◆153◆本当の性能
強くなるといっても剣術は、僕は才能ないようだし。
あ、そうだ。ルイユに聞いたら何かいい案が出るかもしれない。一応足したら凄い年月を生きているんだから、知識は豊富のはずだ。
「ねえ、ルイユ。僕自身も強くなりたいんだ。何かアドバイスない?」
「そうですね。イラーノがかぶっている帽子を作ったのは主様ですよね?」
「うん」
「でしたら装備品で補うと言うのはどうでしょうか」
「あぁ。そうしたいんだけど、僕達は鑑定持ってないからどんなのが付いているかわからないし、付けたいと思った能力がついているわけじゃないみたいなんだよね」
「おや、イラーノは性能を知らずにあの帽子をかぶっているのですか?」
「これ被ると、モンスターの言葉がわかるようになる帽子だったんだ。体験してわかったよ」
ルイユの質問に、イラーノが答えた。
「少し違いますね。それは、潜在能力を引き出す帽子です。イラーノは、エルフの血を継いでいるので、モンスターの言葉がわかるようになっただけでしょう」
「そうだったの!?」
イラーノは驚いて言うと、帽子を手に取りマジマジと見つめる。
「ルイユって、鑑定が出来るの?」
「主様が作った物は、わかるのです。後は、簡単なマジックアイテムなら鑑定できます」
簡単って……基準がわからないけどそれなら作って鑑定してもらう手もあるかも!
「優秀なお友達だね」
イラーノが、僕に振り向き言った。僕は頷く。
「ねえ。ルイユ達に作ったのって、どんな能力?」
「カモフラージュと能力低迷です。あれを付けていると、本来の力が発揮できません。戦闘能力が高い程、押えられる率が高くなる優れものです」
カモフラージュは、モンスターじゃなく動物に見えちゃうって事だろうけど、能力低迷は、優れものなの? マイナス効果だよね?
あ、だから外して戦ったのか。
「主様は、ちゃんと作られていると思われますが? 試しに付けたい効果を願いながら作成してみては如何でしょう? 能力範囲内なら付加されると思われます」
「え? そうなの? でもいざそう言われると、何がいいのかわからないな……」
「たぶんですが、魔法の類でも出来ると思われます」
魔法! それは、魅力的だ。
ファイヤーは、森の中だと使えないから違うのかな? 風系は、ルイユが使えるみたいだからそれ以外で何かか。
「うん。作ってみる」
「何作るの?」
イラーノに聞かれるもさて何を作ろうかな。
「うーん」
「別に私達に作ったような物でも宜しいのでは?」
「あ、そっか。じゃ、ミサンガ作ろうかな?」
「上手くいったら俺にもお願い!」
「うん」
イラーノのお願いに僕は頷いた。
ルイユ用に買った布が余っているので、それで作る事にする。
「さっそく始めちゃうんだね」
イラーノがぼそりと呟く。それに頷いて作り始めた。
作り方は、ルイユ達に作ったのと一緒。ただ色は一色にする。うまくいくようだったら、色んな効果が付いたのを作りたい。色でわかるようにすれば、外したり付けたりできる。
まずは茶色の布で作ってみた。
あっという間に出来る。
願ったのは、電撃みたいな魔法。さて、どうなったかな?
「ルイユ。これどんな効力あるの?」
「早いわね。そうね、サンダーバインド。これは、痺れさせて動けなくする魔法ね」
「おぉ。バインドってあれだよね。動けないするやつ」
イラーノに言われて、ナットスさんを思い出した。ナットスさんは、ウィンドバインドだったけど使い勝手が良さそうだ。
願った種類の魔法になったみたいだし、ルイユの言う通りかも。
「あ、そうだ。これってどうやって使うの?」
「装備した方の手を掛ける相手に向けて、サンダーバインドと言えばいいかと」
「なるほど。ありがとう」
「一つ伝えておきますが、相手に魔力があれば相手の魔力を吸収し、電撃を与え続ける事が出来る、最上ランクのサンダーバインドです」
「え!? そんなのもついているの?」
「はい。相手が魔法を使うならかなり有効な魔法です」
作る時に、オスダルスさんとボールウィンツさんに対抗できる魔法がいいなと思ったからかな?
でも間違った相手にかけちゃったら大変だよねこれ……。
「あ、あのさ。もし万が一掛ける相手を間違えちゃった場合は、キャンセル出来る?」
「普通はありません。そうですね。不安ならそういうのも作っておいたら宜しいのでは?」
「あ、なるほど」
そういうのも作れるもんなんだ。
「いやぁ。クテュールって本当に凄いなぁ。それもう錬金術だよね?」
「うん? そうだね!」
僕、錬金術師みたいなもんなんだ。調合じゃなくて裁縫でだけどね。
次は白色で作る事にした。
ルイユに出会ってよかった。自分の能力が生かせる。
僕は、ウキウキして裁縫を楽しんだ。
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