◇154◇準備万端
出来上がった白のミサンガ。これは、魔法とか解除出来る様にと思いながら作った。さあ、どうだ。
「そうですね。これはスキルですね。全てキャンセルする事が出来る様です。それに、魔法無効もついております」
やったぁ! 大成功! うん? 魔法無効?
「それって自分に掛けて来た魔法を無効にするって事?」
「その様ですね。まあ、それもキャンセルする事だと思えば、キャンセル=無効って事なのでしょう。また、相手に掛けられていた魔法全てをキャンセルしてしまいますので、気を付けて下さい」
「あ、うん」
そっか。間違って味方に掛けちゃったからってキャンセル使ったら、味方に掛かっている補助系の魔法も消えちゃうって事か。
今の所そういう魔法は、イラーノも僕もないけどね。
「凄い! ねね、俺にも何か作って!」
凄い期待した眼差しでイラーノが言った。
「いいけど、何がいい?」
「え? うーん。何がいいんだろう……」
自分にも何かアドバイスが欲しいと言う顔でイラーノは、ルイユを見た。
「オートヒールなどいかがでしょう?」
「それって、クテュールに対してって事だよね?」
「はい」
「やっぱり……」
あくまでも僕中心なんだ……。
「じゃ、それでいいや」
「え? いいの?」
「うん。そのかわり何か思いついたらそれもお願いね」
「わかった」
せめてイラーノも一緒に回復出来る様にと作った。色は白、白、緑。
「どう?」
「素晴らしいです。一人分の魔力消費で二人分をオートヒール出来ます」
「え? それってもしかして、クテュールを回復する時、俺も回復されるって事?」
「その様です。その逆もです。どちらかをオートヒールした場合、二人共回復します」
「ありがとう! クテュール」
「うまくいってよかった」
「今の所は、魔法に対しては何とかなりそうだね。後は、武器での攻撃かぁ……。あ! ねえ、武器を無効化出来るスキルとか魔法とかない?」
「え? あるの?」
イラーノの質問に質問で返すと、イラーノはわからないと首を傾げた。
「武器に付加された魔法を無効化するというのでしたら聞いた事はありますが、武器そのものを無効化は、ないのではないでしょうか? ですが、やりようでしょう」
そうルイユが言った。
やりようか……。
うーん。武器として使えなくするか……。
「何か作ってるし……。思いついた?」
僕が作り始めると、イラーノが聞いた。僕は、頷く。うまくいけば、無効にできるかも。
よし、出来た。色は、白、白、茶。
「どう?」
「これは……。なるほど。流石です、主様。武器のみ氷で囲う魔法、アイスインです」
「すご! そんな事も出来ちゃんだ」
「上手くいった。武器を手に取れなくすればいいかなって思って」
「かなり有効だと思われます。この氷は、魔法の炎、つまりファイヤーかキャンセルでしか解除できません!」
思ったより凄かった。
武器を凍らせる事が出来れば、ファイヤーを使える者がいないと武器はただの氷の塊って事になる。
「すご~い。早く使ってみたいな。って、あの二人には会いたくないけどね」
作ったミサンガを左手につけながらイラーノは言った。
僕も出来れば会いたくない。
「さて、これで準備OKだね。アベガルさんには悪いけど、ここを抜け出そう」
「主様、あてはあるのですか?」
「東だと聞いた。それしかわからないけど……」
「そうですか。エルフは、魔力が豊富な場所を住処としていました。今もそういう所に隠れ住んでいると思われます」
ルイユの言葉に、僕達は頷いた。
「あ! だったら魔力を感知できるの作ったら?」
「うーん。でも人間とかも魔力持っているんだよね? そっちで反応しない?」
「私もイラーノの意見に賛成です。限定してはいかかでしょうか? 量とか魔力がある場所の限定など」
「そっか。やってみる」
僕は、同じのを二つ作った。色は緑。
「どう? ルイユ」
「二つとも同じ効果があります。一つは、魔力感知。これは濃さで見分けがつくようになっているようです。そして二つ目は、そのミサンガの感知です。つまりそれを付けていれば、離れ離れになっても居場所がわかるって事ですね。流石主様です」
「そんなおまけも付いたんだ」
「うわぁ。これ錬金術なら凄い金額のものだよきっと!」
嬉しそうにイラーノは、ミサンガを受け取った。
出来れば、イラーノにも魔力があるのだから感知出来ればいいなって思ったのがよかったのかも。
しかし、自分でいうのもあれだけど、優秀な加護だ。まさかこんなに役に立つなんて!
うん? ミサンガつけたら何となく緑っぽく見える。イラーノもほんわり緑。ルイユも……。
「うわ。何これ」
イラーノも同じく見えるらしい。
「まさかこんな感じなんて……」
「これ街に出たら凄そう……」
イラーノの言葉に僕は頷いた。
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