んでいた6歳の女児(██ ██氏)(あ、娘さんですか!?
その後の調査により、『魂が救われるおまじない』と称されたSCP-2012-JP-msdと同等の内容の投稿がオカルト系の情報を取り扱う電子掲示板を中心にドカドカ発見されました。先ほども言いましたが、SCP-2012-JPを4人しか試していない上に、その4名も影響された罪の内容が軽犯罪や迷惑行為などの軽度なものであったため記憶処理の後解放されました。イチイチ面倒なことさせんじゃねえ!
SCP-2012-JP-msdの出所については、投稿ホストが追跡不可であるか単なる転載という結果に終わっており、現在までSCP-2012-JP-msdの情報元の確認には成功しておりません。
ここまでを纏めてみると、
1.SCP-2012-JPは夢である。
2.SCP-2012-JPを見ている際は、SCP-2012-JPの中で自分の罪を懺悔したくてたまらなくなる。
3.神父は花瓶マンである。
というのが分かりました。
☆実験記録2012-JP-1 - 日付20██/██/██
以下はエージェント・栗谷がSCP-2012-JP-humに接触した際、脳情報デコーディング実験を参考にしたものです。
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<記録開始>
[礼拝堂扉の前に立ち祭壇方面を向いた状態で夢が開始する。視点右奥側にSCP-2012-JP-humが立っているのが確認できる。]
エージェント・栗谷: SCP-2012-JP-humを発見。接触を行います。
[エージェント・栗谷はSCP-2012-JP-humへ向かって歩き、SCP-2012-JP-hum側も気付いたようにこちらに接近する。]
エージェント・栗谷: 私、ここは初めてでして。こちらはどういった場所になりますか?
SCP-2012-JP-hum: こちらは迷える罪人達を導き、その魂を救済すべく作られた特別な教会となります。
エージェント・栗谷: 罪人を導く……ですか?
SCP-2012-JP-hum: はい、正しき者は救われ、罪人は地獄に堕ちる……そのような考えは余りにも冷酷に過ぎると思われませんか?何の理由もなく罪を犯す人などそうはいません。家庭が原因で人を殺した者がいます。社会が原因で盗みを働いた者がいます。文化が、体質が、信念が、様々な者が人を罪に導くのです。そうであるならば、「天国へ行ける正しき者」はただ運が良かっただけ、とも言えます。
【何の怪しさもない正しい人もいないと思いますけどね】
【省略】
[エージェント・栗谷による探査が行われるが目立った情報はなし(探査に関する完全なる記録は文書SCP-2012-JP-02を参照)。その後、外部刺激による覚醒によってSCP-2012-JPから退出]
<記録終了>
分析: SCP-2012-JPとSCP-2012-JP-humは、いわゆる「万人救済主義」をより罪人に寄らせた主義で運営されているようだ。視覚イメージを見た所感だが、キリスト教の礼拝堂と神父、というよりあくまでそれっぽいなにかであるように感じる。イメージだけで作られた映画のセット、というような。それが何を意味するかは現時点では不明だが。 -高道博士
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実験記録2012-JP-1 - 日付20██/██/██
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対象: D-03170。男性、22歳。強盗殺人の罪で死刑判決を受けている。
結果: 被験者は入室直後に精神的な抑圧が発生したことを報告する。着席した被験者は室内の席の着席すると12年前にコンビニでスマートフォン用のモバイルバッテリーを万引きした事を告白。告白を終えた被験者は約10分程泣き続け、ある程度沈静化した所でSCP-2012-JP-humから「それは小さなものだった。それは少し高価なものだった。だからこそ、貴方は魔が差してしまったのでしょう。そういった悪魔の囁きに人は余りにも無力なのです。ですので貴方を許します。」【省略】自身の強盗殺人については依然と同じように表面的な反省の態度に留まっている事が確認された。
分析: おそらくは強盗殺人についての告白だろうと予測していたが、重い罪から選ばれるという訳でもないようだ。 -高道博士
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D-03170は強盗殺人までしているのに、その被害者に対して反省せずに万引きを反省しています。このことから、罪はランダムに選ばれている可能性が高そうですね。
実験記録2012-JP-4 - 日付20██/██/██
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対象: D-04092。女性、53歳。保険金殺人の罪により死刑判決を受けている。
結果: 被験者は11年ほど前に自身の鬱憤を晴らす為に度々野良猫に暴行を行っていた事について告白。被験者はうつむいて涙を流し、20分経った後SCP-2012-JPから「野生で生きる動物にとって弱肉強食は当たり前の事。貴方が気に病む必要は有りません。私は貴方を許しましょう。」と語りかけられる。覚醒した被験者は動物保護団体への自身の全財産の寄付を申し出たが被験者が現状財産を保有していないため却下された。
分析: 一つ気付いたのだが、SCP-2012-JP-msdは今まで一言たりとも神の存在に言及していないな。常に「”私”が許す」と言う表現を使っている。SCP-2012-JP-msd自身はどのような宗教観に基づいた行動をしているのだろうか。 -高道博士
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懺悔は、神の代理人である神父が神に代わって人を許すものです。しかし、SCP-2012-JP-humは「私」が許すといっています。決して「神」が許しているわけではありません。
実験記録2012-JP-5 - 日付20██/██/██
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対象: D-04386。男性、38歳。元勤務先の上司との個人的トラブルの末の殺人の罪により死刑判決を受けている。
結果: 被験者は8年前に近所に住んでいた児童を衝動的に殺害し、近くの山中に遺棄した事を告白。被験者はうずくまり、30分に渡り泣きながら児童に対する謝罪の言葉を繰り返した。被験者がある程度沈静化した所で、その後SCP-2012-JPから「人は誰しも心の中に悪魔を飼っています。その子供は、貴方の中の悪魔を退治するために遣わされた天使だったのでしょう。貴方がそう嘆いていてはその子も浮かばれません。ですから、私が貴方を許しましょう。」と語りかけられる。覚醒した被験者は警察機関への自首を希望するが却下される。被験者の証言を元に██の大規模な調査を行った所山中より児童の白骨死体が発見され、当時行方不明だった██ █氏(当時8歳)であると確認されました。
分析: ……気に掛かる点があるので一旦SCP-2012-JPの実験を中止する。 -高道博士
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追記: この実験記録の対象となった、児童殺害事件の事件現場及び事件の性質が発見経緯における██ ██氏による児童殺人事件と同一であるという点が高道博士より指摘されました。そこで、SCP-2012-JP実験の一時停止及び当該事件の詳細な追跡調査を行った結果、████年██月から██月にかけて発生した連続児童殺害遺棄事件との関係性が浮上しました。当該事件は発見経緯及び実験時の対象になった児童殺害事件との間に児童及び犯人の生活圏、殺害方法、死体の処理方法などの点で一致を見せました。
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なんだか雲行きが怪しくなってきましたね……。SCP-2012-JPが発見される所以になった██ ██氏の事件、D-04386の事件、████年██月から██月(10~12月、もしくは11~12月という無駄な考察)の事件、これらは全く別の、児童殺害事件のはずです。しかし、それぞれが同じ殺害現場で、殺害方法で、処理の仕方なのです。
これは一体なぜでしょうか?
その答えとなるものが、次のインタビューに示されています。
☆インタビュー記録2012-JP - 日付20██/██/██(少し長いですが、省略は無しとさせていただきます)
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対象: エージェント・栗谷。
実施方法: 被験者にSCP-2012-JP-msdを実行させ、脳情報デコーディング技術により夢の内容を可視化する。
<記録開始>
[礼拝堂扉の前に立ち祭壇方面を向いた状態で夢が開始する。視点左手前側にSCP-2012-JP-humが立っているのが確認できる。SCP-2012-JP-humはこちらに気付き話しかける。]
「SCP-2012-JP-hum: おや、貴方は以前にもこちらに来られた方ですね。告解をご希望ですか?」
「エージェント・栗谷: いえ、本日はインタビューに参りまして。」
「SCP-2012-JP-hum: インタビュー、ですか……。もしかして記者の方なのでしょうか?申し訳ありませんが、当教会は罪人の救済を唯一の活動とさせて頂いておりまして、以前お話しさせて頂いた以上の話となると、そう多くはないのですが……。」
「エージェント・栗谷: その告解に関してのご質問なのですが。」
「SCP-2012-JP-hum: はい、なんでしょうか?」
「エージェント・栗谷: ここで行われる告解なのですが、告白される罪はどのような基準で選ばれている、などはありますか?」
「SCP-2012-JP-hum: 基準……と申されましても、こちらで行われる告解は皆様方がお話しいただくことをこちらが聞かせて頂いてるだけになりますので。[数秒沈黙]どうしてそのようなことを?」
「エージェント・栗谷: 以前こちらで告解された方で、同じような事件を告解された方がいらっしゃいまして。」
「SCP-2012-JP-hum: 申し訳ありませんが告解の内容に関しては守秘義務がありますので。」
「エージェント・栗谷: すみません。重要な事なのでどうしてもお聞きしたいのですが、██市内における児童殺人事件に関して……」
「SCP-2012-JP-hum: [エージェント・栗谷の発言を遮って] もしかして警察の方ですか?何度も言うようですがこちらにも守秘義務がありますので事件の捜査が目的なのでしたらお引き取り頂く事になりますが。」
「エージェント・栗谷: すみません。でしたら最後に一つだけ、██年に起きた連続児童殺害事件について」
「SCP-2012-JP-hum: 帰れ。」
「エージェント・栗谷: え?」
「SCP-2012-JP-hum: 帰れって言ってるんだ。」
「エージェント・栗谷: しかし……」
[SCP-2012-JP-humは発言を遮って、両手でエージェント・栗谷の頭部を掴む。この時点でエージェント・栗谷は覚醒した。]
<記録終了>
結果: 覚醒したエージェント・栗谷は重度の錯乱状態に陥っていたため鎮静剤が投与された。投与後にインタビューを行った所「以前駐輪場で他人の自転車を倒してしまったが疲れていたのでそのままにして帰ってしまった」と証言し、それについて強い罪悪感を抱いていることが判明した。エージェント・栗谷はSCP-2012-JPの懺悔室内で告解した直後の被験者と同様の精神状態とみられ、鎮静剤の効果が切れた時点で再度の錯乱状態に陥いったためAクラス記憶処理が施された。
追記: SCP-2012-JP-humの起源を調査するため、出力されたSCP-2012-JP内の映像からSCP-2012-JP-humの外見を精密調査した所、エージェント・栗谷の映像に映り込んでいたSCP-2012-JP-humの指紋が、前述の██年に発生した連続児童殺害遺棄事件の犯人である███ ██氏(████年██月██日に死刑執行済み)の指紋データと97.3%の確率で一致するとの検査結果が出ました。現在、SCP-2012-JP-humを███ ██氏本人、もしくは███ ██氏の起源とする存在であると仮定し、███ ██氏をPoI-D-2012-JPに指定し調査を行っています。
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SCP-2012-JPを巡って行われた児童殺人は、SCP-2012-JP-humが起こしたと思われる児童殺人を含め全部で3件あったのです。
さあ、もうお分かりでしょう。SCP-2012-JP-hmは、誰に対しても心優しい神父様ではありませんでした。その背中に、児童殺人という昏い十字架を負った薄汚い花瓶だったのです。
しかし、実はまだ謎が残っています。この本家の記事を見て貰えば分かると思いますが、このSCPには「現実改変」タグが付いています。つまり、SCP-2012-JPには現実改変能力が有る(メタ推理となってしまいますが)訳です。このSCPは一体どこで現実改変能力を使っているのでしょうか……?
☆まあ無理やりな考察
SCP-2012-JP-humが何故現実改変能力を持っているのか、その理由は単純です。
彼は、何かを赦したかったのです。
自分は人を殺してしまった。それは揺るぎない事実です。そんな重罪を少しでも殺してしまった子に償う為に、彼は現実改変能力を使いました。
今までの記録を見て貰うと分かりますが、被験者が告白した殆どは軽犯罪です。そうすれば、財団のような組織だって、それが現実改変の結果かどうかなんていちいち調べません。
そうして現実を改変して無理やり罪を償わせ、無理やり罪を赦したのです。
そして、自分と同じ罪を背負っている人を見つけたら、その人にその罪を自白させ、赦すことを繰り返していたのです。
もちろん、そんな事をしても赦されないことは分かっていたでしょう。彼は、人を騙し、財団を騙したわけです。でも、彼はそうするしか無かった。見えない「何か」に縋り付き、一生赦されない自分の罪にむせび泣くことしか出来なかった。そうすれば、自分は本当の「神」に赦されると思っていたのでしょう。彼はそんな悲しい、一人の人間だったのです。
さあ、今回の解説はこれでおしまいです。最後に、アレの意味を教えましょう―――
SCP-2012-JP『ざんその教会』
―――ホオズキの花言葉と
☆あとがき
どうも。最近、「レ・ミゼラブル」を読んでるんですけど、奇しくもその中に出てくる司教はとてもいい人でしたね。ユーゴーが200ページ掛けて伝えたかったことがミリエル司教が優しいということだと思いました。あと主人公全然出てこないなって思いました。150ページぐらいから出てくるんですよ、主人公のジャン・ヴァルジャンが。最近の本だと考えられませんけどね。でもそういうラノベとかは有ってもいいと思いますよ。めちゃめちゃタイトル長い現代風のラノベなのに、主人公が150ページまで出てこないみたいな。逆に読んでみたいですもん。
え、コロコロにSCP載るの!? 辞めた方がいいんじゃないですかね(マジ)。
解説とかで「ここ分かりづらいよ!」とかあったら言ってください。もうどんどん言ってください。
この作品はCCクリエイティブコモンズライセンスに準拠します。
http://scp-jp.wikidot.com/scp-2012-jp
著者:toritukusima様
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